監理技術者と主任技術者の違いは?造園施工管理技士を取得したら知っておきたい仕事の違い

「造園施工管理技士の資格を取ると、監理技術者や主任技術者として認められる」と聞いたことがあるかもしれません。

この「監理技術者」と「主任技術者」はよく似た言葉ですが、担当する工事の範囲や役割に違いがあります。

造園施工管理技士とはどんな資格なのか、監理技術者と主任技術者の仕事の違いについて解説します。

造園施工管理技士とはどんな資格?

造園施工管理技士とは、建設業法に基づく国家資格です。

1級、2級があり、国土交通大臣指定機関である一般社団法人全国建設研修センターが実施する「造園施工管理技術検定」を受検、合格した人が「造園施工管理技士」として認められます。

検定試験は第1次、第2次に分かれていて、第1次検定に合格すると「造園施工管理技士補」になります。技士補は施工管理の責任者をサポートする立場になれる資格です。

また1級と2級は受検資格、第2次検定受検時に必要な実務経験、難易度などの違いがあります。

1級造園施工管理技士と2級造園施工管理技士とでは、工事現場の技術者制度においてどの技術者として認められるか異なります。

なお令和6年の検定から1級、2級とも受検資格が改定されています。

受検する際には一般社団法人全国建設研修センターのホームページや受検の手引きをよく確認すると良いでしょう。

造園施工管理技士は造園工事の現場で、施工計画や施工図面を作成したり、工程・品質・安全・原価管理を行ったりして、現場を管理するのが主な仕事です。

近年、造園業を含めた建設業界では、需要の多様化や高度化が進んでいます。

この需要に対応した適切な施工を行うために、施工を管理する技術者は一定水準の技術を保有しさらにそれを向上させていくことが求められるでしょう。

造園施工管理技士の称号は、現場管理の責任者として必要な技術を身につけていることの証しでもあるのです。

監理技術者とは

建設業法では、造園工事を含めた建設工事において適正な施工を確保するために「施工の技術上の管理を行う技術者」を配置することを定めています。

造園工事業においては、特定建設業許可を受けて発注者から直接工事を請け負う場合で、4,500万円以上の下請け契約をして施工するときに設置を義務づけられているのが「監理技術者」です。

監理技術者になれるのは1級の国家資格所有者や国土交通大臣特別認定者などなので、造園工事業では1級造園施工管理技士などが該当します。

また建設業法では、公共性のある重要な建設工事に配置される監理技術者は、専任でなければならないと定めています。

専任で監理技術者として工事に携わるときには、監理技術者講習を修了し、「監理技術者資格者証」の交付を受けていなければなりません。

監理技術者講習は一般社団法人全国建設研修センターで受講できます。

監理技術者資格者証の交付は一般財団法人建設業技術者センターで交付申請を行います。

受講と交付申請はどちらが先でも問題ありません。

ただしどちらも有効期限があり、専任の監理技術者として現場に配置されている間は資格者証と講習修了履歴、いずれも有効期限内でなければならないので、注意が必要です。

主任技術者とは

監理技術者と同様に、主任技術者も建設業法において設置が義務づけられているものです。

ただし監理技術者とは異なり、主任技術者は施工の技術上の管理をつかさどるものとして、請け負った工事を施工する場合には必ず配置されなければなりません。

請負金額の大小や元請け・下請けに関わらず、設置が義務づけられているのです。

造園工事業で主任技術者として認められるのは、1級もしくは2級の国家資格所有者や一定の実務経験を持つ人などなので、造園施工管理技士であれば1級、2級どちらも該当します。

また監理技術者と同様に、主任技術者も公共性のある重要な建設工事に携わるときには、工事現場ごとの専任で配置されなければなりません。これは下請け工事の場合でも適用されます。

主任技術者は監理技術者と異なり、監理技術者資格者証のようなカード型の資格者証がないため、携帯義務はありません。

仕事の違い

監理技術者と主任技術者の基本的な職務に大きな差はありません。

どちらも工事現場で施工計画の作成、工程管理、品質管理、実際に現場で工事をする人たちへ技術的な指導と監督を行うのが主な仕事です。

ただし監理技術者は元請けとして発注者から直接工事を請け負い、下請け契約を結んで工事をする場合に配置されるので、元請け会社の責任者として、下請け会社の社員にも指導・監督する機会もあるでしょう。

工事全体を統括する立場にいるので、例えば請け負った工事全体の施工計画を立てたり、下請け会社同士の工程調整をしたりすることも監理技術者の仕事です。

また4,500万円以上の下請け契約を締結する場合に配置が義務づけられて監理技術者は、主任技術者よりも必然的に大規模な工事を担当する機会が多くなります。

その分監理技術者には、より高度で専門的な技術と経験を求められるでしょう。

まとめ

監理技術者と主任技術者の基本的な職務は同じで、施工計画の作成、工程管理、品質管理、現場での技術的な指導と監督などが主な内容です。

ただ監理技術者は4,500万円以上の下請け契約を締結する場合に配置が義務づけられているので、下請け会社の社員に対しても指導・監督したり、工程全体の調整をしたりする点が異なります。

また監理技術者は造園施工管理技士の資格では1級を保有していないとなれませんが、主任技術者は1級、2級どちらも該当します。

監理技術者、主任技術者は共に、適切な施工を行うために設置される大切な技術者と言えるでしょう。