屋上緑化の効果は?
日本では、屋上緑化が増加傾向にあります。屋上緑化とは、言葉の通り、建物の屋上を利用し、植物を植えて緑地を増やすことです。
屋上緑化が普及する背景には、地球温暖化への配慮があります。都市部では、ヒートアイランド現象による健康被害や自然災害の増加が懸念されています。
また、近年、全国的に地球温暖化が原因といわれる異常気象に見舞われており、温暖化対策の必要性を感じている人は少なくないでしょう。屋上緑化は環境をはじめ、様々な面で効果を期待できます。
環境保全
屋上緑化は、ヒートアイランド現象の緩和や温暖化の抑制などが期待できます。植物は、二酸化炭素の削減、空気の浄化などに効果的です。
癒やし効果や教育面における効果
屋上緑化は、人の心にも良い影響を与えると言われています。植物は、景観を良くするだけでなく、疲労回復やストレス緩和など心身を癒やすため、緑化された屋上は人々の憩いの場になるでしょう。
また、あまり植物と触れ合う機会のない都会の子どもは、環境問題や植物の尊さを学ぶ場として屋上を利用できます。
建物保護や防災面でもメリット
屋上緑化は、酸性雨や紫外線などの劣化要因から建物を守るので、建物の耐久化につながります。他にも、屋上緑化によって、火災の際に防火や耐熱効果が期待できるので、防災面でも屋上緑化は役に立つといえるでしょう。
屋上緑化特有の必要知識は?
屋上緑化には、法律が絡む事項もありますし、設計や植物に関する知識も求められます。一般家庭であっても、素人がDIYで屋上緑化に手を出すと、失敗する可能性が高いです。
実際に、知識が不十分だったことに起因する屋上緑化の失敗例もあるので、屋上緑化の際には、屋上緑化や壁面緑化事業を手掛けている企業に依頼するのが良いでしょう。
積載荷重の条件
建物の積載荷重は、地震が起こっても建物が崩壊しないように、新耐震基準法によって制限されています。特に、既存の建物の屋上緑化は、法の規定に基づいて、慎重に緑化計画を立てなければなりません。建築物の状況によっても積載荷重の条件は変わるため、屋上緑化には専門的な知識が求められます。
排水について
屋上緑化の計画の際は、排水整備も考慮しなければなりません。植物に水は必要ですが、必要以上分は排水しなければ、植物に悪影響を及ぼしますし、雨水が建物に浸水しやすくなります。
排水には様々な方法があり、企業が独自に開発している工法も存在します。専門企業に依頼して、緑化する屋上の広さや場所などに合った適切な方法を提案してもらうと安心でしょう。
維持管理
屋上緑化は、施工後もメンテナンスが必要です。定期的に、植物の剪定や除草をしたり、排水溝の清掃をしたりしなければなりません。
また、屋上は強風に晒されることもあり、工事で設置した装置の破損などが懸念されるので、こまめな点検が求められます。
屋上緑化の維持管理に気を配ることで、屋上の美しさを保てますし、建物の破損防止にもつながります。屋上緑化を計画する際には、メンテナンス方法まで検討しておくべきでしょう。
建築緑化コーディネーターとは?
建築緑化コーディネーターとは、特定非営利活動法人屋上開発研究会が運営する民間資格です。
建築緑化コーディネーターは2019年に改称され、改称前は屋上緑化コーディネーターと呼ばれていました。
建築緑化コーディネーターの資格を取得することで、正しい知識を持ち、建物緑化に貢献できる人材であることを証明できます。
建築緑化コーディネーター資格が創設された背景
屋上緑化は、建築と造園という分野をまたいだ工事になるため、その分多くの知識が求められます。しかし、資格が創設される前は、知識不足による設計や施工によってトラブルが少なくありませんでした。
建築緑化コーディネーターの資格が創設された背景には、屋上緑化の普及のためにも、建築緑化を安心、安全に設計したり、施工したりできる人材育成の必要性があったからです。
建築緑化コーディネーターの試験
建築緑化コーディネーターを名乗るには、試験を受験し、合格しなければなりません。試験は年に1回です。建築緑化コーディネーター資格試験の受験に際し、年齢や性別、国籍は問われませんが、造園業などへの従事経験や専門教育機関で学習した年数など、規定された条件を満たす必要があります。
2021年度の試験日日程と受験料
■試験日 2021年10月23日(土)
■試験時間 90分
■申し込み受付期間 6月1日(火)~10月15日(金)
■合否発表 12月初め(郵送)
■受験料 1万1,000円(税込)
なお、今年度の試験日に関しては、まだ発表されていません。
試験内容
建築緑化コーディネーター資格の試験内容は、屋上緑化概論、屋上緑化の建築計画及び設計、植栽計画及び設計、施工、維持管理、壁面緑化など多岐にわたります。
屋上開発研究会が監修している「屋上緑化設計・施工ハンドブック」を購入することで、独学も可能です。
また、屋上開発研究会では、試験対策のための講習会も実施していました。講習会では、屋上緑化コーディネーター試験の過去問は扱いませんが、造園分野と建築分野の専門家が建物緑化に携わる上で必要となる知識について、ポイントを絞って解説してくれるので、試験合格に役立ったという人は多いでしょう。
ただ、講習会は2021年度で最後と発表されています。