樹木医資格を取るために知っておきたい難易度と勉強時間

樹木医とは

人間が体調を崩した際に病院へ行くように、動物は動物病院で獣医師が診療しますし、植物は樹木医が治療に当たります。

庭の花や樹木を枯れさせてしまった経験のある人は少なくないでしょう。人間による間違った手入れ、環境の問題、病気など植物の状態が悪くなる原因は色々挙げられますが、素人では特定が難しいです。

樹木医の仕事
樹木医は文字通り専門知識を持った樹木専門の医者で、街路樹や天然記念物をはじめとした樹木の調査、診断、治療が仕事です。

また、植樹など樹木の育成や管理に関わる場合も少なくありません。講演やワークショップを開催して一般人に樹木についての知識を普及させたり、後継者育成指導に当たったりする仕事も樹木医が請け負っています。

樹木医資格について
樹木医は資格を取得しないと名乗ることができません。樹木医の資格は一般財団法人日本緑化センターが主催する民間資格ですが、街路樹のある道路工事など公共事業で樹木医が入札条件になることもあり、大事な役割を担う存在です。

樹木医資格審査を受験するには7年以上の関連する実務経験が必要ですが、平成16年に創設された樹木医補の認定を受けると1年の実務経験で受験資格を得ることができます。

樹木医補になるためには、樹木医補養成機関に登録されている大学などの教育機関で講義を受け、単位を取得しなければなりません。

樹木医の資格を取得するには、まず研修受講者選抜試験に応募し、研修受講者に選ばれる必要があります。

研修受講者選抜試験は択一式試験と論述式試験から構成され、択一式試験では一般教養、高校卒業程度の生物、専門分野の知識が問われ、論述式試験では樹木医に求められる知識、技術、文章能力を審査するための問題が出ます。

研修受講者に選ばれると約2週間の研修に臨みますが、宿泊を伴うため、他の資格試験に比べて費用がかかるので受講前に準備しておきましょう。宿泊施設つきの研修センターで講義や実習が行われます。

基本的に研修中に学習した研修科目は翌日に筆記試験が行われる他、樹木の識別に関する適性試験、樹木医としての適性を見る面接試験などもあり、総合的な評価によって合否が決まります。

樹木医資格を取得するための勉強方法

樹木医の資格を取得する勉強には色々な手段があります。自分に合う方法を見つけて効率的に勉強しましょう。

参考書や過去問
一般社団法人日本樹木医会から出版されている樹木医研修受講者選抜試験問題集では過去問を解きながら試験の傾向を把握することができます。解説もあるので勉強に利用しやすいでしょう。

また、日本樹木医会のHPでは試験案内だけでなく、合格者の体験記や合格者が使用していた参考図書を紹介してくれています。中でも日本緑化センター発行の最新・樹木医の手引き改訂4版は樹木医研修のテキストとなっており、樹木医を目指す人なら読んでおきたい本だと言えるでしょう。

通信講座
樹木医資格取得に役立つ通信講座もあります。一人で勉強するのが難しい人は通信講座を利用すると良いかもしれません。

特に、自分で善し悪しの判断が難しい論述式試験の対策も、通信講座では考え方を教えてくれたり、添削をしてくれたりするので、より合格に近づけるでしょう。

動画視聴
Udemyなどオンライン動画学習サービスでの樹木医資格講座は見当たりません。また、YouTubeなどの無料動画共有サイトで樹木医が投稿している動画がありますが、樹木医自体がまだマイナーな資格であるため、資格取得に役立つ内容の動画を見つけるのは難しいでしょう。

ただ、通信講座を受講している場合、講座の一部に動画学習を取り入れている場合があります。

樹木医資格取得の難易度と勉強時間について

樹木医資格審査の難易度は、毎年合格率20パーセント前後です。合格率を見ると簡単な試験とは言えません。

樹木医資格は試験の応募要件を満たすまでのハードルも高いですし、第1関門の研修受講者選抜試験で研修受講者に選抜されるのも難関です。

研修受講者に選ばれるのは上位100人から110人ほどです。試験で獲得した点数が高くても上位110人に入らなければ研修に進めません。更に研修中に行われる筆記試験において不合格科目が3科目以上になると不合格になるなど合格条件は厳しく、最終的な合格者数が受験者数全体の20パーセントまで絞られます。

勉強時間の目安
合格するには相応の勉強時間が必要でしょう。ある合格者の例では、働きながら平日1時間、休日は半日を勉強時間に充てて3ヶ月間にわたって毎日勉強した結果、合格しています。同じように3ヶ月で合格した人の中には、昼休みや通勤時間までも勉強に充てています。

単純に平日1時間と土日に6時間の勉強を3ヶ月続ける計算をすると、トータルで少なくとも約200時間以上の勉強時間は確保するべきだと言えます。

人によって元々の知識量や理解力が異なるため、一概に合格できる勉強時間を断言することはできませんが、自分が確保できる勉強時間や元々持っている知識など考え、試験日から逆算して試験対策を始める時期を見極めるのが良いでしょう。

働きながら勉強するのは大変なことです。樹木医試験のために勤務する会社内の有志が集まって勉強会を開催する場合もあるようです。

また、日本樹木医会の全国にある支部の一部では過去に樹木医試験対策の勉強会を行っていたところもあるそうです。効率的に勉強したい人は近くの支部に問い合わせてみると良いかもしれません。