来年に迫る建設業・造園業の2024年問題!給料が減る可能性は?

2024年問題とは?

働き方改革関連法の適用に際して、建設業・造園業では「働き方」にまつわる多くの問題に突き当たっています。

それらは総じて「2024年問題」と呼ばれており、従業員にとって給料の増減に関わる一大事。

そこで今回は「2024年問題」によって発生する出来ごとと、造園業への影響についてお届けします。

時間外労働時間の上限規制
働き方改革関連法の適応によって、2024年以降建設業・造園業では時間外労働時間の上限規制が設けられることになりました。

月間の時間外労働時間は原則45時間以内となり、年間での総時間外労働時間は360時間以内に制限されます。

ただし特別な状況に対応するため、特例条項も設けられています。これにより年間で最大720時間、月平均60時間の時間外労働が認められる場合がありますが、一部の特別なプロジェクトや緊急の状況に対応するための規定なので、注意が必要です。

以前は法定労働時間を超過しても罰則がなく、納期に間に合わせるため長時間の時間外労働が行われていた状況もありましたが、2024年以降は時間外労働の規制内で作業を進めなければならなくなるでしょう。

割増賃金引上げ
2024年問題では割増賃金引上げについても問題になっています。これまで月60時間を超えた時間外労働に対して割増率は25%でしたが、2010年から大企業で、2023年からは中小企業で割増率が50%に増加します。

企業は、時間外労働の上限規制と割増賃金の増加を受け、より効率的な労働力の配置や業務プロセスの最適化が必要になるため、時間外労働をさせないような仕組み作りが必要になるでしょう。

給料が減る可能性は?

2024年問題によって給料が減るかも気になるところですよね。結論として、時間外労働の上限規制により残業時間が減少するため、労働者の給与も下がる可能性が高いです。

さらに、労働時間の確保が難しくなることで、企業の受注対応件数が減少する可能性も考えられます。これにより、売上が減少し利益を出しにくい状況になる可能性も高まるでしょう。

経済的な圧力を受けることで給与の削減も考えられるので従業員側にとっても収入が減少する場合があります。

一方で、企業では賃上げ促進税制の適用も開始しています。賃上げ促進税制とは、「従業員の賃金を上げた分に応じて税額控除ができる制度」で、これにより従業員の賃上げを積極的に行う企業が増えることが期待されています。

建設業・造園業では、賃上げを行う企業に公共工事の加点措置が講じられることも公表されました。賃上げを促進するための税制や、仕組みがあることで賃上げにつながる可能性が期待できるでしょう。

企業側としては、2024年問題に対して、賃上げ促進税制や賃上げによる公共工事の加点措置などを活用することで対策をしていくことが求められています。

従業員側としても、自分自身の残業時間や給与に直接関係してくる内容のため理解しておくことが必要となるでしょう。

2024年問題の課題と解決策

2024年問題によって新たに発生する課題とは?
時間外労働の上限設定により、従業員1人当たりの生産性が減少するため、これまでの労働量で売上を維持することが難しくなるでしょう。

売上を維持するためには従業員を増やさなければならないため、人材不足が深刻な課題になります。

特に造園業は既に人手不足の問題を抱えており、2024年問題による新たな制約が追い打ちをかけています。この問題への対策が急務となり、労働環境の改善、給与の見直し、業務内容のイメージ改善などが求められているでしょう。

実際、賃上げ促進税制や公共工事の加点措置など、造園業にとって給与の見直しにつながる制度が導入されてきています。これまでの労働環境イメージとは異なる体制が増えていくことが期待できるでしょう。

課題を解決するには?
人手不足を解決する方法に、生産性向上が挙げられます。単調な業務や繰り返しのタスクを自動化することで、限られた労働人数でも作業効率の向上が可能です。

自動機械やソフトウェアを活用して、労働者の負担を減らし、生産性を高めることが解決策になるでしょう。

まとめ

今回の記事では、建設業・造園業の2024年問題を解説しました。2019年に働き方改革がスタートし、建設業界では2024年から本格的な適応がスタートされましたが、時間外労働の上限規制や割増賃金引上げなどの制限が加わり、新たに業務効率の改善という課題が浮き彫りになりました。

残業時間が抑制されることにより、従業員としては給料が減る可能性が高くなることを理解しておかなければなりません。ただし同時に、賃上げ促進税制によって企業が賃上げに積極的になることも期待されています。

建設業・造園業では公共工事の加点措置が講じられることも公表されたため、より賃上げに積極的になる企業が増えることが期待できるでしょう。