造園業に必要な緑地樹木剪定士とは?
緑地樹木剪定士は、2023年に創設された、日本造園建設業協会が認定する新しい民間資格です。
同じ剪定に関する資格には「街路樹剪定士」があります。街路樹剪定士も、日本造園建設業協会が認定している資格で、街路樹の剪定基準を明確にし、さらなる技術向上を目指すことを目的としてつくられました。
緑地樹木剪定士はこの街路樹剪定士を基本にしたもので、公園や緑地、公開空地やオープンスペースなど、街路樹以外の公共空間にある樹木を対象としています。
近年、都市部の大規模公園や緑地では、不適切な管理や樹木の老朽化や病害虫被害に伴う、倒木や枯れ枝の落下が問題視されています。
街路樹剪定士が持つ、剪定に関する伝統的な技術と樹木の生理、生態などの専門知識を公園や緑地の樹木の管理にも取り入れ、この問題を解決していくために、緑地樹木剪定士は創設されました。
緑地樹木剪定士の認定制度では、公園や緑地など、公共空間の樹木に関する基礎的な知識と、剪定技術を含めた樹木の適切な育成管理や安全点検を行える技術を持った者を養成することを目的としています。
樹木はその種類や植えられた場所の環境によって、成長の度合いや形態の特性が異なり、剪定に適した時期や手法もさまざまです。
それぞれの場所、樹木に応じた剪定を行う緑地樹木剪定士は、公共空間における樹木剪定のスペシャリストと言える存在でしょう。
緑地樹木剪定士になるまでの流れ
緑地樹木剪定士になるためには、まず日本造園建設業協会が実施する「緑地樹木剪定士研修会」を受講し、その後認定試験を受験します。合格後は「緑地樹木剪定士」として登録認定することが必要です。
研修会と認定試験はそれぞれ、夏期と冬期の年2回実施されます。2023年度の夏期研修会は2023年度は7月1日から7月28日に、認定試験は、8月1日から8月31日に行われました。冬期日程は未だ発表されていません。
緑地樹木剪定士研修会は、受講を申し込むと送付されるテキストによる学習と、約240分のインターネット配信による講習動画を視聴して、受講します。開講期間内はいつでも、何度でも受講可能です。
認定試験は、CBT方式で行われます。CBTとは「Computer Based Testing」の略で、コンピューターを使った試験方式のことで、全国約300か所にあるテストセンターにあるコンピューター端末を使って受験します。
CBTで初めて講習や試験を申し込むときには、事前にログインIDとパスワード登録によるマイページ作成が必要です。この作業は、スマートフォンからも可能です。
試験は約1ヶ月ある期間内で、1日を選択して予約・受験します。試験会場や日時の予約は、試験予約日の3日前までは何度でも無料で変更できます。
認定試験に合格すると、「緑地樹木剪定士」として登録認定をしなければなりません。登録認定の有効期間は5年ですが、 初回更新までの有効期間は、保有する街路樹剪定士の有効期限となります。
緑地樹木剪定士の受験内容
緑地樹木剪定士の研修会と認定試験には、受講・受験資格が設けられています。また試験内容も、剪定技術だけではなく、緑地樹木剪定士が対象とする公園や緑地に関する基礎知識や安全管理など、広範囲にわたります。
受講・受験資格
緑地樹木剪定士研修会は、「街路樹剪定士」でなければ受講できません。緑地樹木剪定士になりたい場合には先に、街路樹剪定士の資格を取得する必要があります。
街路樹剪定士も、街路樹剪定士研修会を受講し、その後認定試験に合格すると登録認定できます。
街路樹剪定研修会を受講するのに必要な資格はありませんが、認定試験は、街路樹剪定士研修会と、労働安全衛生法に基づくフルハーネス型墜落制止用器具の特別教育を受講していて、1級造園技能士であることや、2級造園技能士で2年以上の剪定業務経験があることなどが求められます。
また、緑地樹木剪定士の認定試験は、緑地樹木剪定士研修会を受講していれば受験できます。
試験内容
緑地樹木剪定士の認定試験は、事前に送付されているテキストと、インターネット配信による講習動画の内容から出題されます。
研修内容は、公園・緑地に関する基礎知識、剪定技術、安全管理・樹木の安全点検、その他の関連知識の4つに分かれていて、どれも緑地樹木剪定士として欠かせない内容です。
試験は45分間で、4つの選択肢の中から1つ選ぶ四者択一式となり、全20問から構成されています。
試験当日の流れ
試験日当日は、試験開始時間の5分前までに到着し、本人確認書類を提出して受付をすませましょう。その際「受験ログイン情報シート」が渡されます。
試験会場には、携帯電話や上着などの手荷物は持ち込めません。手荷物は指定のロッカーに預け、試験中に使用できる筆記用具とメモ用紙を受け取ってから、試験会場に入室します。
「受験ログイン情報シート」に記載された、IDとパスワードを入力して、試験を開始します。最初に、操作方法を確認するための練習問題を解いてから、実際の問題を始めましょう。
問題を解き終わり、試験終了の確認画面が表示されたら、試験官を呼んで終了の意を告げます。筆記用具とメモ用紙を受付に返却し、「試験完了書」を受け取ったら、試験の完了です。
まとめ
緑地樹木剪定士は、2023年に創設された新しい民間資格で、公園や緑地、公開空地やオープンスペースなど、街路樹以外の公共空間にある樹木を剪定するエキスパートです。
資格を取得するためには、「緑地樹木剪定士研修会」を受講、認定試験に合格して「緑地樹木剪定士」として登録認定することが必要です。
公園や緑地などの公共空間を、利用者が快適で安全に利用できる場所として提供するために、緑地樹木剪定士の知識や技術は欠かせないものです。
緑地樹木剪定士への需要は、今後ますます高まっていくでしょう。