「環境カウンセラー」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
本記事では環境問題への関心が高まるなかで、今後ますます重要視されてくる「環境カウンセラー」について紹介します。
環境カウンセラーとは
環境カウンセラーとは、市民やNGO団体、企業、学校などが行う環境保全活動に対して、助言(カウンセリング)を行う人のことです。
環境保全や環境保全活動に関する知識・識見を活かして、適切な助言・指導を行うことができる人に与えられる称号です。
主に企業や事業者が取り組む環境保全活動に対して課題解決に向けた助言を行う「事業部門」と、地域や市民団体、学校などが行う環境教育や環境保全活動を対象としてカウンセリングを実施する「市民部門」の2部門があります。
環境カウンセラーには、環境保全に関する知識と豊富な経験を活かして、地域活動に貢献することが求められます。
環境教育や環境保全活動で何らかの課題が発生したときに、環境に関する専門的な知識と豊富な経験から適切なアドバイスをしてくれる頼れるパートナーが、「環境カウンセラー」なのです。
環境カウンセラーの仕事内容
環境カウンセラーの主な活動は、企業や学校などが行う環境保全活動・環境教育に助言や手助けをすることです。
事業者部門の環境カウンセラーは、環境省が策定したエコアクション21や、国際規格のISO14001などの環境マネジメントシステム認証を取得したいときに助言をしたり、これらの内部監査員の教育・研修を担当したりしています。
また市民分門の環境カウンセラーは、学校などの教育機関からの依頼によるSDGs、生物多様性、地球温暖化に関する授業、自治体や市民・団体からの依頼による環境イベントの企画やセミナーの講師などが主な活動内容です。
環境カウンセラーになるには?
本章では申請時の要件、合格率、審査内容などについて紹介します。
受験資格・合格率
環境カウンセラーの登録要件は「環境保全に関する基本的な知識」と「環境保全活動に関する相当の知識と経験」を有していることです。
それに加えて「知識と経験を活用して環境カウンセリングを行うことができる資質と能力」も持ち合わせていなければなりません。
そのため申請時には、事業部門の場合は、事業者などを対象とした環境保全に関する活動実績が5年以上あること、市民部門の場合は、学生などを対象とした環境保全に関する活動実績が4年以上あることが求められます。
直近3年の合格率は、事業部門がおよそ53〜75%、市民部門がおよそ60〜65%です。
環境保全活動の実績がないと申請できないため、申請者は基本的な知識を有している人が多いでしょう。
そのため、比較的高い合格率を推移していると考えられます。
試験内容
環境カウンセラーの審査には、書類審査と面接審査があります。
まずは書類審査のための申請を行います。令和6年度の申請期間は、7月1日から8月30日でした。
このとき、140文字以内でまとめた志望動機と、2000字以上4000字以内の課題論文の提出も必要です。
令和6年度の論文テーマは事業者部門、市民部門共通で、「持続可能な社会づくりのための活動計画」でした。
この申請書と課題論文に対して、書類審査が行われ、最後にオンライン面接審査も実施されます。
面接では、環境カウンセラーとして活動する上でのカウンセリング能力やコミュニケーション能力などがあるか、総合的に審査されます。
受験時のポイント
環境カウンセラーの審査は書類審査と面接審査に分かれています。
提出書類に不備があると不受理になります。また提出書類に虚偽があった場合には、登録が取り消されます。
募集要項にある提出書類チェックシートを活用して、記載漏れや虚偽記載がないかをよく確認しましょう。
課題論文はテーマだけではなく、論文のなかで必ず触れなければならないポイントも指定されています。
句読点は文字数にカウントされますが、氏名やタイトルはカウントされません。ほかにも細かい注意点が募集要項に記載されているため、よく確認してから取り組むとよいでしょう。
面接審査はオンラインで行われますが、Zoomの使用が予定されています。
必要な機器・システムや安定した通信環境をあらかじめ用意しておく必要があるでしょう。
大きな雑音があったり、面接中に他者が入ってきてしまったりしない環境を整えておくことも大切です。
まとめ
環境カウンセラーは環境省が行う人材登録制度で、市民やNGO団体、企業、学校などが行う環境保全活動に対して、助言(カウンセリング)を行う人のことです。
事業者部門と市民部門があり、それぞれ企業の環境マネジメント認証取得の手助けをしたり、環境教育の講師や環境イベントの企画をしたりしています。
環境カウンセラーになるためには、環境省が実施する環境カウンセラー募集に申請書類と課題論文を提出し、書類審査と面接審査を受けます。
募集要項に書かれた内容や留意点をよく確認して臨むことが大切です。