
造園業で活躍する庭師は、どんな仕事をしているのでしょうか。
植物と関わりが深いイメージですが、具体的な業務内容は想像がつきにくいこともあるでしょう。
本記事では庭師の詳しい仕事内容を解説するとともに、植物と関わることができるほかの仕事も紹介します。

庭師とは
ひとことでいうと、庭師とは庭を造る人のことです。
古い言葉では園丁、英語だとガーデナーなどと呼ばれることもあります。
よく似た言葉や同じように使われる言葉に、造園業で実際に工事を担当する人たちを指す「造園職人」や「造園工」があります。
造園業でも庭や庭園を造るので、庭師と造園職人・造園工に大きな差はありません。
ただ、造園業では庭や庭園だけではなく、公園、緑地など、人為的に造られたさまざまな種類の屋外空間を対象としているのが特徴です。
対して庭師はどちらかといえば「庭」や「庭園」に特化した仕事を中心にしている傾向が強いでしょう。
もちろん「庭師」と名乗っていても、学校や公園など公共施設の維持管理や工場の植栽工事を請け負っている会社もあります。
造園業で創り出す空間は、植物、土、石といった自然のものと人工物を組み合わせからできているもので、自然環境と生活との共存の場でもあります。
そのため庭師は、広い意味では庭だけではなく、私たちの暮らしの中にあるさまざまな屋外空間を作り、それらを維持管理している人ともいえるでしょう。

庭師の仕事内容
庭師の仕事は、庭、公園、緑地などの設計、施工、維持管理を通じて、私たちの暮らしの中にある、みどりや自然を創り出したり守ったりすることです。
庭師の仕事を設計、施工、維持管理の3つに分けて、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
設計
住宅の庭、商業施設の庭園、公園など、新しく作る空間のデザインを考える仕事です。
その場所がもつさまざまな条件を考慮し、計画を立てます。
現地の状況や気象条件、周囲の環境を把握するためには、専門的な知識も求められるでしょう。
現場の状況を把握するために、測量することもあります。
もちろん、顧客の要望や利用者のニーズを反映することも大切です。
これらの条件を加味して、植物や使用する材料の選定、レイアウトの決定を行います。
決定した内容を図面にまとめたり、使用する材料の拾い出しや見積書を作成したりすることも、設計業務における重要な仕事です。
施工
設計した内容に基づき、実際に工事をするのが「施工」です。
まずは建設機械や人力で、工事する場所を掘ったり土を盛ったりして、地盤を整備します。
その後、設計内容に応じて給排水や電気設備の設置を行います。この作業はそれぞれ別の専門職に任せることが多いでしょう。
設計内容に応じて、さまざまな専門職の人たちと協力しながら施工することもあります。
次に行うのが、園路を敷いたり、池や流れを作ったりする作業です。
柵や垣根、東屋などの工作物を設置し、最後に植栽を配したら完成です。
施工作業では、図面や定められた仕様の通りに作ることも大切ですが、安全に配慮しながら作業することも重要です。
計画通りに進めるためには、専門知識や技術に加えて、柔軟な対応力や管理能力も求められるでしょう。
維持管理
出来上がった庭や、もともとある庭園、公園などを美しい状態に保つために行うのが、維持管理です。
定期的に樹木の剪定や刈り込み、芝刈り、除草などを行います。
植物が美しく健康な状態を維持するためには、肥料に散布や病害虫予防・防除のための薬剤散布も欠かせません。
夏は水やりの頻度を増やす、冬は寒さ対策を施すといった、季節ごとの対応も必要です。
生きて成長する植物を相手にする庭師の仕事は、季節やその植物の特性に応じた、きめ細やかな維持管理が重要といるでしょう。

庭師以外の植物と関われる仕事とは
庭師は植物と関わりが深い仕事ですが、それ以外にも植物と関わることができる仕事はたくさんあります。
たとえば、庭師と同じように造園業界で活躍している、造園施工管理技士は、その代表例でしょう。
造園施工管理技士の仕事は、造園工事の現場で責任者として工事全体を管理することです。
工事管理の仕事を通じて、植物と関わることができます。
このほか、樹木の調査、診断、治療などを行い、樹木の保護保全のために働く樹木医も、樹木を中心とした植物とともに働くことができる仕事の1つでしょう。
住宅の外周り空間を意味する、エクステリアのデザインや施工管理を担当するエクステリアプランナーや、造園業では設計業務を担当する造園設計者もまた、植物と関わることができる仕事です。
エクステリアや造園空間では、植物を用いたデザインをします。
エクステリアプランナーや造園設計者は、自分たちで考えたデザインで、植物と共存した新たな空間を創り上げることができます。
なおオフィスや店舗を観葉植物で彩る、グリーンコーディネーターも、植物と関わることができる仕事の1つです。
植物を育てることの楽しさや魅力、植物の育て方についての正しい知識などを伝える、グリーンアドバイザーもまた、植物と関わりが深い仕事でしょう。
それぞれの仕事における植物との関わり方はさまざまです。
そのため植物とどのような形で関わりたいか、自分自身にあった仕事を見つけることができるでしょう。

まとめ
庭師とは庭、公園、緑地など、私たちの暮らしの中にあるさまざまな空間を作ったりその維持管理をしたりする職人のことです。
実際の仕事では、これらの空間の設計、施工、維持管理を担当します。
庭師以外にも植物と関わる仕事には、造園施工管理技士、樹木医、エクステリアプランナーなど、さまざまな種類があります。
いろいろな関わり方があるので、自分自身の希望に添った仕事を見つけることができるでしょう。