地球温暖化は造園業に影響を与える?
ニュースやテレビなどでよく耳にする地球温暖化現象。これからの未来において重要なことだと分かっていつつも、どこか遠い未来のように感じている方も多いのではないでしょうか。
しかし造園業にておいては、着実に影響を及ぼしつつあります。
そこで今回は、地球温暖化が造園業に影響を与えているや、造園業に求められる社会的責務をご紹介します。
造園業の社会的責務
造園業の社会的責務は、緑を育て、緑を守ることにあります。都市化が進む現代社会では、自然環境の維持と向上が重要な役割を果たしていますが、造園業は、公共の空間や個人の庭園などで活動しいるため、植物や緑地の計画・管理を通じて、自然との調和を促進する必要があります。
同時に、草木や生態系の再生を通じて、環境保護の一翼を担っています。
造園業は人と自然が共存する社会を築くために、持続可能な未来を目指す役割があると言えるでしょう。
出典:一般社団法人 日本造園建設業協会/日造協が目指す緑の景観・環境「環境・生物多様性の保全」
地球温暖化が造園業に与える影響
地球温暖化は造園業に直接的にも間接的にも影響を与えています。
造園業の社会的責務から、環境の保全と良好な環境作りが求められますが、社会的責務の観点から、地球温暖化対策は重要な課題です。
造園業は環境への影響を最小限に抑えるため、コンクリートで整備された河川の再自然化や、ビル屋上の緑化など環境への配慮に積極的に取り組んでいます。
特に都市の緑化は、樹木や植物がCO2を吸収し、酸素を生産する役割があるため、地球温暖化の進行を抑制する手段の1つになっています。
地球温暖化問題に関して造園業でできること
造園業として地球温暖化問題に何ができるのでしょうか。
緑を育て、緑を守る社会的責務を通じて、100年後をイメージした山作りと身近な緑化を増やすことが挙げられます。それぞれの内容を解説します。
100年後の山をイメージする
造園業が地球温暖化に貢献するためには、100年後の山をイメージし、持続可能な緑化を考えることが不可欠です。
二酸化炭素吸収源である森林が減少している中、専門家は「単に木を植えるだけではなく、その後のストーリーを考えるべき」と指摘しています。
単なる植樹ではなく、長期的かつ総合的な計画が求められるでしょう。木を過剰に植えることは問題があり、野生動物増加に伴う獣害被害の可能性も指摘されています。
そのため、100年後の山をイメージし、環境全体のバランスを考慮した持続可能な緑化策が必要です。これには、生態系の保護や維持、異なる植物種の組み合わせ、水源の管理なども含まれます。
身近な緑を増やす
造園業は身近な緑を増やすことを通じて、地球温暖化対策に貢献できます。地球温暖化の防止には、二酸化炭素の放出を抑制することと、大気中の二酸化炭素を減らすことの2つの観点が必要です。緑を増やすことは、これらの双方に寄与します。
例えば、建物の壁や窓をツル性植物で覆う緑のカーテンは、大気中の二酸化炭素を吸収し、同時に建物内の温度を下げることで冷房に関するエネルギー抑制が可能です。
地球温暖化の緩和に向けた積極的な緑化プロジェクトや都市計画でも、造園業はその専門知識を駆使し、持続可能な環境への転換をサポートできる立場にあるでしょう。
地球温暖化防止に関する各社の動き
地球温暖化防止に対して、造園業の会社ではどのような取り組みをしているかご紹介します。
今回紹介するのは、業務で発生する廃棄物を再利用している株式会社三稲ガーデンと、運搬によるエネルギー削減に取り組んでいる株式会社桃源農園の2社です。
株式会社三稲ガーデン
株式会社三稲ガーデンは地球温暖化に対する積極的な取り組みを展開しています。主に屋上壁面造園や緑化の業務を通じた、環境保護と環境問題への解決に対する貢献です。
業務から発生した枝葉や木根を捨てずに循環させ、例えば粉砕機を使用してチップにし、庭造りに再利用しており、徹底的な資源の有効活用を行っています。
枝葉や木根の循環は、廃棄物の削減と資源の再生利用推進につながるでしょう。また、焼却時のCO2排出を抑制できるため、環境負荷を最小限に抑える工夫を行なっています。
さらに、屋上緑化と外壁緑化に力を入れていることも環境への取り組みの1つです。都市環境でCO2の吸収源を増やし、地球温暖化の緩和に寄与していると言えます。
株式会社三稲ガーデンの持続可能な取り組みは、環境への配慮と社会的責任を果たす良い例として挙げられます。
株式会社桃源農園
株式会社桃源農園は、緑化の役割を通じて健全な状態で緑を育成し、環境保全に積極的に貢献しています。例えば、業務で発生する剪定枝や剪定くずなどの廃棄物に対する、積極的な再利用です。
この取り組みは廃棄物の削減と資源の有効活用を実現し、環境への負荷を軽減しています。
さらに、地域の資材を活用することで、運搬に伴うエネルギーの削減に取り組んでいることも挙げられるでしょう。地域資材の利用は、遠方からの輸送を減らし、二酸化炭素の排出を抑制する点で環境に優しい手法です。
まとめ
今回の記事では地球温暖化が造園業に与える影響を解説しました。造園業の社会的責務は、緑を育て、緑を守ることにあります。造園業として、社会的責務の観点から地球温暖化対策が重要な課題です。
造園業として地球温暖化防止に向けてできることの1つは、長期的な目線での山作りが挙げられます。ただ木を植えるだけではなく、100年後を見据えたイメージを持つ意識が重要です。また、屋上壁面造園を通じて身近な緑を増やすことも重要となるでしょう。
主な事例として2社の地球温暖化防止につながる取り組みを紹介しています。造園業としてどのような対策があるのか気になる方は参考にしてみてください。