造園業の「造園工事業」と「園芸サービス業」の違いは?

造園工事業と園芸サービス業の定義とは

造園と名の付く会社でも、造園工事業と園芸サービス業は業務内容がまったく異なります。

造園業は仕事の幅が広く、会社によっても専門分野が異なるため、就職を希望する人や仕事を依頼したい人は注意が必要です。

造園工事業の主な業務内容
造園工事業は、庭園や公園、緑地などを築造したり、道路や建物の屋上を緑化したりする工事を実施する造園専門の工事業です。

造園工事とは、具体的に植栽工事、地被工事、景石工事、地ごしらえ工事、公園整備工事、広場工事、園路工事、水景工事、屋上等緑化工事、緑地育成工事などが挙げられます。

造園工事業は、個人邸宅だけでなく、集合住宅や商業施設、公共施設などの庭園や公園を築造し、維持管理する仕事を手掛けますが、特に公共事業は持続的に需要があり、今後も造園工事業の仕事が期待されるでしょう。

園芸サービス業の主な業務内容
いわゆる造園業とも言われる園芸サービス業とは、植樹したり、剪定したりするなど、庭園や花壇の手入れを主な業務内容とする業種です。

園芸サービス業の業務内容は、植栽業務、剪定業務、造園業務に分類され、造園工事業のような工事は手掛けません。

植栽業務は庭木や花の植え付けや泥入れを行い、剪定業務では一般家庭の庭木や街路樹などを木の成長に合わせて切り、整えます。

造園業務は、花や樹木、石垣やレンガなどを用いて庭を造る仕事ですが、近年は庭園を持つ個人邸宅が減少していることから、造園業務は多く見られません。

造園工事業と園芸サービス業の産業分類は?

造園業でも、造園工事業と園芸サービス業は、産業分類が異なります。

産業分類とは、事業所において社会的な分業として行われる全ての経済活動を分類するものです。産業分類の正式名称は日本標準産業分類で、日本標準産業分類は国際標準産業分類に準じて決められています。

産業分類は、産業別に統計調査の結果を表示する際の基準とし、統計の正確性や客観性を保持したり、統計の相互比較性や利用向上を促進したりするため、昭和24年に設定されました。

日本標準産業分類は何度も改定されており、直近では、新産業の状況や既存産業の変化などに応じるため、平成25年に改定されています。

現在の大分類は、農業・林業、漁業、製造業、建設業など19項目と分類不能の産業の合計20項目が設けられ、各大分類からさらに中分類、小分類、細分類に分類されています。

産業分類を利用する場面は多くないかもしれませんが、補助金や助成金を申請したり、公的書類を提出したりする際に必要になることがあるので、知っておいて損はありません。産業分類の詳細は、総務省のサイトで確認できます。

造園工事業は建設業
造園工事業は、日本標準産業分類の大分類では建設業に該当し、中分類では総合工事業、小分類で土木工事業(舗装工事業を除く)、細分類で造園工事業に分類されます。

造園工事業は、主として庭園や公園などの築造工事を手掛ける事業所が該当します。例えば、ゴルフ場工事業は造園工事業になります。

軽微な工事を除き、造園工事を請け負いたい造園業の事業所は、造園工事業で建設業許可を取得しなければなりません。建設業法に造園工事業が定義されていることからも、多くの人にとって造園工事業が建設業に分類されることに違和感はないでしょう。

園芸サービス業は農業
日本標準産業分類によると、造園業でも園芸サービス業は大分類で農業・林業に含まれ、さらに中分類で農業、小分類で園芸サービス業、細分類で園芸サービス業に分類されています。

園芸サービス業は、主として請負で庭の手入れをしたり、土木事業を伴わない庭の構築をしたりする事業所が該当します。

造園業の中でも、主として庭園造りや庭園の手入れなどを行う植木屋は、日本標準産業分類上では農業に該当するため、意外に思う人も多いかもしれません。

まとめ

産業分類上、造園業でも造園工事業は建設業、園芸サービス業は農業に分類され、業務内容も異なります。

造園業に就職や転職を希望する人は、入社したい会社が園芸サービス業か造園工事業か、やりたいことができるのはどちらなのかをしっかり調べ、間違えないようにしましょう。

入社する会社によって、積める経験が違うので、造園業でも将来のキャリアは変わってきます。

造園工事業の場合、実務経験を積み、1級造園施工管理技士の資格を取得することで、造園工事の総合的な責任を担う仕事ができたり、大規模案件にも関われるチャンスがあったりするしょう。

造園施工管理技士の資格保持者は不足しているため、転職の際にも資格保有者は重宝されます。また、施工管理技術者は、独立して起業したり、仕事に制約はあるものの、フリーランスとして活躍したりすることも可能です。

園芸サービス業の仕事は無資格でもでき、職人について修行した後、独立開業する人が少なくありません。独立する場合、技術力はもちろん、営業力によっても収入は左右されます。定年がないので、体力の許す限り仕事を続けられるでしょう。