仕事は見て学ぶ?その仕事、もしかしたら「特別教育」が必要かもしれません!

特別教育とは?

造園業をはじめ、職人の世界として知られる職業について、見習いは親方の仕事を見て学ぶものというイメージを抱いている人は少なくないでしょう。

確かに、造園業には、先輩や親方の仕事ぶりを見ながら学ぶこともありますが、資格を取得したり、特別教育や技能講習を受けたりしなければできない仕事も存在します。

特別教育
特別教育とは、特定の危険性を孕む業務に携わる際に必要とされる安全に作業をするための専門的教育です。特別教育は、任意ではなく、労働安全衛生法で定められているため、法で規定された特別教育を要する業務に携わる企業は、社員に特別教育を受講させなければなりません。

なお、特別教育だけではできず、技能講習や免許が必要になる業務もあるので、携わる業務に必要な条件については確認が必要です。

特別教育の実施方法
特別教育は、十分な知識と実務経験をもつ人がいて、必要な設備がそろっている場合は、企業内で実施することも可能ですが、各都道府県の登録講習機関など外部機関でも実施しています。

一般財団法人中小建設業特別教育協会のホームページでは、特別教育の講習会一覧が公開されています。

特別教育の内容や記録の保存義務
特別教育の内容は、厚生大臣が安全衛生特別教育規定などにおいて科目や受講時間を定めているため、規則に沿って教育を施さなければなりません。

特別教育を実施する企業には、特別教育の受講者や受講科目などの記録を残し、3年間保管することが義務付けられています。

対象になる業務はどれ?

造園業に従事する人は、特別教育が必要になる業務を把握し、必要な教育を受講することで業務の幅が広がるでしょう。

また、造園業に興味がある人も、特別教育を受講することで就職や転職の際に有利に働く可能性があります。

高所作業
造園業では、高所での作業も少なくありません。作業床の高さが10m未満の高所作業車の運転業務に従事する際は、特別教育の受講が必要です。

また、高所での作業には転落の危険性があります。2018年に関係法令や省令が改正され、2019年2月1日以降は、高さが2m以上あり、作業床を設けるのが困難で、フルハーネス型墜落制止用器具を用いて作業を行う人は、特別教育の受講対象者となっています。

中小建設業特別教育協会では、フルハーネス型墜落制止用器具特別教育の講習会が実施されています。今後も関係する政令や省令は改正されることがあるので、関係者は法改正にも注意しておきましょう。

車両を用いる業務
造園業では、造園工事を手掛ける企業も多く、工事に必要な車両を運転したり、操作したりすることもあります。機体質量が3t未満の小型車両系建設機械の中でも、整地や運搬、積み込み用、掘削用の機械を用いる業務に携わる人は、特別教育を受講しなければなりません。

その他、吊り上げ荷重1t未満の移動式クレーンの運転業務にも特別教育の受講が求められます。また、移動式クレーンで荷を吊る際の玉掛け作業のうち、吊り上げ荷重が1t未満の作業に携わる場合にも特別教育が必須です。

道具を用いる業務
造園業では様々な道具を用いますが、使い方を誤れば事故につながってしまう道具もあります。例えば、チェーンソーでの事故を耳にしたことがある人もいるでしょう。

業務でチェーンソーを使用する人には、特別教育が義務付けられています。個人でチェーンソーを使う場合、特別教育の受講は必要ありません。

また、刈払機取扱作業も刈刃に接触する事故や振動障害の危険性があるため、特別教育を受講しなければなりません。

全ての業務に講習が義務付けられてる?

特別教育を要する業務は、労働安全衛生規則第36条の特別教育を必要とする業務に規定されている49の業種です。

特別教育、技能講習、免許が必要な業務の一覧表は中央労働災害防止協会(中災防)のホームページなどでも閲覧できるので、自分の携わる業務に特別教育が義務付けられているかどうか確認できます。

玉掛け作業や小型車両系建設機械の運転、フルハーネス型安全帯(墜落制止用器具)を使用する業務など、造園業の仕事にも、特別教育が必要な業務が多く含まれています。

企業から労働者に特別教育を受講するよう促してくれる場合もよくあるので、会社から指示があれば、労働者は特別教育を受講するようにしましょう。

特別教育が必要な業務に未受講の状態で携わった場合
特別教育が必要な業務の中には、見ただけで学べそうなもの、教育を受けなくてもすぐに実践できるものもあります。

しかし、特別教育が労働安全衛生法で定められている以上、業務に携わる社員への教育を実施することは企業にとっての義務です。

企業が特別教育を実施していない社員を業務にあたらせた場合、事故が起こる可能性が高くなるだけでなく、罰則が適用される場合もあります。

罰則は、6ヶ月以下の懲役、または50万円以下の罰金になっていますが、企業の信用も失うことが考えられるため、損失は計り知れないでしょう。

企業は社員に抜かりなく特別教育を実施するよう管理する必要があります。