独立して造園工事に携わるのと、企業で職人として働くのに違いはある?

独立と職人の違いとそれぞれのメリット・デメリット

近年、労働形態は多様化しており、様々な業種において、企業に属して働くだけでなく、独立してフリーランスになったり、起業したりする人は珍しくなくなりました。

造園業においても、独立は以前から多くの職人に選ばれている働き方です。

独立して個人事業主としての働き方と企業に所属して職人としての働き方は、それぞれメリットとデメリットがあります。造園業に携わる労働者は働き方を選ぶ上で、それぞれの働き方のメリットとデメリットを知っておくと良いでしょう。

独立のメリットとデメリット
造園業の職人が独立するメリットは、上手くいけば年収アップを望めることです。また、独立した職人は、仕事のスケジュールの決め方も自由なので、自分のペースで仕事を請け負えます。

独立のデメリットは、仕事を取れない可能性があることです。独立すると、自分で営業して仕事を取りにいかなければなりません。営業力がなければ、仕事を取るのに苦労するのが想像に容易いでしょう。

また、仕事を取れたとしても、顧客が技術力や知識量に満足しなければ、職人は仕事を継続して取れない可能性が高いです。独立の成功者に注目が集まりがちですが、独立を予定している人は、失敗する人の方が多い事実も知っておくべきでしょう。

企業で職人として働くメリット・デメリット
企業で働く場合、メリットとして安定性が挙げられます。企業で働く職人は、毎月給料が振り込まれ、仕事が途切れる心配もありません。また、企業に属している人は、社会保険に加入できる点もメリットといえるでしょう。

一方、企業で職人として働くデメリットは、職人として会社の業績アップに貢献したとしても、給与に反映されにくい点です。企業に属している人は、大幅な収入アップは望めないでしょう。

独立して開業するための準備とは?

造園業で働く人が独立するには、フリーランスと起業の方法があります。フリーランスは、会社や個人から仕事を請け負ってスキルを提供する働き方です。起業は、事業を運営し、サービスや価値を顧客に提供する働き方を指します。

フリーランスと起業では、働き方以外にも、税法や制度などにおいて異なる点があります。

なお、起業と開業は意味が似ているものの、言葉の使われ方が異なります。起業は事業を新しく始める際に使われる言葉であるのに対して、開業は個人事業を始める際に使われる場合が多いです。

開業資金が必要
造園業で独立して開業するには、まず開業資金が必要になります。開業するにあたって、使用する道具をそろえたり、事務機器を購入したりするなど色々お金がかかります。

日本政策金融公庫の2020年度新規開業実態調査によると、開業費用は500万円未満の割合が最も多く、平均値は約1000万円という結果が出ています。目安として最低でも500万円の資金を準備しておく必要があります。また、道具や車両を置く場所も確保しなければなりません。

開業届
事業を開始する人は、開業届を税務署に提出します。開業届は、個人事業主として事業を始める際に提出する書類です。

開業届に関しては、所得税法によって、事業開始日から1ヶ月以内の提出が義務付けられていますが、提出しない場合の罰則は規定されていません。

実際には、開業届を提出していない個人事業主もいます。しかし、開業届を提出するメリットは少なくありません。最大のメリットは、確定申告で青色申告を利用することで節税対策ができることです。

職人での働き方で必要なことは

造園業の職人として働くには、まず体力が必要ですが、他にも職人として働く上で必要な要素があります。企業で職人として働いて身に着けたことは、独立しても活かせるでしょう。

技術や知識
企業で職人として働くにしても、独立するにしても、職人には経験や確かな技術が求められます。

企業に属している人なら、熟練の年長者から指導を受けられるので、成長できる環境が整っているといえるでしょう。独立を視野に入れている職人は、企業に在籍している間にしっかりと技術や知識を吸収しておかなければなりません。

もちろん、独立後にも技術の錬磨や勉強は欠かせないでしょう。

資格
造園業といっても、手掛ける業務は幅広く、資格がなくてもできる仕事はあります。しかし、造園企業で職人として働き、キャリアアップを目指す人なら、資格取得は必須となるでしょう。

造園施工管理技士や造園技能士などの国家資格は、造園業や建設業で重宝されており、仕事をする上で必ず役に立ちます。

また、独立の際、資格は必須条件ではありませんが、資格を取得しておくことで顧客からの信頼を得やすいですし、できる仕事が増えることによって仕事の幅を広げられるでしょう。

特に、独立して造園工事に携わる予定のある人なら、企業に在籍している時に資格は取得しておくべきです。

コミュニケーション能力
多くの人は、職人について、寡黙なイメージを抱くかもしれません。しかし、現場の職人は、現場監督や他の職人と意思疎通しながら仕事を進める必要があるため、コミュニケーション能力は大事です。

また、職人が独立する際、技術だけでは仕事を取れません。独立する人は、独立前に人脈作りに取り組んだり、開業後に営業したりする必要がありますが、いずれにしろコミュニケーション能力が求められるでしょう。