外構工事と土木工事の違いは?目的・スケール別にわかりやすく解説!

外構工事と土木工事、土を掘ったり何かをつくったりしているイメージがあり、違いがよくわからないという人もいるでしょう。

よく混同されますが、この2つの工事には共通点もあるものの、明確な違いがあります。

そこで本記事では外構工事と土木工事の違いを、工事の目的や規模から解説していきます。

外構工事とは?

外構工事について考えるために、まずは「外構」という言葉について見ていきましょう。

外構とは建物の外につくる工作物のことで、具体的には門、塀、庭木、車庫、垣根などが該当します。

これらの工作物を設置するのが、外構工事です。ウッドデッキ、テラス、サンルーム、物置を設置する工事も、外構工事に含まれます。

外構工事は、建物を利用する際の利便性、機能性、防犯性などを高めるために行われます。

私たち個々の暮らしをより快適にするために行われる工事が外構工事であると言えるでしょう。

土木工事とは?

土木工事とは建設工事の1種で、一般的に建築物以外のものをつくる工事のことを指します。

建築物とは、土地に定着する工作物のなかで、屋根、柱、壁などを含むもののことです。いわゆる家やビルなどの建物をイメージすると良いでしょう。

トンネル、道路、橋、鉄道、ダム、空港などをつくるのが、土木工事です。

また建築物を建てるために、地盤を整備したり、上下水道を整備したりする工事も、土木工事に含まれます。

このほか、土砂崩れなどの自然災害を防ぐために行う砂防工事や保安林整備のための林道建設、農地に水をひいたり整備したりする工事も土木工事です。

土木工事は、私たちの暮らしの基盤を支えるものをつくる工事といった面が強く、公共性が高いものが多い点が特徴と言えるでしょう。

外構工事と土木工事の違い

外構工事と土木工事はともに建設工事の1種ですが、目的や工事の規模が異なります。

それぞれの違いについて詳しく見ていきましょう。

工事目的と対象
外構工事の主な目的は、建物周りの美観や機能性、利便性、防犯性などを高めることです。

そのため、建物に付随した工事であることが基本で、それを利用する人が安全で快適に過ごすために工事を行います。

発注者も個人が中心のため、個人の利益のために行われる工事と言っても良いでしょう。

それに対して土木工事は、公共インフラを整備することに重点を置いています。

また土木工事では安全性や耐久性がより重視される点も特徴です。

発注者も地方自治体や官公庁が中心のため、個々の要望に応えるのではなく、公共の利益のために行われる工事とも言えるでしょう。

工事規模
外構工事は基本的に建物に付随した工事のため、主に個人から依頼を受けて行う場合が多く、比較的小規模な工事が中心です。

一般的に外構工事にかかる費用は住宅建設費の5~10%程度と言われていて、1件あたりの費用相場は100~300万円前後と推定されています。

工事内容にもよりますが、工期も数日から数週間程度と、あまり長くないのが特徴です。

一方で土木工事は公共工事が中心のため、中~大規模な工事が多いでしょう。

数ヶ月かけて1つの工事を完成させることも多く、半年以上かかることもあります。複雑な工程を段階的に進めていかなければならないこともあるでしょう。

多くの作業員や建設機械も必要です。

また建設業法では一定額以上の工事を請け負う際には、建設業許可を取得することを義務づけています。

外構工事は建設業許可がなくても請け負える範囲の工事規模もありますが、規模が大きな土木工事では建設業許可がないと工事を受注できない場合があります。

外構工事と土木工事には共通点も!

外構工事と土木工事はともに建設工事の1種で、外構工事は建物の外にある工作物を設置する工事、土木工事は建設工事のうち、建築物以外のものをつくる工事のことです。

建物外にある工作物は建築物ではないので、外構工事は土木工事に含まれるとも考えられます。

そのため、外構工事と土木工事には共通する部分もあるのです。

最初に挙げられる共通点が、どちらも屋外で作業するという点でしょう。

たとえば大工や内装工事業などとは異なり、建物の外にある工作物をつくる外構工事や、道路、上下水道などのインフラ整備を中心に行う土木工事はどちらも、屋外作業が中心です。

屋根がないところで作業するため、天候に左右されやすいという点も共通しています。

またどちらの工事も「環境を整備する」という大きな目的は共通しています。外構工事では建物周りをより美しく見せたり、利便性や機能性を高めたりすることができます。

土木工事は安全で快適な暮らしのために、インフラ整備を行っています。

規模は違えど、どちらも私たちの暮らしをより快適にするために環境を整えている点は共通していると言えるでしょう。

外構工事と土木工事では案件ごとに地形や気象条件が異なるという点も共通しています。

現場ごと、その場の諸条件にあわせた計画が必要なため、どちらの工事でも、事前の調査や計画が重要になるのです。

まとめ

建物の周りにさまざまな工作物を設置する外構工事と、道路、橋、ダムをつくったり地盤整備をしたりしてインフラを整える土木工事では、工事の目的や規模が異なります。

外構工事は建物周りの美観や機能性、利便性、防犯性などを高めるために行われますが、土木工事はインフラの整備が中心で、安全性や耐久性を重視しています。

工事の規模も住宅に付随する工事が多い外構工事では小規模な場合がほとんどですが、公共工事を中心とする土木工事では、中~大規模な工事が多いでしょう。

その一方で、どちらも屋外で作業する点や環境整備のために工事を行う点などは共通しています。

どちらも私たちの暮らしを支える工事と言えるでしょう。