
最近いろいろな場面で目にする機会が多いゼロカーボン、正しい意味や内容を知っていますか?
本記事ではゼロカーボンとは何なのか、言葉の意味について詳しく解説するとともに、ゼロカーボンや環境保全と関わりが深い、造園業の仕事やその魅力を紹介します。

ゼロカーボンとは
科学の進歩に伴い、地球を取り巻く大気の状況が明らかになったことで、1980年代後半から地球温暖化は大きな社会問題となっています。
地球温暖化の主な原因とされているのが、人間の産業活動に伴って排出される、温室効果ガスの増加です。
地球の表面はさまざまな大気に覆われていますが、その中に含まれている二酸化炭素、メタン、フロン類などの7種が、温室効果ガスと呼ばれています。
温室効果ガスには、太陽からの熱を吸収し、再び放出するという性質があり、地球の温度を生物が暮らしやすい温度に保つという役割をもっています。
一方で、温室効果ガスが増え過ぎてしまうと、太陽からの熱が宇宙空間へ放出されず、地球の表面付近に残ってしまい、大気の温度が上昇してしまいます。
この現象が、地球温暖化です。
温室効果ガスの中でもとくに、二酸化炭素は温暖化への影響度が大きいと言われていますが、この二酸化炭素は、農作物や樹木などの植物、海藻などの藻類が行う光合成の働きによって吸収することができます。
今までの暮らし方や産業のあり方を見直して温室効果ガスの排出を減らし、森林管理や植林を通じて温室効果ガスの吸収量とのバランスを整えることで排出量と吸収量をプラスマイナスゼロにすることが、ゼロカーボンです。

環境保全に役立つ造園業とは?
ゼロカーボンを実現するためには、温室効果ガスの排出量を減少させるとともに、同等の吸収量を確保することが必要です。
二酸化炭素を始めとする温室効果ガスの吸収源として、比較的長期間にわたってその効果が期待されるのが、森林や海洋ですが、中でもとくに森林の果たしている役目はとても大きいでしょう。
第一生命経済研究所が、国立研究開発法人国立環境研究所「2022年度の温室効果ガス排出・吸収量(詳細)」をもとにまとめたデータによると、2022年度、日本の温室効果ガスの約9割が森林によって吸収されています。
参考:第一生命経済研究所 温室効果ガスの森林吸収源の現状
~木材の循環利用が、持続可能な社会の実現のカギ~
https://www.dlri.co.jp/report/ld/348122.html
また同調査では、温室効果ガスの吸収源として森林を取り上げているだけではなく、公園や緑地、街路樹といった都市緑化も吸収源としてあげられています。
公園・緑地の整備や維持管理を通じて、造園業はゼロカーボン実現の一助を担っていると言えるでしょう。
また庭、緑地、公園などを整備したり維持管理したりすることは、自然環境がもつさまざまな機能を活用し、地域振興や地方創生、防災・減災、生態系保全などの効果を得ようとする、グリーンインフラの推進にもつながります。
植物を植え、育てることはヒートアイランド現象の緩和や大気の浄化にも効果があります。
造園業は植物を扱うことを通じて、環境保全や持続可能な社会の発展にも貢献している業界なのです。

造園業の魅力とは?
環境保全にも一役買っている造園業で働く魅力は、自然や植物を扱うという点に起因しているものが多いのが特徴です。
庭づくりや公園づくり、それらの維持管理の仕事は、美しい景観を生み出すだけではありません。
植物を植え、育てることは、環境や生き物の棲み家を守り育てることでもあります。
植物を植え、緑豊かな空間を作り出すことは、居住空間をより快適にしたり、地域のコミュニティ形成の一助にもつながったりするでしょう。
造園業の仕事は、環境保全を通じて地域に貢献できる点が魅力です。また自然の中に身を置いて働ける点も魅力でしょう。
造園業で扱うものは、樹木、草花、石などの自然のものが中心です。自然は日々、その姿を変えます。
四季折々に変化する風景を楽しみながら働けるのは、造園業ならではの魅力と言えるでしょう。
このほかにも、自分が手がけた仕事が、目に見える形で残ることや、顧客や利用者の気持ちが直接伝わりやすいことも、造園業の魅力です。
「景観十年、風景百年、風土千年」という言葉があります。
造園業の仕事は、自然を手本とし、美しい景観をつくり、守り育てることで、風景、さらには風土をつくる仕事なのです。

まとめ
ゼロカーボンとは、温室効果ガスの排出量と吸収量のバランスをとり、全体としてゼロにする、という取り組みです。
温室効果ガスを吸収するためには、植物の存在が欠かせませんが、造園業はその植物を植え、育てる仕事です。
都市緑化もゼロカーボンの実現に一役買っています。
造園業で行う庭、公園、緑地などの整備と維持管理は、生態系の保全やヒートアイランド現象の緩和、大気の浄化とうった役割をもっています。
造園業は植物を植え、育てることを通じて、環境保全の一役を担っていると言えるでしょう。