建設業・造園業でもテレワークはできるの?
働き方改革や感染症拡大の影響などで注目されているテレワーク。建設業・造園業でもテレワークを導入することは可能でしょうか?
国土交通省がまとめた職種別のテレワークの実施率をみると、営業職や管理職、事務職が比較的高いことがわかります。
建設業・造園業でも、図面作成や工事の受発注、顧客との打ち合わせなど、業務内容によってはテレワーク化が可能です。
建設業・造園業のテレワークの現状
建設業・造園業におけるテレワークの現状はどうなっているのでしょうか?
実施企業の割合
国土交通省が業種別のテレワーク実施率をまとめた資料によると、2021年における建設業の雇用型テレワーカーの割合は27.8%、自営型テレワーカーの割合も16.4%でした。
参考:令和3年度テレワーク人口実態調査
https://www.mlit.go.jp/toshi/daisei/content/001471979.pdf
情報通信業や学術研究、専門・技術サービス業では50%超の割合で実施されていることを考えると、建設業・造園業におけるテレワーク化は、まだまだ推進していく余地があると言えます。
テレワークに変えられる業務
テレワーク化しやすい業務としてまずあげられるのが、普段オフィスで行っている業務です。特にパソコンを使う事務作業や製図作業、見積もりの作成などは、テレワーク化しやすいでしょう。
会議や打ち合わせ、技術指導などもWEB会議システムを導入すれば、テレワーク化できます。
現場作業が中心の作業員も、日報や写真台帳の作成、勤怠管理などをデジタル化できれば、現場への直出・直帰が可能です。
建設業・造園業にテレワークを入れるメリット
建設業・造園業でテレワークを実施するメリットは大きく分けて2つあります。
多様な働き方が可能・人材の確保につながる
オフィスに出勤する機会が減り、場所や時間の制約が減ることで、多様な働き方ができます。
子育てや介護などの理由で時短勤務を選択したり、やむを得ず離職したりしていた人が、出勤時間がなくなればフルタイムでの勤務ができたり、仕事を続けやすくなったりするでしょう。
勤務地の制限がなくなれば、幅広い地域から人材を確保できます。
これまではフルタイム勤務者に集中していた業務をテレワーカーへ分散すれば、通常勤務者の負担を減らせるため、従業員にもメリットがあります。
コストの削減ができる
システムの導入やデジタル機器の整備など初期投資が必要になりますが、長期的に考えればさまざまな面でコストを削減できます。
オフィスに出勤する機会が減ると、交通費などの移動費を削減できます。また、広いオフィスが不要になれば、事務所の賃料や設備費、光熱費なども減少するでしょう。
テレワーク化に伴い、アナログ業務を廃止して業務のデジタル化を推進することで、印刷代などの雑費をカットできます。
建設業・造園業にテレワークを入れるための課題
建設業・造園業でテレワーク化を進めていくためには、現場作業ができない、業務に支障が生じる、必要な設備が整わない、という課題があります。
現場作業ができない
建設業・造園業の仕事は現場作業が中心です。施工するときには、実際に建物や庭をつくる場所に行って作業しなければならないため、業務の全てをテレワークにすることは不可能です。
また現場作業の中でもスマートフォンやタブレットを使ってできる業務もありますが、場所によっては通信環境が整っておらず、それらのモバイル機器が使えないこともあります。
業務に支障が生じる
テレワークを導入すると社員同士や協力企業と直接顔を合わせる機会が減り、コミュニケーション不足で業務に支障が生じやすくなります。
テレワークのコミュニケーションは電話やメールが中心ですが、メールの返信が遅れたり、電話に出られなかったりすることでタイムラグが生じ、「報・連・相」がスムーズに行われなくなりがちです。
細かい情報を共有しにくいため、確認不足でミスが増えたり、認識が一致しなかったりすることで、作業の進行に影響が出やすいのも問題と言えるでしょう。
必要な設備が整わない
デジタル化が遅れている建設業・造園業では、テレワークに必要な設備や環境が整っていないことがあります。労働者側でも、自宅にパソコンがない、ネット環境が整備されていない、といった場合もあります。
テレワークを導入するためには、情報共有のために社内のデジタル化を進めるだけではなく、労働者側でも自宅で作業ができる環境を整えておくことが大切でしょう。
建設業・造園業のテレワークにおすすめのツール
テレワークを取り入れて業務を円滑に進めるためには、コミュニケーションや情報共有がしやすくなるツールを導入するのがおすすめです。
コミュニケーションツール
コミュニケーションツールとしておすすめなのが、チャットツールとWEB会議システムです。
チャットツールはメールに比べてリアルタイムにやりとりができること、複数人での会話がスムーズに行えることが特徴です。
スタンプなどで簡単に意思疎通でき、現場作業をしながらでも対応しやすく便利です。
WEB会議システムは実際に対面で話しているような環境で使えるので、表情がわかりやすく、相手の反応や感情が読み取りやすいというメリットがあります。
インターネット環境さえ整っていれば、ツールをダウンロードするだけで使えるものが多く、導入コストをおさえられるのも魅力です。
クラウド
情報共有やコミュニケーション促進のためには、クラウドサービスの利用が便利です。
建設業・造園業向けに開発されたクラウドサービスでは、カタログ情報や現場調査の資料、見積もりなどをまとめて管理できます。
写真や報告機能でリアルタイムに現場の状況が確認できたり、工事履歴も登録できたりするので、メンテナンス業務や追加工事にも対応しやすくなっています。
また大手エクステリアCADメーカーからは、自社のCADソフトや積算ソフトなどと連携できる業務管理型のクラウドサービスが登場。物件ごとに管理ができ、スケジュールや顧客情報を共有しやすいのが特徴です。
まとめ
全ての業務、従業員をテレワーク化することは建設業・造園業の特性上難しいかもしれません。
業務を細分化し、できることからテレワークにすることで、従業員のワークライフバランスは向上し、業務効率の改善にもつながります。
多様な働き方が求められる昨今、テレワークを上手に取り入れていきましょう。