自然再生士になるには?仕事内容や試験内容も解説

平成22年度に新設された自然再生士。国土交通省登録資格であり、総合評価落札方式で加点対象となることもある重要な資格です。

今回の記事では、自然再生士の概要や仕事内容を解説しています。また、受験に関する具体的な内容として受験資格や試験内容、受験のポイントも解説しているため自然再生士に興味のある方は参考にしてみてください。

自然再生士とは

自然再生士は、自然再生に関する理念の啓発と技術の普及を担う資格であり、持続可能な社会の実現や生物多様性の保全を目指している資格です。

本資格には、人と自然が共生する環境づくりを推進する目的があり、環境保全活動の一環として重要な役割を果たしています。

自然再生士の資格を創設したのが一般財団法人日本緑化センターです。この団体は自然再生士のほかにも、樹木医などの環境保全に関連する資格も管理しています。

自然再生士は地域の自然環境を守り、次世代に豊かな自然を引き継ぐための重要な使命を持っています。

自然再生士の仕事内容

自然再生士は緑道の修復や里山の再生、河原の管理、希少生物の保護など、多岐にわたるプロジェクトに携わります。

これらの活動は造園業としての側面も持ちますが、自然再生の観点からその必要性を理解し、広く一般に広めていく役割が自然再生士には必要です。自然再生士は、自然環境の再生に尽力し、持続可能な未来を築くために重要な存在となるでしょう。

自然再生士になるには?

自然再生士になるには、受験資格を満たした上で受験・合格し自然再生士として登録・認定されなければなりません。本章では受験資格や試験内容、受験時のポイントを解説します。

受験資格・合格率
受験年度の4月1日時点で満23歳以上であることが受験資格として必須条件です。加えて、一定の実務経験が必要となります。必要な実務経験は次の通りです。
|条件|実務経験|h
|大学卒|3年以上|
|短期大学卒|5年以上|
|高校卒|7年以上|
|自然再生士補|1年以上|
この実務経験には、大学院在学中の研究期間や、卒業後のボランティア活動の期間も含まれるため、学術的な研究や実務に携わった経験が評価されます。

自然再生士の前段階として、自然再生士補になるのも手段の1つです。認定された大学や専門学校で必要な条件を満たすほか、指定された自然再生セミナーを受講・必要書類を提出することでも自然再生士補として認定されます。

ただし、公園管理運営士や森林インストラクター、1級造園施工管理技士などの特定の資格を有している場合、自然再生セミナーを受講し確認テストを受験したのち申請書を提出すると自然再生士の資格を取得可能です。

試験の合格率に関しては今のところ公表されていません。合否基準に関しては総合得点で6割以上の点数が必要と公表されています。

試験内容
自然再生士の試験内容は、事前提出と当日実施の2つの部分で構成されています。まず事前提出として、受験者は経験論述問題に取り組まなければなりません。

事前提出では、自然再生または自然環境保全に関する業務経験やボランティア活動、大学院での研究内容などを800字でまとめます。

対して当日実施される試験は、択一問題と記述式問題の2つです。択一問題は90分間で全30題が出題され、自然再生総論、計画・設計、施工・管理、生態系(植物、鳥類、昆虫など)、技術者倫理・関連法規に関する内容が含まれます。

記述式問題は、企画・計画分野、設計・設計監理分野、施工・施工管理分野、維持管理分野、市民活動分野から出題され、5題の中から2題を選んで回答する形式です。

合格基準として、全体の6割以上の得点が必要ですが、この要件とは別に、択一問題で5割以上、記述式問題と事前提出分を合わせて5割以上を最低でもクリアしなければなりません。

この基準を満たさない場合、全体で6割以上の得点を取っていても不合格となります。

受験時のポイント(勉強方法)
事前提出の論文は受験者の実務経験や研究内容をまとめるものであるため、自身の経験をしっかりと整理し、わかりやすく記述することが求められるのみで、勉強方法などは特にありません。

当日実施される試験に向けては、択一問題と記述式問題の2つに関して準備が必要となるでしょう。択一問題では、自然再生の基礎的な知識が問われるため、一般財団法人日本緑化センターが発行している「自然再生ガイドライン」を参考書として使用可能です。

このガイドラインを読み込むことで、試験に対応できる基礎知識をしっかりと身に付けられます。

記述式問題に関しては、5題から2題を選んで解答する形式です。したがって、すべての分野を網羅するのではなく、自分の得意分野に絞って集中的に勉強するとよいでしょう。

特に、自分が実務で関わってきた分野や関心のある領域に重点を置くことで、解答の質を高められます。

まとめ

今回の記事では、自然再生士を解説しました。自然再生士は、自然再生に関する理念の啓発と技術の普及を担う資格であり、持続可能な社会の実現や生物多様性の保全を目指します。

資格取得に関する受験資格や試験内容、受験勉強のポイントも解説しているため自然再生士に興味のある方は参考にしてみてください。