ブラック企業の定義
ブラック企業が社会問題化し、誰もがブラック企業という単語の意味を知る時代です。また、特に現役世代はブラック企業に就職、転職してしまう危険性と隣り合わせといっても大げさではなく、決してブラック企業の問題は他人事ではありません。
厚生労働省が公式にブラック企業を定義しているわけではありませんが、厚生労働省はHPで労働基準関連法令に違反した企業名と違反法条、事案概要を公表しています。
有名企業だからといってブラック企業ではないと言い切れません。
一般的に認知度の高いブラックとみなされる要因としては長時間労働、過重ノルマ、サービス残業、パワハラなどが挙げられるでしょう。
実際、厚生労働省の労働基準関連法令違反に係る公表事案では、労働時間や休憩などについて定めた労働基準法第32条に違反して従業員に時間外労働を行わせた企業、最低賃金法第4条に違反して従業員に定期賃金を支払わなかった企業などの記載があります。
また、一般的に取り沙汰されることは多くありませんが、厚生労働省の労働基準関連法令違反に係る公表事案では労働安全衛生法に違反した企業も目立ちます。
労働基準関連法令違反は建設土木業をはじめ工事を手掛けたり、大きな機械を操縦したりする様々な業種で見られます。就職や転職の際には、認知度の高いブラック要因だけを確認するだけでなく、業種毎のブラックになりえる要因にも目を向けた方が良いでしょう。
造園業におけるブラックとは
造園業にも残念ながらブラックとみなされる企業は存在します。
口約束の雇用
口約束の雇用はトラブルの原因になる可能性が高いです。口約束であっても雇用契約自体は成立しますが、約束通りに賃金を支払ってもらえなかったり、突然解雇されたりした場合に証拠が無いため労働者は声を上げにくくなる可能性は否めません。
雇用契約書や労働条件通知書が無い
口約束にしないために雇用契約書や労働条件通知書が必要になります。
雇用契約書は発行しなくても法的に罰則はありませんが、企業側が労働者に雇用条件を明示したこと、労働者が条件を承諾したことを書類に残すため、労働者は企業に作成してもらうのが望ましいでしょう。
労働条件通知書については労働基準法で規定があり、労働条件通知書が無い場合は企業に罰則が科されます。
労働条件通知書は企業側からの一方的な通知書類となるため、労働者の承諾意思を確認できる雇用契約書が合わせて交付されたり、労働条件通知書兼雇用契約書にまとめて交付されたりする場合も珍しくありません。
給与の手渡しで給与明細が無い
給与の手渡しは悪いことではありませんが、給与明細が無い場合は所得税法や健康保険法違反となるため企業は罰則対象となります。源泉徴収票も同様です。
給与明細には天引きされる所得税や住民税、社会保険料などの情報があり、給与明細が出せない企業は税金手続きを怠っていたり、健康保険や厚生年金に未加入だったりするかもしれません。
雇用保険に未加入
雇用保険に従業員を加入させていない企業もブラック企業といえるでしょう。雇用保険とは労働者が失業した時に給付金を支給したり、求職を援助したりする保険制度で、企業は従業員を一人でも雇えば雇用保険に加入しなければなりません。
雇用保険に加入すると被保険者証が交付されます。雇用保険の被保険者証をもらってない人は、雇用保険に未加入である可能性を疑うべきでしょう。
労働安全衛生法違反
造園業についてブラックとみなされる要因の一つに労働安全衛生法違反が挙げられます。造園業では危険を伴う業務もあり、命に関わることもあるかもしれません。実際に安全法に違反した造園企業がニュースで取り沙汰されることもあります。
転職活動中に企業の安全衛生法違反を確認することは難しいですが、入社後に労働安全衛生法の違反が見られた場合は労働基準監督署に通報したり、退職したりするなど対応を考えた方が良いでしょう。
造園業は体が資本ですから、誰も事故をおこしていないという言葉は信じずに、自分の身を守ることが先決です。
転職活動で避けるポイント
ブラックとみなされる企業は幾つか共通する特徴が挙げられ、転職活動ではブラックの特徴を持つ企業を避けるべきです。
履歴書不要
転職活動で避けるべき企業は、求人の記載事項からも判断できます。例えば、履歴書不要と謳っている場合です。短期労働やアルバイト採用ではないにも関わらず、履歴書を見ないのは不自然でしょう。
また、スキルが重視される中途採用募集で、職歴不問や未経験歓迎などの言葉を強調する企業も同様に注意すべきです。
慢性的に人手不足の会社は、社員が定着しない理由があります。人手不足が続く会社では、未経験者も多くの仕事を任されますが、経験がないのに重要な仕事をしても実際にスキルとして定着しているかというと疑問です。手に職をつける業界では、しっかり学べる環境で働くのが長い目で見ると良いでしょう。
労働条件が曖昧
求人に記載の給与や手当、雇用形態など労働条件について曖昧な記載になっている場合もブラックの疑念を抱かざるを得ません。実情やモデルケースを聞くなどの確認が必要です。
人材募集の頻度が多く、期間が長い
前述でもふれましたが、履歴書不要をはじめ採用活動が甘い企業の場合、人手が欲しい事情も垣間見えますが、人手不足の背景には色々あり、ブラック企業故の離職率の高さに起因しているかもしれません。人材募集を長期間にわたってしたり、何回もしたりしている企業は避けるのが無難です。
面接
求人の記載だけでなく、面接でもブラックの特徴があります。面接を業務に関係無い雑談で終え、すぐに採用通知を出す企業はブラックと判断して良いでしょう。
ブラック企業に転職しないためには、最低限でもブラック企業に見られる特徴を知っておくべきです。求人票の記載事項や面接を通してブラック企業を見極められる判断力を養いましょう。