スマートシティとはなに?造園業や建設業との関係や実現に向けて必要なこと!

スマートシティとは?

スマートシティは持続可能性や生活の質を向上させるために、ICTの技術を活用した都市のことを指します。

国土交通省では次のように定義されています。

「都市の抱える諸課題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区」を『スマートシティ』と定義し、その実現に向けた取り組みを進めています。

引用元:国土交通省/スマートシティに関する取り組み

ICTは「Information and Communication Technology」の頭文字を取った用語で、従来のIT「Information Technology」に置き換わる言葉として注目されています。ICTは情報通信技術を意味し、インターネットを活用して人と人とをつなぐ役割を担っています。

スマートシティ実現にあたってはICTの他にIoT、AI、ビッグデータも重要な用語です。IoTは「Internet of Things」の頭文字で、生活の中の「モノ」全てがインターネットにつながる世界を目指しています。AIは人工知能であり、ビッグデータは膨大かつさまざまな形式のデータのことです。

スマートシティは、IoT技術によりインターネットにつながった様々な「モノ」から情報を収集しビッグデータとして管理します。リアルタイムに収集されたビッグデータは、AIによって最適化が行われ、エネルギー使用量やリソースの割り当てにフィードバックされます。

一連の仕組みを全てICT技術によって実現し、持続可能な都市、地域を目指していくことがスマートシティの目指す姿です。

スマートシティが注目される背景

世界的な人口増加と都市部への集中が、スマートシティが注目される理由として挙げられます。世界の人口は、2050年には97億人、2080年には104億人に達すると予想されています。

増加した人口が都市部へ集中することで、エネルギー消費量や交通量が増加し、環境悪化や交通渋滞、エネルギーの枯渇問題などさまざまな課題に直面するでしょう。

スマートシティの実現によって、エネルギー消費の見直し、インフラの効率化が改善されます。そのため、都市部への人口集中による課題の解決策としてスマートシティが注目されてきました。

スマートシティが注目される背景として、もう一つ挙げられるのが「IoT技術の発展」です。2020年3月に開始された5G通信によって、IoT技術は飛躍的に向上しました。大容量かつ遅延の無い高速通信によって、冷蔵庫、炊飯器、スマートフォン、スマートハウスなどさまざまな「モノ」からビッグデータを収集できます。

ビッグデータを活用し、都市のさまざまな情報を収集・分析しフィードバックを行うことで、都市の効率化やサービスの改善が可能になってきています。IoT技術の向上により実現性が高まり、スマートシティは今まで以上に注目を集めていくでしょう。

参考:国際連合広報センター/世界人口は2022年11月15日に80億人に達する見込み

建設業・造園業とスマートシティの関わり

建設業や造園業は、スマートシティの実現に欠かせない重要な役割を果たしています。

なぜなら都市インフラの整備が必要であり、ICT技術を取り入れたインフラの構築がスマートシティの基盤として欠かせないもだからです。

造園業ではICT技術を活用して、緑地の管理やメンテナンスを効率化し、都市の持続可能性を高められるでしょう。

建設業ではスマートハウス、スマートビルディングの構築が推進されてきました。スマートハウス、スマートビルディングが、ICT技術によってスマートシティ全体とつながることで、より効率的な最適化が実現できます。

スマートハウスやスマートビルディングは、エネルギーに特化した「個別分野特化型」でしたが、スマートシティでは「分野横断型」へとシフトしています。エネルギーだけではなく、「交通」「教育」「医療」など複数の分野を横断し、より最適なリソースの振り分けが可能になるでしょう。

建設業・造園業のスマートシティ実現に必要なこと

建設業・造園業のスマートシティ実現に欠かせない要素としてICT化が挙げられます。現場のICT化によって、センサーを活用した資材管理、作業員の入退室管理、設備の状態管理などが可視化されて、効率化につながるでしょう。

作業や管理が効率的になり、省人化が実現できるため、建設業界、造園業界での人材不足の課題解決が行えます。

また、建物の利用者に対してICT化による価値の提供ができます。スマートハウスやスマートビルディングを都市全体とネットワークで接続し、スマートコミュニティを構築することで新たな付加価値が生まれるでしょう。

さらに、重要な要素としてDX化が挙げられます。DXはデジタルトランスフォーメーションを意味し、デジタル技術を活用し変革することを指す用語です。建設業・造園業にとってのDXは、業務プロセスや業務自体をデジタル化し、効率化につなげることです。

例えば技術者が作成する書類を、デジタルデータで管理しクラウドで共有することで、情報伝達の遅延をなくし、伝達漏れを軽減できます。また、コストをリアルタイムで監視できるため生産性の向上につなげられるでしょう。

まとめ

今回の記事では、スマートシティの概要と、なぜ今必要とされているのか、そして建設業・造園業とどのように関連しているのかについて解説しました。

スマートシティは、IoT技術により情報を収集しビッグデータとして管理します。収集したデータはAIによって最適化を行い、ICT技術によってフィードバックを行います。効率的なエネルギーの活用が行われることで、持続可能な都市、地域を目指していくことがスマートシティの目指す姿です。

世界的な人口増加と、情報技術の発展に伴ってスマートシティは注目されてきています。建設業・造園業としても、ICT化、DX化を推進し、スマートシティ実現に関わっていくことが求められるでしょう。