監理技術者になると造園工事中は休めない?休むとどうなる?

監理技術者/専任技術者とは

造園業と言っても様々な仕事がありますが、近年は、大企業だけでなく、中小企業も造園工事を手掛けています。造園工事を手掛ける造園企業にとって、欠かせない存在が監理技術者や専任技術者です。

専任技術者
造園企業は、軽微な工事以外の造園工事を手掛ける場合、造園工事業の建設業許可を取得しなければなりません。

企業が建設業の許可を得るためには、専任技術者を配置することが許可要件の一つです。そして許可取得後も必ず営業所毎に配置されなければならない技術者です。

専任技術者の仕事は、主に営業所内での作業となり、見積書の作成や契約の締結、発注者との交渉などを担っています。

監理技術者
造園工事に関して、工事現場に配置が義務付けられているのが主任技術者や監理技術者です。

監理技術者とは、下請契約の請負代金の合計額が4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)以上の規大規模な工事現場に、元請企業が配置しなければならない技術者です。

監理技術者は、施工計画を作成したり、安全、品質、工程、原価などの管理業務をこなしたりする他、造園工事の現場において、下請負人を指導したり、監督したりする総合的な役割を担います。

監理技術者/専任技術者は工事中は有給がとれない?

監理技術者や専任技術者を含め、建設業や工事を手掛ける造園業で働く労働者も、他の業種の労働者と同様、条件を満たす場合には有給が認められます。

しかし、建設業や造園業における有給取得率は高くありません。元々、建設業や造園業は人手不足が深刻な業界である上、仕事が天候に左右され、工期に間に合わせるために仕事をすることもあるため、他の業種よりも休業日は少ない傾向にあります。

特に、重要なポジションである監理技術者や専任技術者は、有給をとりにくいことが想像できるしょう。

2019年に建設業も有給取得が義務化
働き方改革の一環で、2019年に建設業や土木業でも有給の取得が義務付けられました。具体的に、企業は年10日以上の有給が与えられている労働者に、年5日の有休を取得させなければなりません。

実際に、有給取得が義務化される前後を比較すると、義務化後の有給取得率は高くなっています。ただ、以前より有給取得率が高くなったとはいえ、依然、建設業は他の業種と比べて有給取得率が低いと言わざるを得ないのが現状です。

もし労働者が有給を請求し、企業が認めなかった場合、労働者は労働基準法違反として労働基準監督署に相談できます。

労働者への有給を認めなかった企業は、懲役又は罰金を科される可能性があります。企業は、役員などが懲役刑に科せられた場合、建設業許可が取り消されることも覚悟しておくべきでしょう。

また、建設業では、2024年に改正労働基準法が適用されることが決まっています。改正労働基準法には、時間外労働の上限が罰則付きで規定されています。

建設業においても、週休2日制の取り組みや有給の義務化、時間外労働の上限規制など、監理技術者や専任技術者が休めるような環境は整えられつつありますが、同時に建設業や造園業では、作業の効率化や業務量の適正化などを見直す必要もあるでしょう。

休んだ場合、現場はどうなる?

建設業において、監理技術者の休むイメージが湧きにくいのは、専任の影響もあるでしょう。

2020年の建設業法改正によって、監理技術者の専任義務は緩和されていますが、以前は監理技術者は専任と定められていました。

専任とは、工事の稼働中に監理技術者が現場に常駐することを求めるものではありません。他の工事現場との兼務をせず、携わっている工事現場の職務だけに従事することを指します。

有給で休む場合
監理技術者が有給を取得して休む場合、適切な施工ができる体制を確保し、その体制について発注者の了解を得られれば問題ありません。

適切な施工ができる体制とは、必要な資格を持つ代理の技術者を配置する他、連絡をとったり、必要ならば現場に戻ったりできる環境を整えておくことです。

必要な資格を持つ代理の技術者を配置し、適切な施工が継続できると判断された場合、現場に戻る体制は不要にするなど、建設業界には監理技術者の休暇を妨げない配慮が求められています。

また、主に営業所内で働く専任技術者に関しても、専任とありますが、営業所に常駐することを意味しません。専任技術者は、補佐体制や連絡体制を整えておくことで、有給を取得できるでしょう。

やむを得ない事情で休む場合
もし、監理技術者が病気や家庭の事情など、やむを得ない理由で休まざるを得ないなら、監理技術者の途中交代が考慮されます。

監理技術者の途中交代は、工事の適正な施工の確保を妨げることが懸念されるため、原則として認められていません。

しかし、やむを得ない事情がある場合、元請企業は発注者と話し合った上で、適切な措置をとって監理技術者を交代できます。

監理技術者が交代しても、技術者の技術や知識量、工事の品質などは維持されなければなりません。

元請企業は、発注者から監理技術者の職務や本社の支援体制などについて質問を受ければ、詳しく説明できるように準備しておく必要があります。