全建総連とは?
全建総連は全国建設労働組合総連合の略で、大工や左官、一人親方、職人など、建設業に携わる労働者が中心となって組織している労働組合です。
日本においては、企業毎に組織されている企業別労働組合が多いですが、企業別労働組合が集まって建設業など産業別の労働組合も作られており、労働者の賃金や労働時間をはじめとした労働条件の改善を図るために活動しています。
全建総連は、日本の労働組合で4番目に組合員数の多い組織となっており、47都道府県のそれぞれに組合が組織されている他、一部の県では複数の組織が加盟し、合わせて53県連・組合の連合体となっています。
全建総連は、ナショナル・センターと呼ばれる全国中央組織には属さず、中立の産業別労働組合です。
特に、建設業の場合、他の職種よりも業務中に怪我をする可能性が高いこともあり、全建総連は、労働者の生命や健康、暮らし、仕事を守るために、個人加盟の居住地組織の形態としてスタートしました。
組合への加入は労働者自身の自発性に委ねられているため、一人ひとりの労働者が個人の意思に基づいて地域の組合に加入する点が大きな特徴となっています。
労働者の権利って具体的になに?
日本国憲法第28条では、労働者の権利として、労働基本権が定められています。労働基本権とは、団結権、団体交渉権、団体行動権です。
労働者は、会社に雇われている身であることから、会社よりも立場が弱くなりがちで、個人では不満の声を上げにくいでしょう。
労働者の連帯組織である労働組合は、個々の労働者では解決できない悩みや問題を解決、改善することが期待されます。
全建総連の場合、組合員や建設業に従事する労働者全体の要求を把握し、建設業団体や政府へ交渉することを主な活動内容としています。
団結権
団結権は、賃上げや労働時間など、労働条件の改善や問題解決のために、労働組合を作ったり、組合に加入したりする権利です。組合を作ることで、会社と対等な関係で交渉ができるようになります。
団体交渉権
団体交渉権は、労働者が団結して、使用者にあたる会社に対し、労働条件や労使関係上の取り決めを交渉する権利です。使用者は、団体交渉を不当に拒否できません。
団体行動権
団体行動権は、交渉しても解決が見えない場合、仕事を投げ出し、団体で抗議できる権利です。メディアなどでよく目にするストライキも団体行動権の争議行動の一つといえます。正当性のある争議行動であれば、使用者は団体に対して損害賠償の請求はできません。
労働組合加入へのメリットは?デメリット、加入方法を紹介
全建総連を組織する労働組合への加入には、メリットやデメリットがあります。メリットやデメリットを押さえた上で、加入を希望する人は加入方法を知っておきましょう。
メリット
労働組合へ加入するメリットの一つは、怪我や病気の際に給付金が支給されることです。
全建総連を組織する組合は、国民健康保険組合(建設国保)を運営しているため、建設業に従事している労働者やその家族は気軽に医療を受けられる他、傷病手当金や出産手当一時金、葬祭費などの給付もあります。
また、全建総連を構成する組合は、厚生労働省の認可の下、労働保険事務組合を作り、労災保険の事務も手掛けていることから、業務中の怪我や死亡事故が起こった時などに補償を受けられます。
その他、全建総連を組織する組合に加入することで、組合員は資格取得支援を受けられたり、建設業退職金共済制度(建退共)への加入や働き方改革への対応のサポート、税金対策サポートを受けられたりするなど、組合に加入するメリットは少なくありません。
全建総連のホームページでは、社会保障対策や税金対策、住宅対策、技術対策などの資料や契約書などをダウンロードできるようになっています。
また全建総連には、労働災害共済総合保険や年金共済制度をはじめ、各種共済制度がある点も魅力です。
デメリット
労働組合に加入するデメリットは、組合費が負担になる場合があることです。
労働組合に加入すると、メリットは多いものの、毎月組合費を支払うことになります。組合費が高いと感じるか、安いと感じるかは個人によって異なるでしょうが、人によっては負担に感じるかもしれません。
労働組合への加入を考える際は、組合費や組合の活動内容などをよく調べた上で、加入の判断をすると良いでしょう。
また、労働組合に加入することで、通常の仕事以外に、組合関連の行事や集まりに参加を求められることもあります。人によっては、組合の集まりが煩わしく感じられるかもしれません。
組合への加入方法
全建総連に加盟している組合は、47都道府県のすべてにあるため、労働組合への加入を希望する人は、居住地の県連や組合に直接相談することで、加入できるでしょう。
全建総連のホームページには、地域別に全建総連に加盟している組合の連絡先が記載されています。自分の居住地の組合を探す際に参考にすると良いでしょう。