基幹技能者講習とは?
基幹技能者制度は、専門工事業団体による民間資格として平成8年に始まりました。平成20年1月31日に改定された建設業法施行規則に基づき、基幹技能者制度に代わって登録基幹技能者講習制度が誕生しています。
平成20年4月1日以降に、国土交通省に登録された登録基幹技能者講習実施機関において基幹技能者講習を受講した人は、国土交通省による経営事項審査で評価の対象となります。
登録基幹技能者とは
工事現場において、安全で高品質な工事を効率良く進めるためには、職長などの役割がとても重要です。
登録基幹技能者は、熟練した作業スキル、専門的な知識を持っているだけでなく、現場を仕切ったり、作業を効率的に進行できたりするだけのマネジメント能力も持ち合わせた技能者のうち、専門工事業団体の資格認定を受けた人しかなれません。
登録基幹技能者は、登録造園基幹技能者や登録エクステリア基幹技能者をはじめ、数多くの種類が認定されています。
工事現場において、登録基幹技能者は上級職長として元請けの計画や管理などにおける補佐業務での活躍が期待されています。
登録基幹技能者講習
登録基幹技能者講習は、基幹技能者の職種によって実施団体も異なれば、内容も異なります。
例えば、登録造園基幹技能者講習の内容は、基幹技能者のあり方や関連法規、造園のものづくりの特性、施工管理や工程管理、品質管理などで、2日間にわたって学び、最後に択一式の筆記試験があります。
登録基幹技能者講習の日程も基幹技能者の職種によって異なり、2021年11月時点では、12月や2022年に開催される講座など、定員に達していなければ受付できる講座もあります。
登録基幹技能者講習に受講資格はある?
登録基幹技能者講習を受講するには、受講資格を満たしている必要があります。
受講資格は大きく3つありますが、受講する基幹技能者の職種によって受講資格が異なるので、受講予定の人は自分の職種について受講資格の確認が必要でしょう。
当該基幹技能者の職種において実務経験10年以上
講習の基本受講要件とされるのが、当該基幹技能者の職種における10年以上の実務経験です。
造園ならば造園に関連する実務経験、エクステリアならばタイルやレンガ、ブロック、土工、石工事などエクステリア関連の実務経験が求められます。
2種類の登録基幹技能者講習を受講する場合、それぞれの基幹技能者の職種における実務経験と職長経験が必要です。
実務経験のうち職長経験が3年以上
実務経験のうち、3年以上の職長経験も基本受講要件の1つです。ただ、登録鳶と土工基幹技能者については8年以上の職長経験が求められます。
職長とは、現場で作業員の監督を行う人で、職長になるためには職長教育、建設業では一般的に職長・安全衛生責任者教育を受講しなければなりません。
職長教育や安全衛生責任者教育は、資格試験のように落ちることはありませんが、職務の重要性を鑑みると、しっかり講座内容を理解することが求められます。
実施機関において規定されている資格の保有
登録基幹技能者の職種ごとに、登録基幹技能者講習を受講するために必要な資格が規定されています。求められる資格は、登録基幹技能者の職種に関連するもので、例えば造園ならば1級造園技能士、1級造園施工管理技士のいずれかの資格取得者となっています。
講習を受けると仕事内容はどのように変わる?
登録基幹技能者講習を受けた人には、大きく4つの業務での活躍が期待されています。登録基幹技能者の仕事は幅広く、工事現場において重要な役割を担っています。
期待される仕事
登録基幹技能者に期待される仕事の1つ目は、施工方法の提案や調整です。登録基幹技能者は、現場の状況に応じて臨機応変に施行方法を提案したり、調整したりする能力が求められます。
2つ目は、技能者を適切に配置したり、作業方法や作業手順を構成したりする業務です。工事現場での作業を効率的に進めるために最適な人員配置、作業方法を判断しなければなりません。
3つ目は、技能者に対して施工に関する指示や指導することです。そして4つ目は、前工程や後工程のことを考え、他の職長との連絡や調整を担うことになります。
専門性も必要
基本的な登録基幹技能者の業務の他、基幹技能者の職種ごとに専門性も求められるでしょう。
例えば、登録造園基幹技能者の場合、植物や石など形が不ぞろいな天然素材を使用しますが、おさまりに対する調整力なども必要になります。
他にも、登録造園基幹技能者は、高品質な空間づくりのため、植物に関する幅広い知識を駆使した植栽計画や美的センスを発揮した石の配置など、豊富な経験や知識が欠かせません。
まとめ
登録基幹技能者は、技能だけでなく、現場をまとめられる高度なマネジメント能力も求められます。また、登録基幹技能者講習の受講によって認定された人しかなれません。
それぞれの職種の専門知識、技能、マネジメント能力などを兼ね備えた登録基幹技能者は、工事現場の中核を担う人物として活躍が期待されます。
受講資格を満たしている人は、キャリアアップの一環として登録基幹技能者講習を受講してみると良いでしょう。