土木施工管理技士を目指したい!いきなり1級を取得することは可能?

土木施工管理技士には1級、2級がありますが、いきなり1級にチャレンジすることは可能なのでしょうか?

土木施工管理技士とはどんな資格なのか、1級から受検するときに気をつけたいことについて解説します。

土木施工管理技士とは

建築業法に基づいて行われる「施工管理技術検定」にはいくつかの種別がありますが、その中の1つが「土木施工管理技術検定」です。

土木管理施工技士はこの検定に合格すると得られる国家資格で、1級と2級があり、受検資格や試験内容、担当できる工事の規模、役割などに違いがあります。

建設業法では営業所ごとに専任の技術者を配置することを義務づけています。

1級土木施工管理技士であればこの専任技術者として認められていますが、2級土木施工管理技士の場合、一般建設業許可のみが対象です。

工事現場ごとの設置が義務づけられている監理技術者と主任技術者についても、1級、2級で該当が異なります。

発注者から直接、4,500万円以上の下請け契約を請け負った場合、1級土木施工管理技士の資格を保有した監理技術者を置いておく必要があるでしょう。

また建設業許可は業種ごとに行われていますが、土木工事に関するものは土木一式、とび・土工・コンクリート、舗装、塗装など、いくつかの種別に分かれています。

そのため2級の検定は、種別が土木、鋼構造物塗装、薬液注入の3つに分かれていて、それぞれで試験内容も異なります。

合格後も選択した種別でのみ専任技術者、主任技術者として認められますが、1級に種別はなく、合格後もすべての種別において専任技術者、監理技術者の対象です。

1級土木施工管理技士は2級に比べて、より大規模で幅広い工事を担当すると言えるでしょう。

いきなり1級取得は可能?

2級を受けずに1級土木施工管理技術検定から受検することは可能です。

令和6年度から施工管理技術検定の受検資格が改定され、1級・第1次検定は「受検年度中における年齢が19歳以上の者」であれば誰でも受検できるようになりました。

今までは最終学歴によって年数が決められた実務経験が必要だったので、学生や指定学科を卒業していない人は長く実務経験を積まないと受検できませんでした。

受検資格が改定されたことで、さまざまな人が1級にチャレンジしやすくなったと言えるでしょう。

1級を目指すなら覚えておきたいこと

いきなり1級の土木施工管理技術検定を受けるなら、第2次検定を受検するため、実務経験が必要、1級の方が合格率が低い、という点に注意しましょう。

1級・第2次検定は実務経験が必要
第2次検定では第1次検定合格後に1年から5年の実務経験を積まないと受検できません。

この実務経験年数は、所有している資格や職務の内容・立場によって異なります。

該当する資格を保有していない場合は、5年以上の実務経験か特定実務経験を1年以上含む3年以上の実務経験が必要です。

ここで言う特定実務経験とは、請負金額4,500万円以上の工事で監理技術者か主任技術者の指導下で施工管理を行うか、自らが監理技術者もしくは主任技術者として施工管理を行った経験のことです。

また第1次検定合格後、監理技術者補佐として1年以上の実務経験があれば受検できます。

監理技術者補佐とは、監理技術者の職務を補佐するために工事現場に専任で配置される技術者のことで、主任技術者のうち1級技能検定合格者や1級施工管理技士補などの資格を保有している人が対象です。

ですが比較的小規模な工事や下請け工事を中心に請け負う会社に勤務している場合には、特定実務経験や監理技術者補佐の経験を積むのは難しいため、多くの場合は5年の実務経験が必要になるでしょう。

また実務経験として認められる業務は、勤務先の会社が受けている建設業許可の工事業種区分、工事内容、従事内容によって詳しく定められていて、これに該当しないと実務経験として認められません。

第2次検定を受検するためには、1年から5年の実務経験が必要で、すぐに「1級土木施工管理技士」になることはできない、ということを覚えておきましょう。

1級の方が合格率が低い
検定を実施している一般財団法人全国建設研修センターの発表をもとに資格スクールがまとめた結果によると、1級・第2次検定の令和4年度合格率は28.7%、令和5年度は33.2%でした。

過去5年分の結果を見てみると、35%程度の合格率です。

これに対して2級の結果は、令和4年度が37.9%、令和5年度が62.9%でした。令和5年度だけが例外的に高い合格率ですが、それ以外の年度は35~45%ほどなので、40%程度の合格率だと言えるでしょう。

第1次検定のみを比較しても、1級の方が合格率が低い傾向にあります。

2級・第1次検定の合格基準は「全体の得点が60%以上」だけですが、1級・第1次検定は「全体の得点が60%以上、かつ応用能力を問う施工管理法の問題での得点が60%以上 」です。

また第2次検定の合格基準はどちらも得点の60%以上ですが、2級は主任技術者としての知識や応用能力が問われるのに対し、1級は監理技術者としてより高度な知識・応用能力が問われます。

監理技術者たる1級土木施工管理技士は現場の責任者としてより重い責任を伴うため、1級は難易度が高く合格率が低いと考えられるでしょう。

まとめ

土木施工管理技士は「土木施工管理技術検定」合格者が得られる国家資格です。

1級土木施工管理技士は建設業法が一定以上の規模の工事で設置を義務づけている監理技術者として認められます。

年度内に19歳以上になる人であれば1級・第1次検定は誰でも受検できますが、第2次検定は第1次検定合格後、規定の実務経験がないと受検できません。

2級を受けずに1級からチャレンジすることも可能ですが、監理技術者としての知識・応用能力が問われる分、1級の方が難易度が高く合格率が低い傾向にあるので注意しましょう。