造園施工管理技士も対象!「技士補制度」はいつから?要件や変更点は?

国家資格の技士補制度とは

技士補制度とは新・担い手三法という法改正によって令和3年に施行されることが決まっている新しい制度です。

技士補は、主任技術者のうち職務に関連する知識や技能を持っている人材で、監理技術者の補佐を務められる資格です。

元々造園業界含む建設業界全般には色々な課題がありますが、技士補制度の創設は特に人材不足という課題に対応するための取り組みと言えます。

2014年に担い手三法と呼ばれる法が改正されました。担い手三法とは入契法と建設業法、品確法のことです。担い手三法の成果は見られたものの、相次ぐ自然災害などによる建設業界に求められるニーズの高さ、長時間労働問題、i-Constructionの導入など建設業界では課題が尽きません。

2019年に再び入契法と建設業法、品確法を改正したことで新・担い手三法と呼ばれるようになりました。この法改正で技士補制度を創設することによって技術者不足という課題の解決を図っています。

特に、高齢化で大量離職が懸念される建設業界の事情を鑑みて、若手人材の確保や育成、定着を見据えています。

さらには、技士補は施工管理技士にキャリアアップするための良い動機付けになるとも考えられています。

技士補制度で、試験制度が変更に

造園施工管理技士は業界で働くなら取得すべき資格の一つですが、今後在り方や試験が技士補制度によって大きく変わります。

既存の造園施工管理技士の資格試験は1級と2級があり、どちらの級も学科試験と実地試験の両方に合格する必要があります。

実地試験は不合格だったとしても翌年までは学科試験が免除されていましたが、2回連続で実地試験に不合格だった場合、学科試験から受験し直す必要がありました。

この検定制度では、実地試験に不合格だった場合に学科試験から再受験する人の割合は大幅に低くなるという傾向があり、これまで資格保有者を増やし人材不足を解消する上での課題と捉えられていました。

技士補制度の施行後は、学科試験と実地試験は試験内容が再編成されて一次検定と二次検定に名称が変わり、一次検定に合格するだけで技士補の資格を取得できるようになります。

一次検定と二次検定の両方に合格することで今までと同様に技士の資格を取得することが可能です。例えば、2級造園施工管理技士の一次検定に合格すると2級造園施工管理技士補、さらに2級造園施工管理技士二次検定に合格すると2級造園施工管理技士となります。

試験内容は、一次検定は施工技術の基礎知識や基礎能力、二次検定は施工技術のうち実務経験に基づく技術上の管理や指導監督に関連する知識や能力を測るものとなっています。

2級は17歳から受検できるので、2級技士補の資格は高校生でも取得可能で、造園業に就職したいという若者のモチベーションを高める効果も期待されています。

担当できる業務も変わる

技士補の創設で様々なことが変わっています。

まず、技士補資格によって受験資格要件が変わっています。現行では2級造園施工管理技士技術検定合格者が1級造園施工管理技士技術検定を受験するために必要な実務経験年数が条件として設けられていますが、技士補制度施行以降は2級二次検定の合格者は1級の一次検定を受検する際に実務経験を求められなくなります。

実務経験の条件がないことで、早く1級造園施工管理技士補の資格に挑戦することが可能です。(なお、1級造園施工管理二次検定の受検には実務経験が必要です)

1級造園施工管理技士補を取得することで仕事内容にも変化があります。技士補の資格があると監理技術者の補佐を務めることが認められるので、今までは監理技術者しか扱えなかった仕事に補佐として携われます。

監理技術者は、元請けとして総額4,000万円以上の大規模工事を契約する際に配置が義務付けられており、施工管理計画から現場の安全管理まで大事な仕事を担うことになる重要ポジションです。

ただ、施工管理技士の資格を取得しない限りはあくまでも補佐であるため、監理技術者の指導下にて働くことになります。

また、監理技術者の配置が必要な工事の中でも、請負金額が3,500万円以上の工事は監理技術者の専任配置が定められていましたが、技士補制度によって配置義務が緩和されます。

技士補を現場に専任で配置することで、監理技術者は複数現場での仕事が認められるようになります。

技士補は造園業界にとっても歓迎すべき資格ですが、造園施工管理技士資格の取得を目指している人にとっても資格が取得しやすくなり、最終的に施工管理技士資格を取得するまでモチベーションを保ちやすいメリットがあります。

再編成された試験内容の難易度は現行の試験と同程度ですが、技士補の創設で資格取得の難易度は下がります。

技士補は一次検定の合格だけで取得できることに加え、一次検定の合格に有効期限はなく、どんなに期間があいても一次検定を再受検することなく二次検定に望めるからです。

このように、技士補の創設では変更点が多くあるので最新の情報を得て資格取得の準備をしましょう。

一般財団法人全国建設研修センター