造園業のロープワーク!どんな結び方がある?

ロープワークとは

ロープワークとは、ロープの素材や種類、選び方、結び方、解き方などの、総合的なロープの扱い方や技法、その体系を意味する言葉です。

ロープにはさまざまな種類がありますが、結ぶものや目的に適した素材や太さが変わります。どのようなロープを使ってどんな結び方をするのか、総合的に判断することがロープワークでは大切です。

造園業では、樹木の吊り上げや竹垣の結束、高所作業時の安全確保、トラックでの資材運搬時など、さまざまな場面で用途に応じたロープワークが使われています。

竹垣や支柱を結束する結び方など、造園業界中心に使われているロープワークも数多くあります。ロープワークは、造園業で欠かせない基本技術の1つと言えるでしょう。

造園業でよく聞く結び方5選!

造園業でよく使われているロープの結び方には、南京縛り、男結び、うの首結び、もやい結び、より結びの5種類があります。

南京縛り
南京縛りは、トラックの荷台に載せた荷物を固定する結び方で、重量のある荷物や大きな荷物を固定するのに向いています。

建設業や農業、運搬業など、幅広い分野で使われている結び方で、造園業でも資材の運搬時など、日常的に使われています。

トラックの荷台は、運搬時の振動によってロープが緩みやすいので、確実に固定できる結び方でなければなりません。とくに植木は振動で根鉢が崩れてしまうと、上手く植え付けられなかったり、活着がわるくなったりしてしまいます。

南京縛りはロープの端を強固に固定でき、アジャスターのように使えて長さの調整がしやすいため、形を問わずにしっかりと固定でき、振動でも緩みにくいのです。

ポイントは、結び終わったあとにしっかりと固定されているか、ロープの張りをチェックすることです。荷物を押してみて、ロープの張りに変化がないか、しっかりと確認しましょう。

男結び
男結びは「いぼ結び」とも呼ばれ、竹垣や雪囲い、支柱を結ぶときに使われている結び方です。たとえば、四ツ目垣の立子と胴縁が交差する部分は全て、男結びで結束します。

しっかりと結べて緩みにくく、強度もあって見た目も美しいのが特徴です。

造園技能検定の実技試験でも、この男結びを含めた竹垣の制作が、課題として出されています。男結びは造園業における、基本の結び方の1つと言えるでしょう。

この男結びには、縄の掛け方により、裏二の字掛けと綾掛けの2つに分けられます。

結び目の裏側を見たときに、漢字の「二の字」のように平行になるのが裏二の字掛け、縄が交差しているのが綾掛けです。

うの首結び
とっくり結びや巻き結びとも呼ばれ、杭や丸太など、輪を通すことができるものにロープを掛けたいときに使います。

「とっくり結び」の名は文字通り、昔はとっくりにこの結び方で縄を掛け、ぶら下げられるようにしたことに由来します。ロープの両端を引っ張ることで締まるので、何かをぶら下げるときに便利な結び方です。

造園業では、建仁寺垣や金閣寺垣などで、竹垣の最上部にあたる玉縁や側面の押縁を結束するときなどに使います。建仁寺垣や金閣寺垣の玉縁は、うの首結びをしたあとに、ねじりいぼ結びなどの飾り結びをして、さらに見た目よく仕上げます。

建仁寺垣の制作も、造園技能検定の実技試験で出されたことがあります。うの首結びもまた、造園業におけるロープワークの基本と言えるでしょう。

もやい結び
もやい結びはロープや紐の端に輪を作る結び方で、船を係留しておくときに使われています。

輪の大きさは自由に設定できることと、石や植木にロープを掛けて引っ張っても、輪が締まらないことが特徴で、すばやく結べて強度があるのに、簡単に解けます。

造園業では高所での剪定作業時に、落下防止のために植木と自身をつないだり、肩にロープを掛けて石や植木を引いたりするときにも使います。

アウトドアなど、日常でも使える結び方なので、覚えておくと便利です。

より結び
ねじ結びや立ち木結びなどとも呼ばれています。杭や立ち木などの棒状のものに、ロープを結びつける方法です。対象物にロープを掛けて、できた輪にねじるようにロープを巻きつけていくだけなので、比較的簡単に結べます。

このとき、巻きつける回数が多いほど、しっかりと結べるのが特徴ですが、力を弱めると結び目も緩みます。

剪定枝などバラバラとしたものをまとめるのには向かないので、植木の一時的な運搬や吊り上げなどに使われます。

結び方によってロープは変えた方がよい?

造園業ではシュロ縄や麻縄、わら縄、ビニロンロープなど、さまざまな種類のロープを使い、場面に応じていろいろな結び方をします。

造園業のロープワークは、「この場面ではこの種類のロープを使って、この結び方をする」というように決まっているのが特徴です。

結び方によってロープを変えるというよりは、さまざまな理由で、場面ごとに使うロープの種類と結び方が決まっているのです。

たとえば、植木の根巻きには麻布や麻紐、わら縄などを使いますが、これは布や紐ごと土に埋めてしまうため、自然に帰る素材を選んでいるからです。

また竹垣や支柱などに使われるシュロ縄は、風雨にさらされても劣化しにくいことに加え、締めやすく作業性にも優れています。

青い竹と黒いシュロ縄の対比は見た目も美しく、デザイン性にも優れています。支柱に使われる茶色のシュロ縄は、幹になじみやすく、景観を損ないません。

一方で、いくら作業性に優れていても、トラックの荷物を固定するときにはシュロ縄は使いません。シュロ縄では細すぎたり、解きにくかったりするためです。

造園業におけるロープワークは、「結び方」だけではなく、なぜその種類のロープが使われているかも大切なポイントなのです。

まとめ

造園業で使うロープワークはさまざまですが、男結びやとっくり結びは、造園業の仕事で日常的に使う結び方であり、基本の結び方とも言えるものです。

植木や庭石を正しい結び方でしっかりと固定することは、落下事故などを防ぎ、安全管理にもつながります。

正しいロープワークを身につけて、造園業の仕事に活かしていきましょう。