退職意思の伝え方と、引き止められたときの対応は?

退職意思を伝える時期はいつがいい?

退職を決断したとき、適切な退職意思の伝え方や伝えるタイミングを知っておくことも、円満退社のための秘訣です。

退職希望者は、退職意思を伝えるタイミングにおいて、注意すべき点があります。

就業規則の確認が必要
会社の就業規則に退職に関する事項がある場合、退職意思を伝えるタイミングは、就業規則に従うべきです。ただ、会社に退職に関する規定があっても、法的拘束力はありません。

実際には、特定の条件に該当する場合を除き、民法で定められている退職の2週間前に退職の意思を伝えても退職は可能です。しかし、引き継ぎのことを考慮し、就業規則に従うのが社会人としてのマナーといえるでしょう。

繁忙期は避ける
多くの企業において、時期は異なるものの、繁忙期があれば閑散期もあるでしょう。退職の意思を伝える時期として、繁忙期は避けるのが賢明です。

退職希望者は、繁忙期でも仕事を辞められないわけではありませんが、繁忙期に退職意思を表示することは、上司や同僚に迷惑をかけるため、円満退社が遠のくかもしれません。

退職意思の伝え方はどうする?

退職意思は、社長や部長、人事部などに伝えるのではなく、まずは直属の上司に伝えます。

日時調整
上司にメールで日時調整のための連絡を取るのは良いですが、メール内で退職の意思を伝えるのはマナーに反します。

最初のメールでアポイントを取る際、切り出しは、「お話ししたいことがあるので、お時間頂けませんか」などの内容に留めましょう。

場所
退職の意思を伝える場所は、退職希望者と上司が2人だけになれ、周囲に話し声が漏れない部屋が良いです。

退職意思の具体的な伝え方
環境が整ったら、退職希望者は、時間を調整してくれた上司に感謝の意を示した上で、退職意思を伝えます。退職意思は、具体的に「突然で申し訳ありませんが」と始め、「一身上の都合で退職させて頂きたく、本日はお時間を頂きました」と伝えましょう。

まだ退職を決心しきれていないような控え目な伝え方では、上司から引き止められ、退職できるまでに時間がかかってしまう可能性があるので、退職の意思はしっかり伝えなければなりません。

退職の理由
退職の意思を伝えた際、退職理由を聞かれる可能性は高いでしょう。退職希望者の退職理由は様々でしょうが、理由によっては、上司から退職を引き止められることが想定されます。

退職理由は、現職ではやりたいことの実現ができないなど、引き止めにくい理由を考えなければなりません。会社への不満は退職理由としては不適切です。

また、転職のため退職する場合、上司に転職先を聞かれたとしても、転職先を答える必要はありません。

退職したいと伝えたら引き止められた…どうする?

退職希望者が上司に退職の意思を申し出た際、引き止められることがあるかもしれません。

上司が退職希望者を引き止める理由は、人手が不足していたり、会社から自身の管理責任を問われたりするなど、様々なダメージを避けるためです。

上司や会社は、退職希望者を引き止めるために、より良い条件を提示することもあるでしょう。もし、退職希望者の気持ちが揺らぎ、引き止めに応じたとしても、提示された条件が実現されない可能性もあります。

また、引き止められた退職希望者が在職中の会社に残った場合、将来的にキャリアに影響が出たり、再び退職したくなっても言い出しにくくなったりするなどのデメリットがあることも覚えておきましょう。

退職を引き止められたが断る場合の伝え方
退職の意志が固い場合、上司に退職を引き止められたとしても、迷う必要はないはずです。退職希望者は、即答で引き止めに応じる意思はないことを伝えて問題ありません。

ただ、退職を引き止める上司に対し、退職希望者は断り方に気を遣うべきです。円満退職のためにも、できるだけ上司や会社に配慮した言葉を選びましょう。

引き止められて気持ちが揺らぐ場合、冷静に考えるためにも返答は日を改めるのが賢明です。

断り方の例文
引き止めには様々なケースがあり、それぞれの引き止めのケースに応じた断り方を知っておくと役に立つはずです。

例えば、現状よりも良い条件を提示された場合、「ご配慮頂き、ありがとうございます。しかし、私の退職の意思は変わりません。」とはっきり断りましょう。

新しい人を採用するまで退職を待ってほしいと提案されることもあるかもしれません。上司に退職時期の引き延ばしを提案されたら、「ご迷惑をおかけして申し訳ございませんが、引き継ぎ期間を設けて準備をしているので、○月○日に退職させて頂きます。」と伝えましょう。

どうしてもあなたがいなければならないと情に訴えかけて引き止めようとするケースでは、「嬉しいお言葉、ありがとうございます。しかし、私の中で既に退職の意思は決まっています。」と答えます。

就業規則に反すると退職を認めてもらえない場合、「就業規則を確認しておらず、ご迷惑をおかけして申し訳ございません。退職するまでに引き継ぎを終えられるように最大限努力いたしますので、○月○日の退職をご調整いただけませんでしょうか。」と返しましょう。

退職希望者は、上司に退職の意思を伝えてからも、退職するまでは仕事を続けなければなりません。上司や同僚と良い人間関係を維持したまま、気持ち良く退社できるように、引き止められた際も誠実に対応することが大切です。