今回は東光園緑化株式会社、田丸社長インタビュー後編をお届けします。
前編では会社の歴史や今後の造園業で需要の伸びそうな分野についてなど非常に興味深いお話しが伺えました。
今回は、転職活動中で「気になるけど聞けない…」「募集要項だけでは会社の雰囲気がわからない…」と不安に思っている求職者の方にとっては必見! どんな人が多く働いていてどんな人に来て欲しいのか、中途採用者と新卒入社ではキャリアステップは変わってくるのか、はたまたお給料についてまで語っていただきました!
田丸 敬三|東光園緑化株式会社 代表取締役社長
大学を卒業した後5年ほどゼネコンで土木工事に携わる。
修行を終え東光園緑化に入社し、34歳という造園業界では異例の若さで社長に就任。
当時、新しい試みであった総合評価方式での入札による初の造園工事、「国営讃岐まんのう公園中央広場修景工事」を受注。
その後も首里城の公園の石積みなど世界遺産の修復工事に関わった。
東光園緑化の行事・慣習
ではさっそく質問です。会社で決まって行われる行事や慣習というのはありますか?
特別なイベントはありませんが、年に1回、関連会社も含めて顔合わせを兼ねた集会で営業成績の報告や優秀な社員の表彰をします。
夏と秋には協力会社も集めて大々的に安全大会を行います。安全に関する講演会を開催するなど安全意識を高める催しを行うほか、このうちの1回は懇親会を兼ねていまして、互いの親睦を深める機会としても活用しているんです。
関連会社や協力会社を含め、一丸となってお仕事に取り組む環境作りを進められているということですね。
このほか、新卒、中途採用の入社歓迎会、退職する社員の送別会を行います。
夏の暑気払い会、12月の忘年会、1月の新年会、2年に1回の社員旅行なども行っています。(コロナウイルスの感染拡大以降は未実施)
慣習についてはどうでしょうか?
弊社のホームページにあるブログコンテンツ「緑のおはなし」で、社員が持ち回りで書いている「社員通信」は、業界の中では当社独自の慣習ではないかと考えています。
全員の持ち回りなんですね。仕事をした後で、社員の方がブログの記事を書くというのは、なかなか大変なのでは…。
そうですね、写真を撮影したり、ネタを考えたりと苦労する面もあるようです。でも、業務内で文章を書く機会は少ないからこそ続けてもらいたいんです。
あと、会社説明で現場見学を取り入れている点も、なかなか画期的なのではないかと感じますが。
もちろん座学での説明もありますが、入社してからギャップを感じるのは、本人にも弊社にもマイナスですから。入社前に、弊社のありのままの姿をみていただきたいと思っています。
就職先に夢を抱くのは素敵なことですが、現実を知っておくのも双方にとって大切ですよね。
東光園緑化の社風は自立と穏やかさ
では次に、東光園緑化株式会社の社風を教えてください。
『自主性を重んじる』という考えが根付いています。
入社したては覚えることも多く、仕事を学んでもらわなければいけません。しかし、ある程度の経験を積んだ社員に関しては自分の裁量で仕事を進められるようにしており、そこが弊社の強みでもあります。
仕事を覚える段階から始まり、次は自分で考えて動くステージになるということですね。具体的にはどういった部分を社員の方に任せているのでしょうか。
例えば協力会社選びなどは、現場で働く人が「どの会社がどの仕事に向いているか」を一番知っているわけです。そこは上司がすべて押し付けるのではなく、ある程度は社員に任せています。もちろん相談があった場合には的確に上司がアドバイスをします。いちいち会社の承認を得なくても仕事が進むので、自主性と仕事のやりがいを感じやすいと思います。
これは私が社長に就任する以前からの社風なんです。社員との信頼関係が築けているからこそ、安心して任せられています。
職人さんの仕事ということで、現場に任せられることは任せるという大らかな土壌が、長い歴史で培われきたのかもしれませんね。
あと特徴的な部分としては、温和なタイプで仕事熱心な人が集まっています。
私はフラットな関係が築ける雰囲気はありつつも、それぞれが切磋琢磨し共に成長できる会社であり続けたいと望んでいます。
平均年齢や男女比は?
現在、社員は何名いらっしゃるのでしょう?何歳くらいの社員さんが多いですか?
社員は50名です。女性が9名、男性が41名と男性の割合が高いですね。平均年齢は47歳です。造園業界では高齢の職人さんもいるので平均年齢が高く、男性の割合も多くなる傾向にあります。
でも、弊社には30代のメンバーも多くいるんですよ。20代で入社した人ももちろんいます。
新卒採用で入られる方も多いと思いますが、中途採用での入社は何名くらいいらっしゃるのでしょうか?
平均すると年間に3名くらいでしょうか。優秀な人材を発掘していきたいので、継続的に募集はしています。
キャリアステップで新卒・中途採用の壁はある?
平均3名が中途入社とのことですが、入社後のキャリアステップについて教えてください。新卒採用者との違いはありますか?
新卒採用者の場合は、技術職の場合、1級の造園施工管理技士または土木施工管理技士の資格を取得し、監理技術者になると主任に昇格します。
しかし中途採用の場合は、1級の資格を取得している方であっても一般的な社員としてスタートしてもらっています。
新卒者と差があるのでしょうか?
