造園会社は4タイプに分けられる!転職前に理解しておこう

一言で造園会社と言っても、工事の請け負い方や内容によってさまざまな種類の仕事をしています。

入社した会社の仕事が思い描いていたものではなかった、という事態に陥らないためにも、転職前に造園会社のタイプについてチェックしておきましょう。

造園会社は2×2タイプに分かれる

造園会社は主な工事の請け負い方と発注元によって、それぞれ2種類ずつに分けられます。

タイプ①下請け
別の会社が受注した仕事の一部をさらに引き受けて仕事をすることを「下請け」と言います。

発注者から直接仕事を請け負うのではなく、間に別の会社が入っているのが特徴です。

下請けをメインにしていると、特定の分野や技術に特化した仕事を受ける機会が多くなるため、専門的な技術を身につけやすいでしょう。

タイプ①元請け
元請けとは、発注者から直接、工事を請け負う会社のことです。建設業界ではいわゆる総合建設会社である、ゼネコンをイメージするとわかりやすいでしょう。

専門性が高い、自社だけでは対応しきれない工種がある、自社の労働力が不足している、などの理由から下請けに工事を発注します。

元請けではプロジェクト全体の計画や予算編成など業務全体に総合的に関わるため、マネジメント能力やコミュニケーション能力を身につけやすい点が魅力です。

タイプ②公共案件
公共工事とは「国、特殊法人等、地方公共団体が発注する工事のこと」と「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」で定められています。

出典: 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律 第2条第2項
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=412AC0000000127

ここで言う特殊法人とは、政府がある事業を行うときに、行政機関では制度上の制約があって実行できなかったり、能率的な経営が難しかったりするときに設立するものです。

身近なものだと、日本郵便株式会社や東日本高速道路株式会社などがこれに該当します。

多くの場合、公共工事では入札によって施工会社が決定されます。また資金は税金が用いられる、発注者側が積算する、などが、後述する民間工事とは異なる点です。

タイプ②民間案件
公共工事に対して、民間企業や個人から発注されるのが民間工事です。

入札で施工会社が決定される公共工事とは異なり、民間工事では一般的に見積もりを提示して合意が得られれば契約を締結します。

また個人や企業が銀行融資や民間投資で資金を調達する点も異なります。

民間案件は建設産業で大きな割合を占めています。住宅、集合住宅、商業施設、オフィスビル開発など多種多様な案件があり、市場規模が大きいのが特徴です。

それぞれの仕事の違い

元請けなのか下請けなのか、公共案件なのか民間案件なのか、工事の請け負い方や発注元によって、造園工事の内容が異なる場合があります。

それぞれのパターンではどのような工事が一般的なのか、紹介していきましょう。

下請け×公共案件
建設会社や土木会社、同業他社が請け負った公共案件の一部を担当するのが下請け×公共案件です。

公共案件の中でも造園業が得意とする植物に関する維持管理の仕事が中心です。

建設事務所が発注した道路の維持管理業務の一部や、街路樹の維持管理、公園の植栽管理などを担当します。

道路の柵を改良したり、浄水場や地方公共団体が所有する土地の除草、草刈りをしたりすることもあります。

下請け×民間案件
大規模な商業施設、ホテル、企業ビルなど、民間工事でも複合的な工事が必要な案件では、大手のゼネコンや建設会社が元請けになる場合が多いでしょう。

造園業は下請けとして、これらの工事の中の緑地整備や植栽工事といった専門的な分野を担当します。

さまざまな業種の人と協力しながら、1つの案件をつくりあげるイメージです。

またハウスメーカーや工務店の下請けとして、個人住宅の庭や集合住宅の外構工事を請け負うこともあります。

元請け×公共案件
公共工事を元請けで請け負う場合には、地方公共団体が管理する広場や公園の植栽整備や維持管理の仕事が中心です。

河川、林道、国・地方公共団体が所有する土地などの草刈り、樹木を伐採する仕事もあります。

街路樹の剪定や植物園の花壇管理といった美観を維持するための工事も、公共案件の1つです。道路の維持管理を請け負うこともあるでしょう。

同じ草刈りや剪定などの維持管理作業でも、学校や教育センター、研究所などで行うこともあります。

元請け×公共案件の場合は、公共工事の中でもとくに、植物に関連するような造園業に特化した内容の仕事が多いでしょう。

元請け×民間案件
民間の案件を直接請け負うときには、個人住宅の造園工事や維持管理、集合住宅や企業が所有する緑地の維持管理が主な仕事です。

マンション、ビル、店舗の造園工事をすることもあるでしょう。

造園会社の中には、下請けや公共案件は請け負わず、個人住宅の定期的な維持管理のみを専門としている会社もあります。

元請け×民間案件が請け負う工事の規模は、小規模なものから大規模なものまでさまざまです。工事内容も多岐にわたるのが特徴と言えるでしょう。

(まとめ)やりたいことを整理して転職を進めよう

造園業の工事は、発注者から直接工事を請け負う「元請け」と、別の会社が請け負った工事の一部を請け負う「下請け」の2種類があります。

元請けでは工事全体の進行に携わることができる点が、下請けでは専門的な技術を身につけやすい点が特徴です。

また発注者が国や地方公共団体などの公共機関なのか、それ以外の民間企業や個人なのかによって、公共案件と民間案件に分けられます。

公共案件は道路、公園、公共機関が管理する場所の工事が多く、民間案件では複合施設、企業ビル、個人住宅などさまざまな場所での工事が中心です。

造園会社の受注形態は公共工事を中心に請け負っていたり、下請けを専門にしていたりと、会社によってさまざまです。

転職前には志望する会社がどのような仕事を中心に請け負っているのか、よく確認することが大切でしょう。