造園業の仕事内容を分類
造園業の仕事内容は様々です。造園業でも請け負う仕事によって作業内容が異なることは、一般的にあまり知られていません。造園業の仕事を大きく分類すると設計、施工、維持管理の3つがあります。
造園業における設計とは、個人邸宅の庭をはじめ、公園などの公共施設、オフィスビルや店舗などの庭を作り上げるにあたって、顧客の要望を聞き、専門知識も加えてどのようなデザインで仕上げるかを提案することです。
設計では顧客の希望を取り入れるだけでなく、植物や石、水、環境などに関する知識、さらには日本庭園やイングリッシュガーデンなど各分野の知識も求められます。
エクステリアプランナーや庭園設計士など設計に関する資格保有者が従事している場合も珍しくありません。
造園業は設計だけでなく、建設業の許可を得ている場合は自社で施工をします。その場合、工事現場に配置が必要な主任技術者や監理技術者になれる施工管理技士の資格取得者が現場で活躍します。
施工とは、設計に基づいて工事を行うことです。施工管理技士は施工計画や工程管理、資材調達、品質や安全の管理まで幅広く工事に関する仕事を担います。
造園業は設計や工事、植樹をして終わりではありません。施工後の維持管理も大切な造園業の仕事です。近年は高齢化や企業のコスト削減などの要因で維持管理にコストや負担がかからないようローメンテナンスを求める声も多く聞かれますが、植樹には最低限の維持管理が必要です。
植物は時間が経つと劣化したり、枝葉が伸びたりするため、手入れをしないままでは庭は荒れてしまうため、定期的に管理することは不可欠であり、手入れにより美しい景観を保つことができるでしょう。
「植栽メンテナンス」「維持管理」とは
造園業に関する求人には設計、施工、維持管理など仕事内容が記載されています。維持管理に関しては多くの場合、植栽メンテナンスや植栽管理などの単語が使われています。
仕事内容の他、経験や資格の有無に関する情報も確認しましょう。
植栽メンテナンスや維持管理の代表的な仕事の一つは剪定です。一般的に伸びた枝を切ることを剪定といいますが、剪定といっても色々あります。
例えば公園や庭などに多い身近な植物であるツツジの苅込剪定です。剪定時期が重要な植物なので剪定時期を知っておく必要があるでしょう。植物についての知識や、病気予防のための間引き、丸形に整える苅込技術を要します。
また、街路樹剪定は信号や標識を見えやすくして安全を確保したり、周辺の設備と調和して景観を良くしたりするなどの役割もあります。
街路樹剪定では各植物の特性を知り、植物毎に剪定時期や方法を見極めなければなりません。街路樹剪定には民間資格「街路樹剪定士」が役立ちます。環境問題に注目が集まり緑化運動が盛んな昨今、街路樹剪定士の需要が高まっており、今後も需要高は続くでしょう。
その他、見た目を維持させる透かし剪定もあります。透かし剪定は見た目の維持だけでなく、全体を均一に整えることで養分を均一に行き渡らせ、成長を促す効果が期待できます。
造園業における「植栽メンテナンス」や「維持管理」が手掛ける仕事には剪定の他にも落ち葉集め、枯れた木の取り替え、施肥、病害虫駆除、芝刈り、除草などの仕事もあります。
また、台風など自然災害による植物被害への対処も造園業が行う仕事と頭に入れておきましょう。
造園業『植栽メンテナンス』『維持管理』の仕事のスケジュールとは
すべての造園会社において仕事のスケジュールは同じとは限りませんが、流れは似ています。
植栽メンテナンスや維持管理をする仕事の1日のスケジュールは出勤後に当日の作業内容に関するミーティングや道具の確認から始まります。作業を安全に終えるために、危険予知活動も欠かせません。必要な確認が終わり次第、現場に移動して作業を開始します。
造園業では安全のために昼休憩の他、午前と午後に適度に小休憩を挟むことは珍しくありません。また、作業前と作業終了時に依頼主や近隣に作業に関する連絡をするなど、音やゴミでトラブルが起きないよう配慮する必要があります。
現場での作業終了後に帰社し、道具の手入れや作業報告のためのミーティングで1日の仕事は終わりますが、場合によっては現地集合、直帰することもありえるでしょう。
植栽メンテナンスや維持管理の作業は施工よりも短期間で終わることが多いです。1日で終わる日も少なくありません。
企業が地域を絞っている場合は現場のほとんどが会社の近郊となり、1日に何件かを回っていくこともあります。
造園業では現場まで道具を運ぶ必要があるので、必然的に車での移動になるでしょう。社用車の使用になりますが、社用車がMT車のこともあり、求人でAT限定の免許を不可としている企業も少なくないので確認が必要です。
また、造園業は屋外が主な仕事現場となるため、天候の影響を大きく受けてしまいます。雨や雪など悪天候時は作業を止めて休まざるを得ません。
造園会社や会社での立場によっては悪天候時は別の場所で作業をするか道具のメンテナンスなどの仕事をする場合と、仕事自体休みになる場合の2種類があります。
多くの場合、悪天候時の業務は給与に直結する部分であるため求人情報に記載があります。
造園業では、天気の良い日は早朝から作業することが多いです。現場によって出発時間や作業時間は異なってきますが、造園業は基本的に日中しか作業できない事情もあり、朝は他の業種に比べて早いことで知られています。暗くなると植物が見えなくなるので、日暮れ後も作業を続けることは稀です。
植物が相手の仕事であるだけに造園業の仕事のスケジュールは天気や時間を気にしつつ動くことが多いといえるでしょう。
また、ただ作業をこなすだけでなく、依頼主や周辺住民への配慮を忘れず、コミュニケーションをとって周囲や労働者の安全を重視する姿勢も重視されています。
