造園業に年齢制限はあるの?造園業に就きたい人が知っておくべき注意点も解説

会社によっては年齢制限を設けているところもある

原則として造園業に年齢制限はありません。

「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」では、「労働者の募集及び採用について、厚生労働省令で定めるところにより、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない」と規定されています。

これは造園業に限ったことではなく、すべての職業で適用される原則です。

出典:労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(旧雇用対策法)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=341AC0000000132

ただし、会社によっては年齢制限を設けた求人募集を行っていることもあります。これは同法の施行規則で例外事由が定められているからです。

出典:労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律施行規則
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=341M50002000023

定年による事由
造園業の会社の例外事由としてよく見られるのが、「~64歳以下」「~59歳以下」といった定年を上限とした年齢制限です。

定年がある会社で雇用期間に定めがない場合には、定年年齢を上限とした年齢制限を設けることができます。

キャリア形成、技能継承を目的とした事由
44歳以下の若年者を対象に、長期勤続によるキャリア形成を目的とした採用の場合も、年齢制限を設けることが認められています。

この場合、「~40歳以下」「~44歳以下」などの表記がみられますが、これは労働期間に定めがない場合に限られます。また新卒者以外は経験不問とし、新卒者と同等の待遇で募集・採用することが条件です。

このほか、技能やノウハウ継承の観点から年齢層を限定して募集、採用することも可能です。

30~49歳のうち、特定の職種で5~10歳幅の年齢層における労働者数が、同じ年齢幅の上下の年齢層と比べて2分の1以下である場合がこれに該当します。

法律による事由
法律や条令によって就業可能な年齢が規定されている場合にも、年齢制限が設けられます。

例えば、高さ2m以上で行われる高所作業は、労働安全衛生法の規定により、18歳以上でないと作業できません。このため「法令の規定により年齢制限がある」という理由から「18歳~」と条件設定されています。

造園業では脚立や高所作業車を使って行う剪定作業が、高所作業に該当します。

造園業に勤める人の平均年齢はどのくらい?

厚生労働省が令和4年賃金構造基本統計調査の結果を元に算出した結果によれば、造園業に努める人の平均年齢は45.6歳です。

出典:職業情報提供サイトJobtag 造園工
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/222

同調査によれば、大工の平均年齢が43.2歳、ブロック積み工で42.6歳でした。建設業で働く人と比べてみると、造園業に勤める人の平均年齢はやや高い傾向にあると言えるでしょう。

出典:職業情報提供サイトJobtag 大工
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/26

出典:職業情報提供サイトJobtag ブロック積み
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/37

造園業に就きたい人が知っておくべき注意点

造園業の仕事では、体力が必要であったり、高所作業に伴う危険があったりする点に注意が必要です。

体力が必要
造園業の仕事は、夏は炎天下、冬は極寒の下でという厳しい条件下での屋外作業が中心です。また、樹木や石など重たいものを運ぶこともあるので体力は必要になります。

筋肉量は40代頃までは維持されますが、体力は20代以降少しずつ低下し、50代・60代を迎える頃には急激に低下すると言われています。

50代以降で造園業への転職を考えている場合は、日頃の運動習慣を見直し体力作りをすることも必要でしょう。

また、造園業では虫対策や怪我防止のために夏でも長袖を着用することが多いため、熱がこもりやすく、熱中症になる危険性が高いです。

熱中症は一般的に、体温機能調節の衰え、暑さを自覚しにくいことなどが原因で、高齢者や体調が良くない人、運動習慣がない人がなりやすいと言われています。

総務省消防庁が発表した資料によると、令和4年5月から9月に熱中症で救急搬送された人の54.5%が満65歳以上の高齢者でした。

出典:令和4年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況
https://www.fdma.go.jp/

若年層であっても、慣れない外作業は意外と体力を消耗するもの。安全に作業するためにも、定年退職後の再就職で造園業を選ぶ場合はとくに、夏場の暑さ対策と健康管理に留意しましょう。

高所作業に伴う危険
造園業の仕事では、樹木を剪定する際に脚立やはしご、高所作業車などを使う場合がありますが、墜落や転落してしまうと重大事故につながる可能性があります。

厚生労働省がまとめた「高年齢労働者の労働災害発生状況」によると、墜落・転落を原因とした労働災害は60代以降に多い傾向にあり、加齢による身体機能の低下は避けられないという理由から、安全対策として「65歳以上は高所作業不可」といった年齢制限を設けている会社もあります。

60代以降で造園業へ就職する場合は、実際の作業に制限が発生する可能性もあるので、その点も注意が必要でしょう。

出典:令和4年度 高年齢労働者の労働災害発生状況
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/001099505.pdf

まとめ

造園業に年齢制限はありませんが、会社によっては募集時に一定の制限を設けていることがあります。

体力が必要だったり、高所作業に伴う危険があったりしますが、基本的にはどの世代でも働くことができる仕事なので、自身の年齢や経験などの条件にあった会社を見つけてチャレンジしてみましょう。