聞きづらい疑問を解決!建設業界、造園業で働く女性のトイレ事情

造園業で働く女性の割合

建設業や造園業は男性社会というイメージが大きいですが、実際に数字からも男性社会であることが読み取れます。

総務省の平成27年労働力調査によると、女性雇用者数を産業別に見た時に上位に建設業は見当たりません。一方、男性雇用者数は製造業、卸売業・小売業に次いで建設業が多くなっています。

造園業に関する資格取得者数に注目した場合、国土交通省は平成30年度造園施工管理技術検定2級の実地試験の女性合格者が統計を取り始めてから初めて合格者全体の2割を超えたことを報道発表資料で報告しています。

女性率は増加しているものの多いとは言えません。また、平成30年度造園施工管理技術検定1級の実地試験合格者の女性が占める割合は14.4%と2級よりも低くなっています。

東京都総務局がまとめた東京の労働(平成29年)によれば、東京都の女性就業人数と女性比率を産業別に見ると、建設業で働く女性は7.5万人、つまり建設業全体の従事者の17.3%に過ぎません。

平成28年に施行されたいわゆる女性活躍推進法をはじめ、日本では政府を含めて社会全体で女性の活躍を鼓舞する雰囲気にあり、ほとんどの業種で女性就業人数は増加しているものの、建設業に関しては平成21年まで女性就業人数の減少が続き、平成22年に増加に転じたものの増加率は芳しくありません。

ただ、建設業において女性活躍推進に関して無対策というわけではなく、「けんせつ小町」という建設業で働くすべての女性を指す愛称を決めたり、一般社団法人日本建設業連合会のHPでけんせつ小町工事チームの登録や紹介をしたりして、女性にも建設業に親しみを持ってもらえるような取り組みを行っています。

外で働く女性の悩み

建設業や造園業で女性の割合が少ない理由は、まず建設業や造園業が職人的な要素の強い職種であり、体力が求められることが挙げられます。また、職人世界でよくある昔ながらの上下関係の厳しさも無視できません。

その他の理由として、外で働くことに対して抵抗のある女性もいるでしょう。実際に、女性の職人も仕事場が外である故に苦労することはあるようです。

日焼け
多くの女性が外で活動する際に懸念するのが日焼けでしょう。日焼け止め商品はありますが、数時間おきに塗り直すなどこまめなケアが必要ですし、鏡も携帯しなければなりません。作業の邪魔になるような日焼け対策グッズも使えません。

また、特に暑い時期は汗をかくことでメイクが崩れてしまうことも女性にとっては悩ましいでしょう。ノーメイクで働く女性の職人もいるようです。

作業着や安全グッズの悩み
建設業や造園業はまだまだ男性社会であるため、必要な道具やユニフォームも男性用が多いです。女性用の作業着や安全靴を探しているのに見つからなくて悩んでいる女性作業員は少なくありません。

また、作業着が野暮ったかったり、汗シミが丸見えになったりするなど、機能だけでなく見た目にもこだわりたい女性にとっては作業着や安全グッズの悩みは尽きないでしょう。しかし、最近は女性用の作業服も登場しています。

トイレ
現場で働く女性の職人にとって一番大きな悩みと言っても過言ではないのがトイレです。他の悩みと違って自身で解決できません。

建設現場で仮設トイレは、以前は和式非水洗が主流でした。臭いや不衛生さが気になって、特に女性にとっては厳しい環境です。また、男女共同でトイレを利用することに抵抗感を抱く女性もいるでしょう。

改善されつつある建設業における女性のトイレ事情

建設業で女性が働きやすくする取り組みの一つが現場環境の改善で、悩む女性が多いトイレも以前とは事情が異なってきています。

各企業においてマニュアル策定が行われていますが、行政も動いています。

快適トイレの登場
国土交通省では建設業を男女共に働きやすい環境にする取り組みに積極的です。取り組みの一環として、男女共に快適に使用できる仮設トイレがあります。

機能や付属品など一定の水準をクリアした仮設トイレは「快適トイレ」と名付けられ、平成28年10月1日以降に入札手続きを開始する土木工事から導入されており、現場で働く女性のトイレの悩みを解決しています。

快適トイレの条件
快適トイレと呼ばれるには機能や付属品など決められた仕様を満たしていなければなりません。機能に関しては、洋式便座であること、水洗機能、臭い逆流防止機能、しっかりとした施錠機能、照明設備、耐荷重5kg以上のフック付け、又は荷物置き場設備機能が求められています。

付属品として備える必要があるものは男女別の明確な表示、入り口の目隠しの設置、女性専用トイレにはサニタリーボックス、鏡付き洗面台、便座除菌シートなどの衛生用品です。他にも必ず導入する必要はないものの推奨する付属品として擬音装置などが挙げられています。

まとめ
以前は特に女性労働者の間で良い印象を持つ人が少なかった工事現場の仮設トイレですが、最近では企業や行政の取り組みにより、環境改善が図られています。

トイレをはじめ、育児休業制度など女性が気になる制度についても導入する企業が増えており、造園業や建設業も女性が働きやすくなっていることは間違いありません。

建築業において女性の活躍が期待されていることから、今後より一層女性にとって働きやすい環境が整っていくでしょう。