施工管理者は女性でもなれる?

男性中心というイメージが強い造園業界や建築業界でも、近年さまざまな職種で活躍する女性が増えています。

その中の職種のひとつ、現場で進捗をチェックしたり、設計図通りに工事がすすめられているか確認したりする施工管理の仕事は、女性でもできるのでしょうか?

本章では女性が施工管理の仕事に就く上で気をつけたいポイントや、女性ならではのやりがいについて解説します。

女性でも施工管理者になれる?

施工管理の仕事は、性別に関係なく就くことができます。実際に女性の施工管理者として働いている人も存在しており、その割合は増加傾向にあります。

国土交通省が令和4年に行った調査によれば、工事の設計・積算、現場施工の管理・監督、研究、技術系営業などの技術職に従事する人うち、6.4%が女性でした。

出典: 令和4年 建設業活動実態調査の結果
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001632826.pdf

なお平成24年の同調査では、女性技術者の占める割合は3.6%であるため、近年女性技術者は増えています。

出典: 平成24年 建設業活動実態調査の結果
https://www.e-stat.go.jp/

施工管理の仕事は、今後も女性が活躍できる職種と言えるでしょう。

女性の場合突き当たる課題

施工管理の仕事は女性もできますが、一方で女性ならではの課題に直面してしまうことがあります。

次に女性の施工管理者が直面する課題と現状について見ていきましょう。

ライフスタイルの変化問題
女性が働き続ける中で迎える大きな変化のひとつが、妊娠・出産ではないでしょうか。

厚生労働省では建設業で働く女性へ、妊娠中に「つらかったこと・我慢していたこと」について聞き取り調査を行っています。

回答の中には「塗装やシール、排気ガスなどのにおいで気分が悪くなった」「安全ベルトが子どもに負担をかける気がして怖くてつけられなかった」といった、建設業で働く女性ならではの悩みがありました。

出典: 働く女性の心とからだの応援サイト 妊娠出産・母性健康管理サポート ・特集 建設業で働くみなさまへ 1.建設業で働く女性の母性健康管理の実情より抜粋
https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/kensetsu/report/

また同調査では「働き続けるために必要だと思うこと」についても聞き取りを行っています。

このうち「妊娠・出産後も仕事を続けている先輩が多いこと」が必要だと答えた人が75%だったのに対し、実現できていたと答えた人は38%でした。

アンケートの中では実際に「妊娠・出産後も働き続けている先輩がいなかったため、誰にも相談できず不安だった」という声もあがっています。

ライフスタイルが変化したときに、身近にロールモデルがいないことで、働き続けるのは難しいと感じてしまうのでしょう。

トイレや更衣室などの設備不足問題
比較的大規模な工事をする場合や、事務所から現場が遠い場合などには、作業員の休憩や書類作成のために、簡易的な現場事務所が設置されることがあります。

現場事務所の規模や設備はさまざまですが、設置スペースの問題もあり、必ずしも女性専用のトイレや更衣室が設けられているとは限りません。

男性と同じトイレを使用することに抵抗がある女性は多いでしょう。

厚生労働省が建設業で働く女性労働者に対して行った調査によると、8割近い回答者が「女性専用の仮設トイレ」と「女性専用の更衣室」を現場に必要な設備としてあげています。

出典: 働く女性の心とからだの応援サイト 妊娠出産・母性健康管理サポート ・特集 建設業で働くみなさまへ 2.現場の設備面における母性健康管理の配慮より抜粋
https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/kensetsu/bosei/

このような状況であるため人によっては入社後、トイレや更衣室関連の悩みが出てくる場合もあるかもしれません。

会社独自の風潮問題
造園業や建設業は長く男性主体の社会で、現在でもその風潮が色濃く残っている会社があります。

そういった会社では、「女性に施工管理の仕事ができるわけない」と決めつけられてしまったり、必要以上に厳しい評価をされてしまったりすることがあるかもしれません。

古い体質をパワハラだと感じたり、男性社員同士の会話をセクハラだと感じたりする可能性もあるでしょう。

もちろんどの会社でもそのような風潮が残っているわけではありませんが、会社独自の風潮によっては、きついと感じてしまう可能性があるのも事実です。

女性ならではのやりがい

女性の施工管理者の割合が増えてきているとはいえ、まだまだ少数派であるのが現状です。

そういった中で施工管理者としてキャリアを積めば、ほかの人とは異なるキャリアを歩むことができます。

新しいロールモデルを開拓することは、女性の施工管理者としてのやりがいのひとつでしょう。

また施工管理者としてのキャリアを積めば、専門的な知識と技術を身につけることができます。

専門的な職務経験があれば、妊娠・出産後も職場復帰しやすかったり、一時的に離職しても復職しやすかったりします。長く働けるという点も、やりがいにつながるでしょう。

まとめ

現場の進捗や品質などを管理する施工管理の仕事は、性別に関係なく女性でもできる仕事です。

ただしライフスタイルの変化に伴い働き続けることが難しいと感じる、トイレ・更衣室などの設備が不足している、などの女性ならではの課題に直面してしまうこともあるでしょう。

一方でほかの人とは違うキャリアを歩める、専門的な知識・技術が身につくので長く働ける、といったやりがいがあります。

女性の施工管理者として活躍する人は増加傾向です。興味がある方はぜひ、施工管理の仕事にチャレンジしてみてください。