造園業は未経験でもできるのか
私たちの暮らしにゆとりや彩を与えてくれる緑の草花や樹木。
いつの時代も人びとのそばにあり、きちんと手をかけてあげることで人びとの心をさらに和ませてくれます。
そんな緑の植物を大事に管理しているのが造園業という業種であり、公園や学校・マンション・緑地帯などを広く管理する造園会社や植木屋は常に必要とされています。
また、当然のことながら、適切な管理・手入れをすることができる造園業に従事する人びとも常に必要とされていると言えるでしょう。
未経験から造園業として働けるの?
植物や自然が好きで緑にかかわる仕事をしたいと考えた場合、造園業界で働くためには特別な資格が必要なのでしょうか?また、未経験でも働けるのでしょうか?
安心してください、未経験でも募集している会社はあります。
造園会社で働く場合、造園や土木に関係する科や学部がある高校・専門学校・大学などを卒業し、造園会社に就職するのが一般的ですが、これらの学科を経ていなくても、社会人になってから改めて造園にかかわる仕事をしたいと造園未経験から転職する人も少なくありません。
未経験や中途採用も積極的に受け入れている造園会社も多く、会社によっては応募資格に要普通自動車免許としている場合もありますが、基本的には造園会社で働き始めるにあたり、必須とされる資格はないと考えてよいでしょう。
造園業で働くとどんな仕事が待っている?
庭師は植物の剪定や土木系の作業など高い技術力を要する職人的な仕事も多く、一人前になるまで長い年月を必要とします。
そのため、まず就職後の数年は見習い職人として作業の下準備や備品等の運搬、切り落とした枝や葉の清掃、道具の手入れなどの補助的な仕事が中心になります。
上司や先輩にあたる職人の仕事をそばで見ながら、徐々に植木の手入れを学んだり、剪定の仕方を覚えたりしていくことになるでしょう。
まずは知識を付けるべく造園業界で使える民間資格の取得がおすすめ
造園の設計・施工・管理まで行える親方として独立し働けるレベルになるまで大体10年かかると言われています。
造園業では、庭木の剪定や害虫駆除など植物の管理以外にも、庭園設計や外構の施工まで庭周辺の管理を複合的に執り行わなければならないケースも多く、学ぶべきことは多岐にわたるからです。
未経験から入って一人前になれるまでの間、実務経験を積んでいくのと並行していろいろな様式の庭を見たり、造園に関する本を読んだりしながら、美しい庭を造るための美的センスを磨く努力も必要となりますし、造園業でのキャリアアップに役立つ資格を取得していく必要もあるでしょう。
造園業での独立や大きな造園工事にかかわる時に必要な国家資格の場合、実務年数を要するものが多いのですが、造園業にかかわる民間資格では実務年数を問わないものもあるようです。
仕事の幅や可能性を広げるためにも、いろいろな資格を取得しスキルアップを図っていきましょう。
造園業で未経験者が描くキャリアプラン
未経験から造園業の会社に入社した場合、将来的にはどのようにキャリアアップしていけばよいのでしょうか?
一般的に造園会社で経験を積んで資格を取り、現場作業以外の図面作成・見積もりの計算・人事管理など事務的な業務まで行えるレベルになると、親方として独立し会社を興す場合が多いようです。
独立・開業の最大メリットは仕事の幅を広げていけることでしょう。個人向けの工事を地道に請け実績を積んでいくことで安定した経営ができれば、企業からの案件や公共事業など大きな仕事へ参入するチャンスも開けていくなど可能性も広がります。
このように独立に向けたキャリアプランの場合、以下のような流れになります。
例1:独立に向けてのキャリアプラン
《造園会社に就職~見習い期間(3年ほど)》
その間に取得可能な、もしくは取得しておきたい資格
・チェーンソー資格
・刈払機取扱資格
・3級造園技能士
↓
《職人及び監督業(5年~10年ほど)》
その間に取得可能な、もしくは取得しておきたい資格
・2級土木施工管理技士
・2級及び1級造園技能士
・街路樹剪定士
・2級及び1級造園施工管理技士
・1級土木施工管理技士
・樹木医
↓
《独立》
しかし、一方では自営業として独立する以外にも、公共事業や大手企業からの造園工事・維持管理を請け負っている同業の大手造園会社に転職したり、また取得した資格を生かして他業種の会社へ転職したりしてさらなるキャリアを積む人もいます。
このように、起業ではなく転職など勤務先を変更しながらキャリアを積む場合のキャリアプランは以下のような流れになります。
例2:転職でキャリアアップする場合のキャリアプラン
《造園会社に就職~見習い期間(3年ほど)》
その間に取得可能な、もしくは取得しておきたい資格
・チェーンソー資格
・刈払機取扱資格
・3級造園技能士
・2級土木施工管理技士(国家資格)
・2級造園施工管理技士(国家資格)
↓
《職人及び監督業(5年~10年ほど)》
その間に取得可能な、もしくは取得しておきたい資格
・2級及び1級造園技能士(国家資格)
・街路樹剪定士
・2級及び1級造園施工管理技士(国家資格)
・1級土木施工管理技士(国家資格)
・樹木医
・植栽基盤診断士
・造園修景士
↓
《転職》
これらの資格を必ず取得しなければならない、というわけではありませんが、目前のスキルアップだけではなく『自分が将来どのような仕事に携わりたいか』という長期の目標を立てることで、必要とされる資格も明確になってきます。可能な限り積極的に、資格を取っていくことをおすすめします。
造園業で転職をする前の準備
キャリアアップを含め造園業界内で転職をする場合、年齢や学歴よりも造園業での経験年数や資格が重要視され、特に経験者となれば一定水準以上の仕事ぶりを期待される傾向があります。
そのため、造園業にかかわる資格を持っている場合、採用や待遇面で有利に働くように交渉を行うことも可能です。
造園業経験者を募集している会社があったら、募集要項で求められている業務経験の内容に自分の業務経歴が当てはまっているか、必要とされている免許・資格を持っているかを確認しましょう。
もし、募集内容の免許や資格をまだ取得していない場合でも、資格取得のために必要な勤続年数を調べたうえで、転職先で資格を取得する準備がある旨伝えられるようにしておくとよいですよ。
せっかく経験と実力があっても、転職の際に無資格では訴求力が足りなくなりがちです。
小さな資格でも履歴書にかける内容があれば印象も変わりますので、意欲的に資格を取得しておきましょう。
将来どのくらいの収入でどういう生活にしていきたいかを考えよう
キャリアプランを考えるとき、どんな仕事であっても同じで自身の将来から考えて逆算していくことが必要です。
自分が歳をとった時にどんな生活がしていたいかや、独り立ちした後の一例ですが、結婚・子どもの誕生・子どもの成長などで変化するライフステージごとに『どんな働き方をしていたいか』『収入はどのくらい必要なのか』と考えてみましょう。
キャリアアップとは、上昇志向が高い人だけではなく、自分に合った働き方を叶えるために必要なことです。
将来、造園会社を立ち上げて独立したい人だけではなく、もっと環境の良い造園会社に転職したいという人も、自身のキャリアアップについて考えてみると、これからの道筋や新たな目標や課題が見つかるかもしれません。