造園業や土木業に携わるビオトープ管理士とは?仕事内容や年収について紹介

ビオトープ管理士とは

ビオトープ管理士は造園業や土木業に関連する資格の1つです。

聞き慣れないビオトープとはドイツで生まれた概念で、ビオ【BIO】は生き物や生命、トープ【TOP】は場所を意味し、ビオトープは日本語で「生き物の生息空間」を意味します。

ビオトープ管理士とは自然を保護、再生し、野生生物が生きる環境を創出する専門家です。

ビオトープ管理士を名乗るには公益財団法人日本生態系協会が実施する試験を受験し、合格しなければなりません。ビオトープ管理士資格試験は「計画」と「施工」の2部門に分かれており、それぞれの試験に合格することで「ビオトープ計画管理士」、「ビオトープ施工管理士」と名乗れます。

ビオトープ管理士でもビオトープ計画管理士とビオトープ施工管理士では役割が異なります。

ビオトープ計画管理士
ビオトープ計画管理士は都市開発などの際に、環境を守り、生態系を壊さないように計画を作成するプランナーです。

ビオトープ施工管理士
ビオトープ施工管理士は、道路の建設や河川開発の際に、工事現場周辺の環境や野生生物の生息空間を侵さないように設計、施工をする事業現場で仕事をする技術者です。

ビオトープ管理士の仕事内容

ビオトープ管理士は企業や市民団体などで様々な仕事をしています。

多くのビオトープ管理士が造園企業に勤務していますが、ビオトープの知識や技術が庭造りに活かされています。

また、土木業や建設企業で働くビオトープ管理士は地域環境や地域に生息する生き物を考慮して建設計画を立てたり、施工したりします。

ビオトープ管理士資格試験の受験者には環境コンサルタント業に従事する人も少なくありません。環境コンサルタント業では環境調査業務などを手掛けています。

その他、教育研究機関に従事するビオトープ管理士は子供や学生に自然環境について教えるために授業や講義を行い、市民団体や公益団体で働くビオトープ管理士は自然を保護、再生するための活動に取り組んでいます。

ビオトープ管理士になるには?

ビオトープ管理士になるには、ビオトープ管理士資格試験を受験します。

ビオトープ管理士資格試験
ビオトープ管理士資格試験では「計画」と「施工」のそれぞれの部門に1級と2級があります。つまり、資格としては合計4種類が存在し、それぞれ試験内容は異なります。1級の方が難易度が高いです。

試験は年に1度実施されており、筆記試験は一斉実施のため、1度の試験で4種類の資格のうち1つしか受験できません。

受験資格
2級には受験資格は設けられていないので誰でも受験可能ですが、1級は学歴や資格の保有状況に応じて一定の実務経験が求められます。

試験内容や合格率
ビオトープ管理士資格試験は1級、2級共に筆記試験と小論文が課され、1級に関しては筆記試験に記述問題が含まれる他、筆記試験に合格すると口述試験があります。

ビオトープ管理士資格試験は生物の知識だけでなく、法律知識なども問われるので、幅広い勉強が求められるでしょう。令和2年の合格率は2級で約60%、1級は約30%となっています。

ビオトープ管理士の平均年収は?

給料BANKによると、ビオトープ管理士の平均年収は490万円から550万円です。

造園業や土木業で重宝される施工管理技士などの資格と異なり、ビオトープ管理士は民間資格であり、資格を取得しているからと言って年収に大きな影響があるわけではありません。

資格によって年収相場が決まるのではなく、ビオトープ管理士の多くが造園企業や土木企業に雇用されて働いているため、年収は所属企業の給与体系に準じます。

ビオトープ管理士を擁するような企業は比較的規模の大きな上場企業が多く、ビオトープ管理士の平均年収は高めに算出されがちですが、中小規模の企業で働くビオトープ管理士の年収は平均よりも低い可能性があります。

また、そもそもビオトープ管理士の求人はほとんど無いのが現状です。

造園業や土木業に関連する資格はたくさんありますが、ビオトープ管理士資格は就職や転職、キャリアアップで有利かと言われれば、答えはノーと言わざるを得ないでしょう。しかし、企業で働く以外にも、NPO法人を立ち上げるなどして、資格を活かしながら収入を得る方法が無いわけではありません。

まとめ

ビオトープ管理士はややマイナーな資格で、現在の需要は高くないかもしれません。しかし、近年は世界的にも環境問題への関心が高まり、民間を問わず環境保全の取り組みが積極的に行われています。

例えば、省庁や自治体が発注する公共事業の入札でビオトープ管理士がいる企業を評価するケースも見受けられます。

ビオトープ管理士の仕事は、まさに今を生きる人々や未来にとっても必要な分野であり、これからビオトープ管理士の資格の需要は高まっていくことが予想されます。

ただ、ビオトープ管理士の資格取得者の需要が急に増えるわけではないので、造園業や土木業に携わる人は施工管理技士など他の資格も併せて取得し、様々な業務を経験しながらビオトープ管理士としての知識や技術を活かすのが良いでしょう。