造園業の仕事内容とは?

造園業とはどんな業種?

造園業とは、正確には造園工事業という業種になります。

建設業法に規定された、建築・土木など建設事業に関係した工事を行う29種ある建設業種のうちのひとつで、造園空間の設計や監督および施工を行うことができる業種です。

造園空間という言葉は、少し漠然としてわかりにくいかもしれませんね。

大まかなイメージですが、私有地では個人の庭や庭園、企業の敷地や屋上の緑地、公共の場所では公園をはじめ歩道の植え込みや緑地帯など、と捉えれば良いでしょう。

もっと大掛かりなものでは、ゴルフ場やテーマパーク、名木の保存や観光名所・歴史名所の景観を守るまちづくりを指す場合もあります。

これらの場所に植物・水・石などの自然素材を装飾に用いた空間デザインを設計して、土木的な基盤整備と工事を行える業者が造園業者というわけです。

建設業に分類される造園業ですが、特徴のひとつに29種類もある業種の中で唯一造園業だけが植物という生きたものを扱える、ということが挙げられます。

もう一つの特徴としては、造園業では成長する緑を扱うため、空間を作り上げた後も植栽管理を行って継続的に関わりを持つ部分です。

『公園を作って終わり』ではなく、その公園の植物は日々成長するため景観や安全のために剪定や植樹を行う必要があります。これは工事をした造園会社ではなく別の会社が請け負うこともありますが、どちらも造園業の会社が請け負う仕事です。

工事後も植物の世話を適切に行うことでより良い空間作りができ、人びとに心豊かな環境を提供できるという、また違った喜びがあると言えるでしょう。

設計・施工と維持管理の種類と違い。どんな仕事内容がある?

造園業の工事に携わる職種は多岐に亘ります。

初めて聞く職種もあるかもしれませんが、どういった職種が関わっているかを知ることで、より造園業で自分は何をしたいのかが明確になるでしょう。

それぞれの職種の業務をイメージしやすいように、流れの中でどういう職種の人がどういった仕事をこなしていくのか紹介していきます。

・施工管理
工事のプランを作成し、各職種の企業に手配をする役目です。ここで予算やクオリティ、安全面などの全体像を管理、計画します。

ほとんどの造園工事には決まった工期があるため、任された工事をスムーズに進めなくてはなりません。

施工管理は自社の技術職や下請け業者の人などに指示を出し取りまとめ、進捗を細かくチェックする必要があります。

いわば造園工事のリーダーポジションです。

・設計/プランナー・デザイナー
景観や暮らしやすさの観点から空間全体をデザインしていく工程を請け負う役目です。

植物以外のものも含めてどんなものをどのように配置するかを決めます。

・設計/CADオペレーター
コンピューターを利用して、プランナーが設計した図案を完成させる役目です。

造園業では造園専用のCADを使用し、立体的な図案を作成します。

仕事は主にデスクワークですが、クライアントとの打ち合わせや提案など、営業関連の仕事と兼任することもあるようです。

・技能職/技術者・職人
実際に施工を行ってプランナーやCADオペレーターが作成した図案を形にしていく役目です。

工事段階のものだけではなく、植物の維持管理をする業務もここに含まれます。

造園工事の場合は、リーダーである施工管理の指示のもと実際に造園工事を進めていきます。

・維持管理
生き物である植物をより良い状態に保つため、または美しい景観を保つために剪定作業や伐採・植栽などを行ったり、流水経路の清掃やろ過機器の点検などメンテナンスを行ったり、破損個所の修繕を行ったりする仕事です。

屋内での仕事と屋外での仕事の違いはありますが、いずれも技術と経験を重ねていける職人的な側面を持つ仕事と言えるでしょう。

顧客が違うと造園業の仕事内容も違うの?

ここまでは、造園業とは何をするのか、造園工事に関わる職種はどんなものがあるのかを紹介しました。

ここからは造園業の『顧客』について説明します。

例えば、個人宅の庭工事や維持管理であれば一般消費者からの受注、企業の敷地の工事や維持管理は民間企業からの受注、公共の公園や緑地帯に関わる仕事は国や市町村からの受注というように、造園業の顧客は『一般消費者』『民間企業』『国・市町村』の3種類に分けられます。

一口に造園業と言っても、主に個人消費者の造園を行うのか企業や自治体を顧客とするのかという違いによって、工事の規模も異なり仕事の内容にも違いが出てきます。

国や市町村から請け負って大きな公園を作るのであればもちろん大規模な工事になるでしょうし、個人からの請負であればそこまで大きな工事を必要とする機会は多くないでしょう。

民間企業からの受注では、屋上緑化や壁面緑化など特殊な工事も少なくありません。

一口に造園業と言っても、主に個人消費者の造園を行うのか企業や自治体を顧客とするのかという違いによって、工事の規模も異なり仕事の内容にも違いが出てくると言えるでしょう。

造園業は将来的にも需要がある仕事!
ここまでで、造園業の仕事内容や顧客についてなどがおわかりいただけましたでしょうか。

造園業は建設業の中で唯一植物という生き物を扱うことができ、人びとの暮らしと心を豊かにしていける業種に携われるのは、働くうえで魅力的なポイントとも言えますね。

そして造園業の将来ですが、昔のように庭を持たない人が増えたため、個人消費者からの仕事は減ってきています。

しかし、近年ヒートアイランド現象への対策として緑化計画が進んでいるため、自治体や民間企業からの仕事は増えており、今後も需要があるとみて良いでしょう。

環境改善には植物が必要であり、緑化工事には造園業は必要不可欠。

このように、造園業は環境保全の役割も果たし、人々の生活にとって必要な仕事なのです。