チェーンソーとは
チェーンソーとは、日本語で鎖鋸と訳される電動式、充電式、エンジン式の鋸(のこぎり)です。
チェーンソーは、小さな刃が連なったソーチェーンを動力などで高速回転させることで木材を切断できます。林業や製材業において使われているチェーンソーですが、家庭で庭木の手入れに使われることもありますし、近年はDIYやアウトドアブームもあり、個人的に使用する人が増えてきているようです。
チェーンソーは、ホームセンターで購入できる他、通販でも取り扱われているため、誰でも気軽に購入できます。
複数の企業から、様々な特徴を持つチェーンソーが発売されていますが、小型で操作も簡単なチェーンソーも多く出ているため、初心者や女性であっても比較的簡単に使いこなせるでしょう。
チェーンソーには資格が必要な理由
身近でよく使用されているチェーンソーですが、使用者は資格の必要性について知っておかなければなりません。チェーンソーを扱うのに資格が必要な場合があるのです。
チェーンソーの資格が不要な場合
個人的にチェーンソーを使用する場合、資格は不要です。家庭でDIYをしている人やアウトドアをしている人が無資格でチェーンソーを使っていたとしても、法的に問題なく、罰せられることはありません。
チェーンソーの資格が必要な場合と理由
業務でチェーンソーを利用する際は、チェーンソーの資格が必要です。
林業の場合、他の産業に比べて労働災害の発生率が高く、林業の死亡災害のうち伐木作業やチェーンソー作業の事故は特に多いです。
死亡に至らなかったとしても、チェーンソーによって創傷や骨折、打撲傷、切断などの重傷を負う人もいます。
チェーンソーの使用は危険を伴うので、使用者はチェーンソーの安全な使い方を修得するためにも、労働安全衛生法によって特別教育の受講が義務づけられています。
尚、チェーンソーの呼称について、日本ではずっとチェンソーと呼ばれていました。しかし、業務におけるチェンソーの資格取得が必要な根拠となる労働安全衛生法で、チェーンソーと表記されている他、一般的にもチェーンソーの表記が浸透しています。
資格を取得するには
チェーンソーの資格を取得できる特別教育は、本来雇用主が行うべきですが、民間企業が実施する講習に任せることも可能です。
資格の種類
以前の特別教育は、大径木伐木等と小径木伐木等に分類されていました。2019年8月の労働安全衛生規則の改正により、2020年8月からチェーンソーによる伐木等特別教育に統合され、資格の種類は現在1種類のみとなっています。
教育内容
特別教育で、受講者は学科教育と実技教育を受けなければなりません。
学科教育では伐木等作業に関する知識、チェーンソーに関する知識、振動障害及びその予防に関する知識、関係法令を学びます。
実技教育で、受講者は伐木等の方法、チェーンソーの操作、チェーンソーの点検及び整備を身に着けられるでしょう。
また、2020年8月から学科と実技の科目に造材の方法と下肢の切創防止用保護衣等の着用が追加されました。
費用と期間
特別教育を受ける機関によって費用は異なりますが、受講予定者はテキスト代を含めて2万円から3万円くらいを想定しておくと良いでしょう。
開催母体によっては、無料や数千円と格安で特別教育を受講できる場合もあります。
チェーンソーの資格は、他の資格と比べても短い期間で取得することができます。未経験者向けコースだと、18時間(学科9時間、実技9時間)の講習を3日間で終えられます。
また、改正前に大径木伐木等か小径木伐木等を修了している人には、新しく追加された項目のみ受講できる免除コースがあります。免除コースの受講時間は大径木伐木等を修了している人で学科2時間、実技0.5時間です。小径木伐木等のみの場合は学科3時間、実技2時間かかります。料金は、約6,000円です。
チェーンソーを使う上での注意点
自分の身を守るためにも、チェーンソーを使う人は知っておくべき注意点があります。
振動障害
チェーンソーを使う人に現れることのある振動障害とは、手指などの末梢循環障害、末梢神経障害及び運動器障害の総称で、手や足などにしびれや冷え、こわばりをはじめとした症状が出ます。
振動障害を予防するため、チェーンソーの使用者は厚生労働省による振動障害予防対策について知り、チェーンソーの作業時間を調整するなどの対策が必要です。
キックバック
キックバックは、チェーンソーが使用者に向けて跳ね返る現象で、死亡事故につながりかねない危険性をはらんでいます。
チェーンソーが回転中、ガイドバーと呼ばれる部分の先端に木材や固い物などが触れた時、キックバックが発生しやすいです。
チェーンソーの使用者は、キックバックの原因や予防法を熟知し、日頃から事故が起こらないように注意しながら作業しなければなりません。
まとめ
チェーンソーは、誰でも気軽に使える身近にある便利な工具ですが、使い方を誤ったら大きな事故につながる危険性をはらんでいます。
特に、家庭で個人的に使う場合、資格は義務づけられていませんが、使用者は細心の注意を払って作業に臨むべきでしょう。
業務でチェーンソーを使用する人は、資格が必要です。チェーンソーを安全に使用するために必要な内容なので、しっかりと知識や技術を身につけて業務に活かしましょう。