土木に関連する資格にはたくさんの種類がありますが、工事の種類や規模によって、必要な資格や役立つ資格は異なります。
そこで本記事ではさまざまな観点から、土木業で活かせる資格を紹介します。
土木で役立つ資格4選!
土木業で活かせる資格の中から、本章では土木施工管理技士、コンクリート診断士、測量士、ビオトープ管理士の4つを紹介します。
土木施工管理技士
土木施工管理技士とは、建設業法に基づいて実施される「土木施工管理技術検定」の合格者に与えられる称号で、有資格者は土木工事の現場で責任者として働くことが多いです。
1級、2級があり、難易度、受検資格、資格取得後に担当できる工事の規模などが異なります。
また2級は土木、鋼構造物塗装、薬液注入の3種別分かれているのも1級と異なる点です。
検定試験はそれぞれ、第1次検定、第2次検定に分かれており、第1次検定に合格すると「土木施工管理技士補」になります。
土木施工管理技士補は、土木施工管理技士を補佐する仕事をしながら実務経験を積むことで、第2次検定の受検資格を得られます。
建設業法では、一定規模以上の土木工事の現場において、監理技術者、主任技術者などの技術者を配置することを定めていますが、土木施工管理技士はこれに該当する代表資格です。
そのため土木施工管理技士の資格を有することは、社内での昇進、昇給につながりやすいでしょう。
土木施工管理技士資格の取得については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
▼土木施工管理技士を目指したい!いきなり1級を取得することは可能?
コンクリート診断士
コンクリート診断士は、コンクリート構造物への信頼性の向上、コンクリート構造物の安全性、使用性、耐久性などに関する診断技術の向上などを目的として、日本コンクリート工学会が認定、登録する資格です。
専門的で幅広い知識と高い技術を活用し、コンクリート構造物の診断と維持管理を行います。
国土交通省では社会資本の維持管理を適切に行うために、民間団体などが実施する資格の中から、一定の基準を満たしているものに対して「国土交通省登録資格」として登録する制度を行っています。
コンクリート診断士も、橋梁(コンクリート橋、鋼橋)、トンネルの点検・診断業務でこの制度に登録されています。
コンクリート診断士の資格は民間資格でありながら、有用性が高く、コンクリートを扱う土木業で代表的な資格と言えるでしょう。
なおコンクリート診断士の詳細については、こちらの記事でも紹介しています。
▼コンクリート診断士とはどんな資格?もっているメリットや受験資格を解説
測量士
土木や建築分野において「測量」とは、工事に伴って土地の形や位置、道路や河川など高さや長さ、広さなどを器械で測り出すことを意味します。
測量法の規定により、技術者として国や地方公共団体などが行う測量や、全ての測量の基礎となる測量を行うためには、「測量士」または「測量士補」の資格が必要です。
測量士の資格を得るためには国土地理院が実施する「測量士試験」を受験します。
また文部科学大臣の認定を受けた学校で、測量に関する科目を履修するか、測量士補試験を受験して「測量士補」の資格を取得し、その後学歴で年数が異なる実務経験を積むことでも可能です。
測量法では、測量法で規定される営業所として測量業務を請け負う場合には、営業所ごとに1人以上の測量士を配置しなければならないと定めています。
また土木業において、正確な図面を作成して工事するためには、正確な測量が欠かせません。
測量士の仕事は、土木業の根幹を成しているのです。
なお測量士の仕事内容や年収などのより詳しい情報については、こちらの記事で解説しています。
ビオトープ管理士
ビオトープは、その地域で野生の生きものが生息する空間を意味する言葉です。
持続可能な社会を実現するためにはこのビオトープを保護、創出し、その環境を維持していくことが欠かせません。
それを実施するために、生きものに関する知識に加え、関連する法律、技術、倫理観、応用力など、幅広い知識・能力をもつものに与えられるのが、ビオトープ管理士の資格です。
ビオトープ管理士には「ビオトープ計画管理士」と「ビオトープ施工管理士」の2部門があります。
ビオトープ計画管理士は生態系の保護・保全、復元、創出の理念などをもとに広域的な地域計画を行い、ビオトープ施工管理士はその設計、施工を担当する事業現場担当の技術者です。
試験は1級、2級があり、難易度が異なります。
国や地方自治体では、公共事業における管理技術者の要件の1つとしてビオトープ管理士を挙げていたり、入札の参加条件としてビオトープ管理士の配置を義務付けていたりしています。
近年、都市計画、農業、不動産、サービスなど、さまざまな分野で、生物の多様性や持続可能性、SDGsという観点が重要視されていますが、これは土木業も例外ではありません。
自然の中で道路や橋、土地を整備する土木業において、ビオトープ管理士は持続可能な社会を目指す技術者の証しといえるでしょう。
ビオトープ管理士のより詳しい内容は、こちらの記事でも解説しています。
▼造園業や土木業に携わるビオトープ管理士とは?仕事内容や年収について紹介
まとめ
土木施工管理技士は、土木施工管理技術検定合格者に与えられる資格で、建設業法が定める監理技術者や主任技術者などの該当資格です。
コンクリート診断士は、高い技術と幅広い知識をもとに、コンクリートの診断と維持管理に携わります。
測量士は土地の形や位置、道路や河川の測量を行います。国や地方公共団体などが行う測量や、全ての測量の基礎データになる測量を行うときには、必須の資格です。
ビオトープ計画管理士とビオトープ施工管理士の2種類があるビオトープ管理士は、生態系の保全、創出などのための地域計画と設計、施工を行います。
どの資格もその分野の専門家として活躍できる証しになるでしょう。