
農学部を卒業した人は、どんな仕事に就いているのでしょうか。
専門的な勉強をしているイメージもあるため、就職先が限られていると思われがちですが、農学部を卒業した人たちはいろいろな業界で活躍しています。
そこで本記事では、農学部を卒業した人におすすめの就職先や業界を紹介します。

農学部におすすめの就職先
農学部は、私たちが生活する中でさまざまな形で利用しているあらゆる生物を対象とし、生産や販売について学び、研究しています。
そのためひとことで「農学部」と言っても、学科によって学ぶ内容はさまざまです。
食品や栄養について学んでいる学科もあれば、農業工学、農業機械や土木について学ぶ学科もあります。
学科によっては、園芸学や造園学について学ぶこともできるでしょう。畜産学や水産学、林学も農学の1分野です。
このように農学部では幅広い分野について専門性を高めることができるため、卒業後はさまざまな業界で働くことができます。
農学の中でもとくに、食にまつわることを専門に学んできたのなら、食品・飲料業界がおすすめです。
バイオ系や化学系、環境系の学科でも、食品分野との関わりが深いので、食品・飲料業界にすすむ人もいます。
園芸学や造園学、林学を専門にしていた学生は、造園業界で働くのも良いでしょう。植物の育て方や樹木の生理学、デザイン手法など、学んできたことを活かして働けます。
農業工学や土木について学んできたのなら、建築・土木業界もおすすめです。
農学部では取得単位によって、測量関係の資格をとることができます。測量関係の資格や、農学部で学べる農地整備の知識などは、建築・土木業界でも活かすことができるスキルです。
実際に農学部を卒業した人たちの就職先をみてみると、食品会社、酒造会社、製薬会社、種苗会社、JA、住宅会社など、多岐にわたります。
民間企業だけではなく、公務員試験を受けて、官公庁や地方自治体などに就職したり、教員になったりする道もあります。
幅広い分野を学べる農学部では、大学で学んだ専門性を活かして、さまざまな業界で活躍することができるのです。
以下のそれぞれの業界を詳しく紹介していきます。

食品・飲料業界
農学部では、食品化学、醸造学、畜産食品学、食品栄養学など、食品や飲料についてさまざまな角度から学んだり研究したりすることができます。
そのため、卒業後は食品・飲料業界に就職する人が多く、就職者の3割近くが、食品・飲料業界に就職している大学もあります。
もともと食べることや食に関して興味をもっていて、将来は食品・飲料業界で働きたい、という理由で農学部に進学した人もいるので、食品・飲料業界は農学部向けの業界とも言えるでしょう。
就職後は研究業務に携わる学生が多いでしょう。
新商品や新しい食材の開発、加工技術の検討、品質管理や安全性に関する研究などが主な業務です。
農学部で学んだ、食品化学や栄養学、微生物学など、さまざまな知識を活かして働くことができます。食料・飲料業界は農学部での学びを最大限に活かすことができる業界でしょう。

建築・土木業界
農学部では、森林資源や環境工学について学ぶこともできます。
そのため住宅の材料でもある木材の知識や、農学部で取得できる測量士補の資格を活かして、建築会社や住宅メーカーに就職する学生もいます。一般的な建築・土木会社では、営業職や技術職として働く学生が多いでしょう。
また農業土木、土地改良、農地整備などを学び、それを活かして農業土木コンサルタントやゼネコン、建設コンサルタントの会社に就職することもできます。
なお同じ分野で公務員として働く学生もいます。
コンサルタント会社では、農地や用水路の整備計画、設計をする際に、一般的な土木とは異なる、農業土木の知識が必要とされます。
そのため、農業土木に関する専門的な知識をもった農学部出身者は、コンサルタント業務に必要な人材なのです。
実際に農業土木を学んだのち、建設会社で土質や地盤を調査、研究する業務に携わっている学生もいます。
一見するとあまり関係がないように思われがちな建築・土木業界ですが、農学部で学べることとも、深く結びついていると言えるでしょう。

造園業界
農学部の中には、造園や園芸について専門的に学んだり研究したりしている学科や研究室があります。
そういった研究室の出身であれば、造園業界で働くのも選択肢の一つです。今まで学んできたことを直接的に活かすことができるので、チャレンジしやすい業界です。
造園系の学科を卒業した人の多くが、造園関係や緑化関係の会社に就職し、設計、工事、施工管理などの仕事に携わっています。
また公園の管理者として、イベントの企画や運営、広報業務を主に担当している学生もいます。
造園業が対象とするフィールドは広く、個人住宅の庭、公園、道路などさまざまです。会社によっては法面緑化や建設事業を合わせて請け負っていることもあります。
そのため造園を専門としていなくても、農学部で学ぶことができる、植物や土壌、環境保全などに関する知識を活かして働くことができます。
大学では同じ農学部でも畜産系を専門としていた人が、造園会社で植栽管理業務に就いている例もあります。
造園業界は、農学部で学んだことをベースにして、それらを発展させていくことができる業界とも言えるでしょう。

まとめ
農学部では一般的にイメージされる農業だけではなく、食品、栄養、土木、園芸など、幅広い分野について学んだり研究したりしています。
卒業後は自分の専門を活かして働くことができる、食品・飲料業界や建築・土木業界などで働くのがおすすめです。
また園芸学、環境学、造園学などについても学べるので、農学部で得た知識や技術をそのまま活かしやすい、造園業界も選択肢の一つでしょう。
農学部ではさまざまな分野について学べるので、専門としていない分野に就職したとしても、今までの経験や知識を役立てることができます。