造園業もデジタル化が可能に?どんな業務がデジタル化できる?

IT化が遅れる建設業…DXって知ってる?

IMD「世界デジタル競争力ランキング2020」によると、63か国・地域のうち日本は、2013年は20位、2019年は23位、2020年はさらに4ランク低下の27位でした。ここ数年低下傾向にあります。

IT化の遅れは行政だけではありません。業界によってばらつきはありますが、民間企業においてもIT化が遅れ、効率の悪いアナログ業務が常態化し、生産性が低くなるだけでなく、社会の変化に対応できなくなってしまいます。

建設業は、IT化が遅れている業界の一つです。現在、建設業においてもDXが推進されています。

DXとは?
建設業でも導入が進むDXとは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略語です。英語圏の表記にならって、日本でもDXと呼ばれています。

DXは、デジタル技術を活用することで、企業が提供する商品やサービスを変革するだけでなく、業務の過程や内容、企業の風土や文化をも変革し、企業を成長させ、競争力を高めることを狙っています。

今後、デジタル技術の利用による新たなビジネスモデルが生まれたとしても、DXを推進する既存の企業なら競争力を維持できるでしょう。

建設業界のDX
建設DXとも呼ばれる建設業界のDXは、建設業界が抱える様々な課題を解決することが期待されています。建設業界としては、建設DXの推進を急ぎたいところでしょう。

ところが、建設業界はアナログな職場が多いのが現状です。元請となる大企業でDXが推進されていたとしても、下請の中小企業がアナログ式で作業をすることも少なくなく、結局はDXを導入している企業もアナログ式に仕事を進めざるを得ない事例が見受けられます。

デジタル化できる業務はどんなものがある?

建設業でDXを推進することは、労働者にとっても、会社にとってもメリットが大きいです。建設企業や造園企業は、現状のアナログ業務を少しずつデジタル化に切り替える努力が求められています。

日報作成
従来、日報は紙に手書きで作成されていましたが、現在では日報アプリや専用システムがあるので、利用しない手はありません。日報作成をデジタル化することで、労働者は時間や場所を問わずに作業できますし、同僚との情報共有も容易です。

現場撮影
現場撮影をデジタル化することで、今までより簡単な方法で、高品質な情報を得られます。

例えば、ドローンを使用することで、空中写真や動画を撮って、現場の危険を確認したり、進捗状況を把握したりできます。

工程管理
建設業では、工程管理におけるデジタル化も外せません。建設業におけるDXに関して、国土交通省は、BIM/CIMの導入や推進に積極的です。

BIM/CIMとは、建築の計画や調査、設計時から3次元モデルを導入し、施工や維持管理などの各工程でも3次元モデルに連携し、情報を充実させつつ、情報を活用することです。

また、情報は関係者間で容易に共有できるので、一連の工程管理の効率化や高度化も実現できます。

マーケティング、受注、顧客管理
建設業の仕事は、現場だけではありません。マーケティング、受注、顧客管理など、現場以外の業務もデジタル化が可能です。

MA (マーケティング支援)、SFA(営業支援)、CRM(顧客管理)などのツールがあるので、企業はツールを上手く活用することで、業務の効率化を図れるでしょう。

造園業でのデジタル化、今後の可能性と課題は

造園業でも遅れが見えるデジタル化ですが、業界内で導入が進んだ際は様々なメリットが期待できます。しかし、普及するには課題も少なくありません。

今後の可能性
造園業でデジタル化が進むことで、今後、造園業界が抱える課題は解決される可能性が高いでしょう。

造園業界の抱える課題とは、人手不足、ノウハウの継承問題、危険作業、過重労働などです。

IT技術を導入することで、今まで人間の手を必要としていた業務に人手がかからなくなります。危険な作業も遠隔で行えるので、作業する人が怪我をしたり、事故に遭ったりする危険性はありません。

また、業務の効率化により、労働時間が短縮されます。デジタル化による労働環境の改善は、新たな人材確保につながるでしょう。

ノウハウの継承問題に関しては、人から人へ継承するのではなく、人間がデジタルツールに技術や知識などのノウハウを蓄積することで解消できます。

デジタルツールを用いることで、経験の浅い人でも、作業の質を高められるでしょう。

課題
造園業でデジタル化を進めるには、解決すべき課題もあります。

例えば、通信環境の問題です。造園業の作業現場は、通信環境の悪い場所にあることも少なくありません。通信環境の悪い現場では、デジタル機器を用いての仕事ができないため、まずは通信環境の整備が求められるでしょう。

また、デジタル化を進めるにあたって、デバイスの準備やネットワークの整備、優れた技術の導入などにお金がかかります。

造園企業の中には、デバイスの準備費用、アプリやツールのランニングコストなどがデジタル化の推進を遅らせる要因になっている場合もあるでしょう。

さらに、建設業におけるDX導入の課題として、労働者のデジタル化への拒否感も挙げられます。建設業や造園業では、高齢の労働者も多く、新しい取り組みや技術に対して抵抗感を持つ人も少なくありません。

企業は、デジタル化に対して抵抗感を持つ人に対し、デジタル化のメリットを示しながら、少しずつ労働者の意識を変えていく努力が必要でしょう。