造園工事と土木工事の違いとは?それぞれに関する資格も紹介

造園工事と土木工事は似ている言葉ですが、この2つには明確な違いがあります。

本記事では両者の相違点を明らかにするとともに、それぞれの関連資格も紹介します。

土木工事と造園工事の違いとは?

土木工事と造園工事は、工事内容と目的が異なります。

建設業法では、ある一定規模以上の工事を請け負い、営業するためには、建設業許可を取得することを義務づけています。

この建設業許可は29の業種に分けられていて、それぞれの工事内容についても明記されています。

土木工事が該当する土木一式工事と造園工事の工事内容は、下記のとおりです。

土木工事一式

総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事(補修、改造又は解体する工事を含む。)

造園工事

整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造し、道路、建築物の屋上等を緑化し、又は植生を復元する工事

引用:業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方(H29.11.10改正)
https://www.mlit.go.jp/common/001209751.pdf

ここで言う土木工作物とは、土地に定着した人工物のうち、建築物を除いたものを指します。

具体的には、建物と地面とを結ぶ基礎部分、河川や海岸につくられる堤防、空港、橋、道路、ダム、トンネル、下水道などが該当します。

また地形の変更や土地の整備、土砂災害防止のための工事や、農業用水の引き込み、森林整備のための林道建設も、土木工事です。

このように土木工事では、私たちの暮らしの根底を支え、安全性や機能性を高めるためのインフラ整備を中心に行っています。

それに対して造園工事は、美観や環境との調和、景観の整備などを目的として、庭、公園、広場などの空間を創造する工事を指します。

土木工事では耐久性や機能性が最重要とされますが、造園工事ではこれらに加えて、自然との関わりや美観も重視される点が異なると言えるでしょう。

土木工事に関する資格

機能性、安全性の確保に重点をおいた土木工事では、専門的な知識や技術が必要です。

そこで本章では土木工事に関する資格の中から、土木施工管理技士技士、コンクリート診断士、ビオトープ管理士の3つを紹介します。

土木施工管理技士
土木施工管理技士は、建設業法に基づいて行われる、土木施工管理技術検定合格者に与えられる国家資格です。

1級、2級があり、受検資格、難易度などが異なります。

土木施工管理技士は等級に応じて、一定規模以上の工事をする際に配置が義務付けられている、監理技術者、専任技術者、主任技術者として認められています。

土木工事の施工管理に携わる人にとって、重宝される資格です。

土木施工管理技士技士を目指す人向けの情報は、以下の記事でも詳しく解説しています。

土木施工管理技士を目指したい!いきなり1級を取得することは可能?

コンクリート診断士
コンクリート診断士は、コンクリートの診断、維持管理に関する相応レベルの知識を保有している人に与えられる資格です。

公益社団法人日本コンクリート工学会が認定・登録しています。

既存のコンクリート構造物の劣化診断を主に担当していて、診断後は補修計画や維持管理の提案も行います。

土木工事ではさまざまなコンクリートが使用されています。

コンクリート診断士の資格は、今後も重視されていく資格の1つでしょう。

コンクリート診断士資格に関するより詳しい情報は、以下でも紹介しています。

コンクリート診断士とはどんな資格?持っているメリットや受験資格を解説

ビオトープ管理士
ビオトープとは、地域の野生の生きものたちが生息・生育する空間を意味する言葉です。

このビオトープを守り増やしていくのが、ビオトープ管理士で、公益財団法人日本生態系協会が認定試験を行っています。

ビオトープ管理士には難易度の違いで1級と2級、専門性の違いでビオトープ計画管理士とビオトープ施工管理士の2部門に分けられています。

生態系の保護・保全、復元、創出の理念と、野生動植物の調査技術を踏まえ、広域的な地域計画を行うのがビオトープ計画士、実際の設計・施工にあたる現場の技術者がビオトープ施工管理士です。

土木工事では環境や生物に配慮した計画・施工が欠かせません。

地域のインフラ整備を担当する土木業にとって、ビオトープ管理士は重要な資格の1つです。

ビオトープ管理士の詳細については、以下記事でも解説しています。

【2024年最新版】ビオトープ管理士とはどんな資格?受験資格や難易度を解説

造園工事に関する資格

土木工事と同様、造園工事にもその専門性に特化した資格があります。

本章では造園関連の資格の中から、造園技能士と造園施工管理技士の2つを紹介します。

造園技能士
造園技能士は、それぞれの職種について働く上で身につけるべき、あるいは必要とされる技能の習得レベルを評価する国家検定制度「技能検定」合格者に与えられる資格です。

造園職種には1級、2級、3級の3等級あり、それぞれ難易度や受検資格が異なります。

検定は学科試験と実技試験に分かれていて、両方に合格しなければなりません。

造園技能士は、造園工事の中でもとくに、作業実務に特化した資格と言えるでしょう。

造園技能士の詳細については以下でも解説しています。

【2023年最新版】造園技能士とは?難易度や合格率について解説!

造園施工管理技士
造園施工管理技士は、建設業法に基づいて実施される施工管理技術検定合格者に与えられる資格です。

造園施工管理技術検定は、造園工事における施工技術の確保と向上などを目的として行われています。

前述した造園技能士と比べて、造園工事全体の進捗、安全、品質などを管理する「施工管理」に重点をおいている点が特徴です。

1級、2級があり、受検資格、難易度、合格後に担当できる業務の範囲などが異なります。

造園施工管理技士の詳細や技能士との違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。

造園技能士と造園施工管理技士の違いは?

まとめ

土木工事と造園工事は、どちらも私たちの生活に必要不可欠な工事ではありますが、工事内容や目的が異なります。

土木工事では道路、橋、ダム工事など、私たちの生活や地域社会の基盤を支えるインフラ設備の工事を中心に行っていて、機能性、耐久性、安全性を重視しています。

対して造園工事は、環境との調和や美観の形成のために、庭、公園、緑地をつくり、みどりのある空間を創造する仕事です。

本記事ではそれぞれの工事に関連する資格も紹介しているので、自分の希望する仕事内容にあった資格をぜひ見つけてください。