日本造園建設業協会、日造協ニュース第563号を公開

東日本大震災から10年、東北3県からの報告

一般社団法人日本造園建設業協会(以下、日造協)は、広報誌「日造協ニュース」の第563号をホームページで公開した。

特集記事では、「東日本大震災から10年 現在の復興状況について」と題し、東日本大震災の被災地が現在どのような状況なのか、東北3県からの報告が掲載されている。

記事によると、岩手県では、復興庁による復興道路、港湾整備、造園工事等が実施される中で、「高田松原津波復興祈念公園」を整備中である。2020年9月には、祈念公園内の「津波伝承館」「道の駅高田松原」が完成し、「国営追悼・祈念施設」の一部開園の式典を行い、記念植樹として支部で管理してきた一本松の後継樹3本を植樹した。

また、造園工事として、これまでに 2度発注があり、日造協の支部会員が施工しており、2021年3月に全面開園の予定となっている。

宮城県では、災害に強いまちづくりを目指した整備が進められてきており、沿岸部の市町では住宅地の高台移転や防潮堤の整備などを実施、また、道路建設、鉄道整備、橋梁・海岸保全・港湾・下水道・公園等の整備も行われている。

公園施設については、「石巻南浜津波復興祈念公園」が東日本大震災からの復興のシンボルとして位置づけられ、2021年3月28日の開園に向け、地元県造協の会員企業をはじめ、日造協宮城県支部の会員企業が整備に携わっている。

福島県では、大地震、大津波の被害に留まらず、東電福島第一原発の爆発事故により、復興の大きな遅れが生じた。

そうした困難を克服し、安全と美観を備えた白砂青松の再現を夢み、主にクロマツ苗を植える海岸防災林事業も順調に進められ、同時に防災緑地としての公園も新設され、多くの造園業者が精を出し復興を後押ししている。また、復興祈念公園については、2020年にようやく初めての発注があり、一部は開園することができた。

コロナ禍で癒しを求め、公園の重要性が注目

さらに、コロナ禍での造園界について、公益社団法人日本造園学会理事・会長である京都大学大学院地球環境学堂の柴田昌三氏からの寄稿が掲載されている。

記事によると、建設系7学会の会長懇談会では、このコロナ禍で公園の重要性が改めてクローズアップされはじめていることを感じさせる状況があるとの話題となった。

コロナ禍の中で人々は癒しを求めて緑地に出かけた。公園に求められる存在価値は、単純に憩える空間、遊ぶ空間や緑の空間があることであり、造園界の人々はそれを実現できる技術と知見を持っている。表面的なことではなく、人間が本能を取り戻せる空間を提供することを目指した緑地管理を考えていかなければならない。

社会の緑に対する根源的な欲求が明らかになった令和時代は、学・官・民といわず、業も中心となって造園界を盛り上げていく時代であり、枠組みにとらわれない、境界を越えた協力体制の構築は喫禁の社会の要求と思われる。

(画像は一般社団法人日本造園建設業協会 より)

▼外部リンク

一般社団法人日本造園建設業協会 日造協ニュース第563号
http://www.jalc.or.jp/monthly/pdf/563.pdf