他業界と比較して福利厚生は充実している?
造園業で働くなら、福利厚生も気になるところですよね。造園業にも他業界同様、福利厚生は存在しています。
年間休日日数は若干少ないですが、基本給や各種手当ては他業界と大きな差はなく、安心して働くことができる環境にあるといえるでしょう。
では、どんな福利厚生が存在するのか。
一つずつ確認していきましょう。
年間休日数の差
造園業の年間休日日数は、他業種と比べて少ないのが現状です。
厚生労働省が令和3年に調査をしたデータによると、造園業の年間休日日数は「80~89日」が最も多く、同年に行った就労条件総合調査によれば、全産業における平均年間休日日数は110.5日でした。
このことからも、他業界と比べても少ない傾向にあるといえるでしょう。
しかしながら日本造園建設業協会では、造園業の担い手の育成と確保のために、長時間労働の是正を図ることを明言しています。
週休2日制の定着化を目標に推進しているので、今後造園業の年間休日日数も増加していくことが見込まれます。
出典:令和3年度 働き方改革における週休二日制、専門工事業の適正な評価に関する調査結果[速報版]
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000992617.pdf
出典: 令和3年就労条件総合調査
https://www.mhlw.go.jp/
手当・待遇の差
つづいて、手当・待遇の差について見ていきましょう。
他業界と比べて、手当・待遇面による差はほとんど”ない”と考えて問題ありません。
造園業であってもさまざまな手当が支給されており、例えば通勤手当や家族手当、資格手当、住宅手当などが一般的です。
それに加え特筆すべきは、技術手当、技能手当、資格手当と呼ばれる特別手当です。
特定の技能や資格などを有する者に対して支給される手当で、1級、2級造園施工管理技士、造園技能士などの造園関連の資格だけではなく、その会社の業務内容によっては土木施工管理技士、測量士補なども対象になる場合があります。
また待遇についても、雇用保険、健康保険、厚生年金などの社会保険は、同じ建設業の大工、内装工、タイル工と比較しても充実しています。
国土交通省が行なった調査によると、造園会社の100%が雇用保険、健康保険、厚生年金などの社会保険に加入しており、労働者単位でも94%が加入していることが明らかになっています。
造園業において万が一への備えは万全と言えるでしょう。
出典:国土交通省Press Release 建設労働者の労働者別社会保険加入割合が上昇
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001352760.pdf
造園業の労働時間は?
造園業の勤務時間に特別な規定はありません。他業界と同じく、労働基準法に定められた1日8時間、週40時間労働が基本です。
また労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩時間が設けられます。
造園工事は建築工事や土木工事の後に行われることが多く、前工程の影響を受けやすい仕事です。
そのため全体の工期に間に合わせるために、残業が必要になることもありますが、残業時間は他業界と比べても平均的な長さだといえるでしょう。
勤務時間
令和4年賃金構造基本統計調査をもとにしたデータによると、造園業の月間労働時間は平均169時間でした。
同年の毎月勤労統計調査結果における一般労働者の月間実労働時間は162.3時間のため、あまり大きな差は見られません。
造園業の労働時間は平均的と言えるでしょう。
一方、造園業の勤務体制で特徴的なのが、休憩時間です。
多くの造園会社では正午前後に1時間程度の昼休憩を設けるほかに、10時と15時に15~30分の短い休憩を取っています。
これは体を動かす作業が中心の造園業において、体調管理や集中力を維持させるために設けられていると言われています。
夏場はとくに、水分補給をしたり体温を下げたりして熱中症を予防する必要があるため、休憩回数を増やすことでコントロールをしていると考えられます。
出典:職業情報提供サイトJobtag 造園工
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/222
出典:毎月勤労統計調査 令和4年分結果速報
https://www.mhlw.go.jp/
残業時間
厚生労働省の調査データによると、造園業を含めた建設業の残業時間は、1ヶ月の合計で12.5時間でした。
調査した全産業の平均9.3時間と比較してもあまり大きな差がないことから、造園業を含めた建設業の残業時間は平均的と言えるでしょう。
近年造園業では、残業時間削減に向けたさまざまな取り組みを実施しています。
例えば時間外労働を上司の許可制にする、ノー残業デーを設定する、勤務体系を完全週休2日・週40時間制にするなど、各社、残業時間に関して工夫が行われているので、今後ますます減少していく可能性は高いと思われます。
出典:毎月勤労統計調査 令和5年8月分結果確報
https://www.mhlw.go.jp/
まとめ
造園業でも他業界と同様に、各種手当や社会保険といった福利厚生はしっかりと存在します。
現状の年間休日日数は他業界に比べて少ないですが、業界全体で週休2日制の導入に取り組んでいることもあり、今後改善されていく可能性は高いでしょう。
また、他業界と比較して労働時間に大きな差はありませんが、造園業では1日3回の休憩をとるのが一般的です。
工期を守るために残業もありますが、他業種と比べて特別長いわけではなため、働きやすい環境が整いつつあるのではないでしょうか。
福利厚生の内容は、会社により異なります。造園業に就職するときには、福利厚生を含めた募集要項をよく確認し、自分の希望にあった会社を選ぶと良いでしょう。