造園施工管理技士1級取得者
造園業で優遇される資格に造園施工管理技士があります。造園施工管理技士とは造園工事の際に主任技術者や監理技術者として就業を認められている国家資格です。
造園施工管理技士には2級と1級がありますが、1級の試験は実務経験を通して得た技術や専門的な知識を要するため難関として知られています。造園施工管理技士1級取得者は2級で認められる主任技術者の他、監理技術者になれます。
主任技術者とは施工において技術上の管理を行う役割を担います。主任技術者の配置は全ての工事で求められ、請負金額や請負先は関係ありません。しかし、2級でもなれる主任技術者では小規模工事にしか携われず、大規模工事には監理技術者になれる造園施工管理技士1級取得者が必要です。
1級取得者は主任技術者の仕事に加え、監理技術者として大規模な造園工事の現場で下請け企業の労働者を指導監督できる総合的なスキルが求められます。
監理技術者の配置が義務付けられている大規模工事とは下請け契約の工事代金が4000万円以上(建築工事一式の場合は6000万円)となる場合です。
1級取得者が監理技術者として仕事をする場合、1級の資格だけでなく、監理技術者講習を受講しなければなりません。有効期限は受講日から5年で、有効期限後は再受講が義務付けられています。
このように造園施工管理技士1級取得者は2級だけの取得者よりも携われる仕事の幅が広く、求められるスキルレベルも上がるのです。
造園会社にとっても、1級取得者を擁していることで公共工事の入札の際に有利になるメリットがあるため、造園業界での造園施工管理技士1級に対する評価はかなり高いです。
監理技術者と主任技術者の兼任はできる?
主任技術者であれ、監理技術者であれ、施工計画を立てたり、資材管理や工程管理をしたりとやるべき仕事は数多くあり、工事進行のための重要なポジションです。
主任技術者、監理技術者になれる造園施工管理技士1級取得者ですが、基本的には兼任できません。兼任とは、期間の重複する現場や幾つもの工事現場を掛け持ちすることです。
主任技術者と監理技術者にはルールが設けられています。
ルールの一つは専任義務です。建設業法では、学校など公共性のある施設、鉄道やホテルなど多くの人が利用する施設や工作物の工事に関して、1件の請負金額が3500万円以上(建築一式工事の場合は7000万円)の場合、主任技術者や監理技術者の専任配置を義務付けています。
戸建ての個人住宅を除く例外はありますが、ほぼ全ての工事に主任技術者や監理技術者の専任が求められていると言えるでしょう。
もう一つのルールは、主任技術者や監理技術者は建設会社と直接的かつ恒常的な雇用関係にあることです。直接的な雇用関係とは、元請け、下請け会社が直接雇用していたり、一つの営業所に勤務していたりする技術者のことで、派遣やアルバイトはNGです。
恒常的な雇用関係とは、建設会社に一定の期間在籍し、毎日一定の時間労働していることが必要です。また、公共工事の入札参加申込日、随時契約では見積書の提出日より3ヶ月以上前から雇用関係があることが条件となっています。
恒常的な雇用関係は、資格者証の交付年月日や社会保険に加入した日が確認できる健康保険証などによって確認が行われます。
もし直接的かつ恒常的な雇用関係にないことが判明すれば、入札参加資格が停止されるなど重い措置が取られる可能性があります。
兼任できる場合とは
基本的には監理技術者と主任技術者は工事現場の兼任できません。しかし、主任技術者は条件を満たすことで兼任できる場合があります。
建設業法の定めによると、主任技術者が兼任できる条件とは同一の建築会社からの発注、関連する工事、同じ場所または近接する場所での工事である場合です。条件を満たした主任技術者は原則2件程度の工事に携われます。
平成26年に緩和された兼任条件は全国が適用範囲です。兼任条件の一つである関連する工事に関しては、工事対象に一体性もしくは連続性が認められる工事、もしくは施工の際に相互に調整が必要な工事と定義されています。
兼任条件にある同じ場所または近接する場所での工事については、具体的に工事現場の相互間隔が10km程度になっています。
主任技術者は兼任となることで責任は増し、全ての担当現場を健全に運営し、安全管理を徹底しなければなりません。もし兼任によって工事運営に支障があると判断された場合、兼任が解除となる場合もあります。
近年は、主任技術者だけでなく監理技術者も専任要件を緩和する動きが活発です。兼任不可のルールは人手不足に悩む建設業において足枷となっています。
2021年4月1日に施行される建設業法の改正によって新たに技士補の資格が創設されますが、工事現場において今まで専任での配置が必要だった監理技術者は、技士補を専任で配置することにより、2つの現場の兼任が可能になります。
建設業法の改正によって専任要件が再び変わる可能性があるため、最新情報を得るようにしましょう。