労働時間について特別な規定はない
造園業では、慢性的な人材不足や工期の厳しさなどから、時期によって、残業が多くなるタイミングがあります。
造園業には、労働時間に特別な規定はありません。1日8時間労働、1週間で40時間労働が基本で、休憩時間も8時間以上の労働で1時間休憩が必要と他業界と差はありません。
ここでは造園業の勤務時間と休憩時間をそれぞれ解説します。
勤務時間
造園業の勤務時間を理解するには、重要なポイントを2つ押さえておく必要があります。まずは、時間外労働についてです。
大企業は2019年から、中小企業は2020年から時間外労働の上限が設けられました。
以前までは36協定を締結することで時間外労働が可能でしたが、上限設定後は月に45時間、年間360時間までと制限されることになります。特別な事業がない限り、この上限を超えての労働はできないので注意が必要です。
さらに、臨時や特別な条件下で労使の合意があったとしても、年間720時間を超えて働くことは認められず、単月でも100時間が上限となります。違反した場合、労働基準法に反した企業として、公共事業の受注が難しくなる可能性もあるので、企業側だけでなく労働者サイドでも気を配る必要があります。
この決まりは、2024年4月から適用になるので、造園業で働いている人、これから働く予定の人はこれらの規制を正しく理解し、守るよう努力しなければいけません。
休憩時間
造園業の休憩時間は、労働基準法に基づいて規定されています。労働基準法では、勤務時間が6時間を超える場合、45分の休憩が必要で、8時間を超える場合は1時間の休憩が必要です。
加えて建設業・造園業では、1日に休憩を3回取ることが一般的です。12時の昼休憩のほかに、午前10時と午後15時に短い休憩を取る会社が多いでしょう。ただし、施工管理の場合、午後15時の休憩がないこともあります。
造園業に休憩が多い理由は、事故を防止するためだと言われています。休憩を取らずに仕事を続けると集中力が途切れ、事故のリスクが高まるため、労災予防の観点から休憩を取ることが多いとされています。
休憩は、頭と体をリセットするための貴重な時間です。特に夏場は炎天下での作業が増えるため、熱中症を予防する意味でも重要になるでしょう。
造園業の休日
現在、造園業界全体で週休2日体制が推進されています。国土交通省も2024年から週休2日を業界の目標とし、公共事業から始めて民間工事でも週休2日制度を普及させる計画です。
一方で、工期の厳守や経費の増加などの理由から、週休1日を採用している会社も多いのが実情です。しかし、週休1日では企業のイメージが悪化し、人材不足の解消ができません。そのため、業界全体で週休2日体制の推進が求められています。
造園業で週休2日が難しい理由
造園業で週休2日が難しい理由として、日当で働いている従業員にとって週休2日制への移行は給与減少を招く要因となることが挙げられます。
週6日勤務から週5日勤務に移行すると、月給が約17%減額です。そのため、生活費の不足や生計への影響が懸念されます。
その他、造園業では他の関連企業や業者との連携が重要です。週休2日制を採用していない関連会社が存在する場合、納期に関してずれが生じ、プロジェクトの進行に支障をきたす可能性があります。
このような調整の難しさも、週休2日制への移行が困難となっている要因の1つです。
週休2日の造園業で働くメリット
一方、週休2日で働くメリットとして、労働者のモチベーション向上が挙げられます。適切な休息を取ることで仕事に対する意欲が高まるので、仕事のクオリティや生産性向上につながるでしょう。
週休2日制では、週1日の休息に比べて体を十分に休めることができるので、体力の回復やストレスの軽減に効果的です。特に造園業のように肉体労働が多い仕事では体調管理が重要なので、その点、週休2日は大きなメリットといえるでしょう。
また、週休2日制を採用することで企業イメージ向上にも寄与します。企業イメージが向上すれば優秀な人材の獲得や定着に貢献できます。これにより人手不足が解消されれば、一人当たりの負担が軽減されるため、業界全体の労働環境改善が期待できるでしょう。
まとめ
今回の記事では、造園業の労働時間について解説しました。造園業は他の産業と同様に労働基準法に従った勤務時間や休憩時間が定められています。
2024年からは時間外労働の上限が撤廃されるため、これにより業界全体の残業時間は大きく減少していくでしょう。
また造園業では、労働者の健康と安全を保護するために適切な休憩を取ることが重要です。現在、造園業界では週休1日の制度を採用している企業が多いですが、週休2日制度への移行が進行中なので、今後は、休日日数の増加が期待されています。
造園業界全体で働きやすい環境を整える努力が行われているといえるでしょう。