いいえ。新卒者と中途採用者で昇級の区別はしません。ただ、最初の3年程度はステップアップ期間というか、会社の方針になじんでもらう期間です。その後、能力等認められれば主任に昇格します。
なるほど。仕事を覚えるための3年というより、昇級を見越して慣れるための3年ですね。
そうですね。その後、課長補佐、課長、部長へと昇格していくのは、新卒社員と何ら変わりありません。最初の3年については事前に説明をして、了承を得た上で入社してもらっています。
本人の頑張り次第で、キャリアはしっかり拓ける会社ということですね。
手当・福利厚生
では、資格取得手当などお金の面、福利厚生面はいかがでしょうか。
当然、社会保険関係は全て加入し安心して働いていただける環境を整えています。
資格手当に関しては、造園施工管理技士や造園技能士、土木施工管理技士を中心に、その他造園に関係する資格に手当を支給しています。
取得した資格や役職によって金額は変わりますが、取得後はずっと支払われます。
しかし、造園技能士2級の合格率は40%、1級になるとわずか25%と、かなり狭き門だと聞きます。実際、働きながらの取得は難しいのではないでしょうか。
造園技能士に関しては、一人でも多くの人に合格してもらえるように協力会社さんとにもご協力いただき、勉強会への参加や、資格を取得した社員が教える機会などもありますね。又、施工管理技士に関しても講習会などの情報を逐次案内しています。
取得後の手当てだけではなく、取得までの受験勉強の機会も用意されているのですね!
仕事柄、施工管理技士等の取得は必須ですが、会社全体で受験の雰囲気を盛り上げる取り組みを行っています。
社内で切磋琢磨する雰囲気があるのですね。
先日、技術士の試験に合格した社員がおりまして、多忙な日々の中で資格試験のために勉強をして合格する。これはものすごく努力が必要なことなんです。
ですから周りはやる気になると同時に、リスペクトする空気も生まれるんですね。
空気感が変わっても競争にならないのは温和な性格が多いからでしょう。しかしぬるま湯的な感じにならないのは、社員達に向上心がしっかりあるからでしょうね。
造園業界では資格の取得やタフさが求められる。では、東光園緑化で求めることは?
業界全体ではタフさや資格保持者は優遇されると思います。その他に新卒・中途に限らず、採用時に重視されていることはありますか?
体を使う仕事ですから、業界的にやはりタフな人が向いているでしょうね。
弊社独自としては、弊社は真面目な性格の社員が多いので、同じように温和で真面目な人が社風に合うと思います。そしてそんな社員との相性も考えて挨拶などの一般的な社会人としての常識とマナーを重要視しています。
会社員として組織の一員ですし、現場で連携して仕事を進めなくてはいけませんもんね。協調性を重視しているのですね。
中途採用の方に限らず新卒採用の方にも言えることですが、できれば定年まで働いてもらいたいと思っているんです。何なら定年後も働いていただきたいくらいです。最近は社会的にも減っていると思いますが、終身雇用が理想ですね。
仕事は、覚える過程でいろいろな苦労もあるでしょうが、その先に待っているのが仕事の面白みであり、やりがいだと思います。
弊社は自由裁量に任せる部分が他社よりも多いですから、のびのびと働けます。ただそのためには、入社後数年は仕事を覚えるために頑張ってもらわなければいけません。
もちろん仕事を覚える過程にも喜びはありますけど、そこのところを理解していただければ、嬉しいですね。
居心地よく働いて欲しいから、長く働いて欲しいということですね。社員に寄り添っているからこそのお言葉と感じます。
質問は以上です。お忙しい中、インタビューにご協力いただきありがとうございました!
まとめ
今回の田丸社長のインタビュー、後編では募集要項ではわからないような部分についてお話しいただきました。
このインタビューの中では、社員との縁を大事にする言葉が多くありました。
実際に、東光園緑化株式会社で定年以降も社員・職人として働き続ける方も多いそうです。それだけ居心地の良い会社なのではないでしょうか。
東光園緑化の自由な社風からは、『社員の成長と自立』を重んじる田丸社長の思いが込められています。
お話しをする中で、田丸社長の優しく人情深い人柄と、社員の方との信頼関係の強固さが伝わりました。
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※本記事の屋外写真撮影は東京都渋谷区にある歴史的建造物(民家)、重要文化財「旧朝倉家住宅」の庭園にて行いました。渋谷東光園の創業者が作り上げたと言われ、現在も、東光園緑化株式会社が復元工事から維持管理にも関わる本庭園は、回遊式となっており、石灯籠などの添景物が多く配置され、春はツツジ、秋はモミジなどを楽しむことができるそうです。代官山駅や中目黒駅からもほど近い好立地ながら、一歩足を踏み入れればまるで森の中のような静寂と長い歴史を感じられる空間となっています。ぜひ皆様も一度訪れてみてくださいね。
住所:東京都渋谷区猿楽町29-20
開館時間:10時~18時(11~2月は16時30分まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は直後の平日)、年末年始(12月29日~1月3日)
観覧料:一般100円、小中学生50円、年間観覧料500円
(注1)団体(10人以上)一般80円、小中学生40円 (注2)60歳以上の人、障害のある人と付き添いの人は無料