
公共緑化という言葉を聞いたことがありますか?
私たちの暮らしに欠かせない、公園や緑地を生み出す仕事です。
そこで本記事では公共緑化はどんな仕事なのか、その内容や関わり方を詳しく紹介します。

地方公共緑化の仕事とは?
都市緑地法では「緑地」を、「樹林地、草地、水辺地、岩石地若しくはその状況がこれらに類する土地(農地であるものを含む。)が、単独で若しくは一体となって、又はこれらに隣接している土地が、これらと一体となって、良好な自然的環境を形成しているもの」と定義づけています。
引用:都市緑地法 第1章 第3条
https://laws.e-gov.go.jp/law/341AC0000000101#Mp-At_3-Pr_1
この緑地を公共で利用できるように、国や地方自治体などが設置したり管理したりしているのが、公共緑地です。
具体的には、公園、広場、運動場、墓地などがこれに該当します。
道路や河川の緑化、公共施設の造園工事も、公共緑地に含まれます。
緑地の創出と維持管理を推進する都市緑地法では、各地方自治体が主体となって取り組む、さまざまな緑化制度について定めています。
これに基づいて行われているのが、地方公共緑化です。
私たちが快適に過ごせる、みどり豊かな空間の創出と維持管理を担っているのが、地方公共緑化の仕事と言えるでしょう。

地方公共緑化で活躍する職種とは?
地方公共緑化を進める際、さまざまな職種の人たちが関わっています。
発注元である公務員、実際に緑地を作ったり維持管理をしたりする造園工や緑地管理スタッフ、工事の指揮監督をする造園施工管理技士などについて、それぞれの仕事を紹介します。
公務員「公園課・緑化部門」
地方自治体の公園課や緑化部門では、公園や緑地の整備や維持管理、緑化の推進、緑地の保全を担当しています。
所属する地方自治体によって課の名称は異なります。造園系の部署だったり、建設系や土木系の課に併設されたりしている場合が多いでしょう。
地方公共緑化は、各地方自治体がさまざまな緑化制度に基づき推進しています。
そのため、地方自治体の公園課・緑化部門に所属し、地方公共緑化に携わることは、主に発注者として関わることになります。
具体的な仕事としては、公園の整備や改修に関する計画を立案したり、公共緑地の現況調査を行ったりしています。
公共用地の緑化計画を策定することや、植栽の維持管理計画を立案することも、公園課・緑化部門が行う仕事です。
公園や緑地を新たに整備するときには、建築物の申請業務や工事費の算出、積算、発注業務も担当します。
設計図面を作成することも必要です。また、計画立案の際には、地域住民のニーズを調査したり、関係機関との調整をしたりすることも求められます。
もちろん、工事が始まったら現場に赴いて監督することも、大切な仕事の1つです。
公務員として働く公園課・緑化部門は、一般的に発注者として緑化工事に総合的に関わる仕事なのです。
造園工・緑地管理スタッフ
整備や維持管理計画に基づいて、地方自治体や公共団体から工事を請け負い、実際に地方公共緑化に関する工事や作業を担当するのが、造園工や緑地管理スタッフです。
公園や緑地の整備では、設計図面や仕様といった施工計画をもとに、工事を行います。
植物を植えるだけではなく、地盤の整備や各種設備の設置も、造園工が行う仕事です。
公園や緑地を新たにつくるだけではなく、街路樹を植えたり、公共用地の一部に花壇を整備したりすることもあります。
また近年では、建物の屋上スペースに植物を植えて、憩いの空間を演出したり、建物の省エネルギー化をはかったりする、屋上緑化の工事も増えています。
維持管理の仕事は、樹木の剪定、低木の刈り込み、芝刈り、除草などが中心です。
さまざまな原因で、倒木のおそれがある樹木の伐採・抜根も行います。
ときには、年間を通じて綿密な手入れを行うために、年間の作業スケジュールを立案することもあるでしょう。
造園施工管理技士
建設業法に基づいて行われる造園施工管理技術検定合格者に与えられる資格が造園施工管理技士で、1級と2級があります。
造園施工管理技士は造園工事において、施工計画や施工図を作成したり、工程、品質、安全などを管理したりするのが主な仕事です。
実際に自ら作業をするのではなく、先にご紹介した造園工や緑地管理スタッフを統括し、工事全体の指揮管理を行います。
発注元とさまざまな折衝をしたり、工事が円滑にすすむように資材や機械、人員の手配をしたりするのも、造園施工管理技士の仕事です。
地方公共団体が発注する地方公共緑化の仕事は、入札の条件として造園施工管理技士を雇用していることや、その人の指導のもとで業務を遂行することなどを掲げている場合が多く見受けられます。
これは造園施工管理技士の有資格者は、施工管理を的確に行うために必要な技術を有していると判断されているからです。
造園施工管理技士は、地方公共緑化を推進するために欠かせない存在と言えるでしょう。
グリーンコーディネーター
これまで紹介した仕事とは若干異なりますが、グリーンコーディネーターもまた、公共の緑化に一役買っています。
グリーンコーディネーターとは、公共のスペースやホテル、ショッピングモールなどの商業施設、個人住宅などのさまざまな空間で、観葉植物の設置を提案し、その維持管理を行う仕事です。
緑地を創り出したり、それを維持管理したりする仕事ではありませんが、公共のために「みどり」を使って空間を演出する、という点は、ほかの仕事と共通しています。
グリーンコーディネーターは、空間演出を通して公共緑化の一端を担っていると言えるでしょう。

まとめ
緑地の創出と維持管理を推進する都市緑地法では、各地方自治体が主体となって取り組む、さまざまな緑化制度について定めて、これに基づいて行われるのが地方公共緑化です。
地方公共緑化に携わる仕事には、発注元である公務員や、実際に工事を担当する造園工・緑地管理スタッフ、工事全体を統括する造園施工管理技士などがあります。
どの仕事も、私たちの暮らしをみどり豊かで快適なものにするために、欠かせないものと言えるでしょう。