そもそも職業訓練とは何か
造園業は職人の世界というイメージが強いですが、造園業だけでなく多くの職業でその業種ならではの専門的な知識や技術が求められます。
特に、企業では中途採用者に経験や即戦力を求める傾向にあり、スキルや知識が無い状態での再就職は簡単でないのが現状だと言えるでしょう。求職者の役に立つのが職業訓練です。
職業訓練
職業訓練は大きく2種類あり、雇用保険を受給している人を対象とした公的職業訓練、雇用保険の対象外となる求職中の人に向けた求職者支援訓練です。
ハローワークで受講申請後、訓練実施機関での選考に合格し、さらにハローワークで受講あっせんを受けてやっと職業訓練を受講できます。
公的職業訓練
失業保険の受給者が対象の公的職業訓練は就職に役立つスキルや知識を習得できる公的制度で、テキスト代などを除いて無料で受講できます。
また、失業保険の残日数などの条件によりますが、職業訓練を受講することで失業保険の延長給付を受けることも可能です。
求職者支援訓練
雇用保険の受給対象外の求職者が受講できるのが求職者支援訓練で、テキスト代以外は無料ですが、学卒者向けの高度な訓練などは有料の場合があります。
一定の条件を満たせば、職業訓練受講手当を受給できます。
造園業の職業訓練では何をするのか
ITや建設、介護など多様なコースがある職業訓練ですが、造園業に関するコースもあります。造園業の職業訓練では造園関連の企業に就業するために役立つ知識やスキルを学べます。
造園業の職業訓練の内容
造園業は扱う仕事が幅広く、様々な技術を身に着けることでできる仕事が多くなります。また、造園業に関連する資格も多数あり、資格の有無でも扱える仕事が変わってくるでしょう。
造園業の職業訓練では、一例として庭園や公園内の構造物について学ぶ造園実習、植栽、造園業において必要な機械の操作や管理実習、栽培、設計・製図などを学びます。
具体的には学科と実技の講座をバランス良く学ぶカリキュラムになっており、学科では安全衛生や社会人基礎、生産工学概論、造園土木概論、建築物緑化概論などを学びます。
実技では製図作成や造園土木施工作業、建築物緑化作業、測量、緑地管理作業などを習得します。
また、職業訓練を通して小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育、仮払機取扱作業の安全教育修了証をはじめとした免許を取得できる他、2級造園技能検定の受験資格を得られるなど造園業で働く上で有利となる技術や知識を身に着けることができるでしょう。
職業訓練校や受講コースによって内容は異なるので、受講先のコース内容を確認してください。
造園業の職業訓練が受けられる場所はどこか
造園の職業訓練校は全国にあるので、居住地に近い訓練校を見つけられるでしょう。
職業訓練が受けられる場所は職業能力開発校、専門学校などの民間の教育機関、職業能力開発大学校、職業能力開発促進センターとなっています。受講期間や応募受付開始日、入校日は訓練校によって異なるので都道府県のサイトやハローワークで情報収集をして確認しましょう。
ここでは、半年から1年以内を受講期間としている造園業の職業訓練を受けられる場所を一部ご紹介します。
職業能力開発校の例
職業能力開発校は都道府県や市町村が主体となって設置している職業訓練課程を行う施設です。地域によって名称は異なる場合があります。
新潟県立新潟テクノスクールは新潟県が設置した職業能力開発校で、造園技能士養成科において6ヶ月コースで造園業の就業に必要な訓練を受けられます。
新潟県立新潟テクノスクールでは、訓練中に造園技能士3級の資格試験の受験が義務付けられており、資格取得によって造園業への就職の実現がより期待できるでしょう。
神奈川県かなテクカレッジ東部(東部総合職業技術校)は神奈川県内にある大規模な職業訓練校で、造園科は4月開講で1年過程となっています。
造園師の仕事やエクステリア、現場施工の業務をこなせる訓練内容となっており、訓練修了生は造園業や緑地管理業、外構業へ就職した実績があります。
愛知県立岡崎高等技術専門校の造園科は造園施工科と造園管理科の2科があり、造園業に就業するために必要な知識と技術を学ぶ他、それぞれの科において必要とされるスキルを習得します。
造園施工科なら設計や施工に関するスキル、造園管理科は剪定や管理に関するスキルを身に着けることができるでしょう。造園科は4月開講で、1年にわたって勉強します。
まとめ
造園業に就職を希望する人は職業訓練の受講を選択肢に入れてみると良いでしょう。
職業訓練は基本的に無料で、就職で求められる専門知識やスキルを学べたり、就職支援を受けられたりするなど求職者にとってはメリットが多くあります。
造園業に関しては男性が多いイメージがありますが、職業訓練で造園科を受講して造園企業に就職している女性も実際にいるので、女性であっても造園業に興味がある人は造園の職業訓練を考えてみると良いかもしれません。
また、造園業の職業訓練校の募集要項に女性入校枠がある旨を記載している場合もあるので、女性で造園業に就業したい人は性別についての心配は不要だと言えるでしょう。