植樹保険とは?
世の中には様々な種類の保険が存在しますが、造園業に関連する保険に植樹保険があります。
植樹保険は、公共機関の発注する公共植栽工事において、諸条件によって植物が枯れてしまった場合、損害保険金や撤去費用保険金が支払われる保険です。
諸条件とは、水害や干害、病虫害や鳥獣害などの偶然の事由によって生じた植栽した時の状態での枯死や形成不良、火災、落雷、破裂や爆発などです。
偶然の事由によって生じた枯死や形成不良は、損害額が工事金額の60%に達する大量枯損となった場合のみが保険金支払い対象で、損害額から受注した植栽工事金額の15%の自己負担分を除いた金額が損害保険金となります。
火災、落雷、破裂や爆発による損害は、自己負担額はありません。
植樹保険があることで、発注者が持つ植替請求権が保全され、受注者にとっては植替による莫大な費用負担が軽減されるメリットがあります。
枯れ保証とは?
植栽工事の後、工事の依頼主が水やりや追肥、消毒など通常の手入れを行っているにも関わらず、新植樹木が枯れてしまう場合もあるでしょう。
所有者が樹木をきちんと手入れしていても、樹木の3分の2以上が枯れてしまったり、生育不良だったりする場合、枯れ保証がついていれば、植え込んでから通常1年以内であれば、施工主が無償で植え替えをしてくれます。
公共植栽工事だけでなく、個人が依頼する工事であっても枯れ保証はつけられますが、施工主によって保証期間や基準は異なる場合があるので、植栽工事の依頼主は施工主に枯れ保証の詳細を確認しましょう。
枯れ保証や植樹保険は義務なの?
公共植栽工事では、請負契約において、工事の受注者である造園企業に対し、枯損樹木の植替責任が課せられていました。
しかし、植栽した樹木に枯損が多く生じた場合、受注者である造園企業の負担が大きくなることから、植替責任の履行補完対策として植樹保険が創設されています。
植樹保険は義務ではありませんが、国は、工事発注者となる地方自治体に対し、保険の積極的な活用を要請したり、50万円未満の小規模工事を除き、受注者となる造園企業に保険加入を指導するよう促したりしています。
植樹保険が創設されて以降、保険は幾度か改定されていますが、平成24年7月の改定は保険加入件数の減少などが背景にあり、国は改めて地方公共団体に保険の積極的な活用を呼びかけていました。
枯れ保証、植樹保険の対象工事は?
枯れ保証や植樹保険は、対象となる工事と対象にならない工事があり、枯損が発生してもすべてのケースで保証されるわけではありません。
保険金が支払われるケース、保険金支払いの対象外となるケースを知っておきましょう。
植樹保険の対象工事
植樹保険の対象工事は、公共団体が発注するもので、仕様書などの設計図書で枯損樹木の植替が義務付けられている植栽工事です。
しかし、植栽工事金額が50万円以下となる工事、防風林や防雪林など防災を目的とする工事はすべて植樹保険の対象外です。例外として、防火林は植樹保険の対象工事となります。
また、試験植栽工事、移植工事、根回し工事、種子の使用による緑化工事も植樹保険の対象外の工事ですが、これらの工事を除く植栽工事部分があり、費用が50万円以上となる場合は保険への加入が可能です。
枯れ保証の対象工事
枯れ保証は、所有者が樹木を管理していることが前提で、一定の期間内に、一定の割合以上が枯れてしまった場合に保証の対象となります。
一方、明らかに所有者の管理不足が要因のもの、踏んだり折ったりした人為的な要因で枯損したと判断されるもの、自然災害の影響によるものなどは、枯れ保証の対象外となるので注意しましょう。
植樹保険の加入はどうする?手続き方法!
植栽工事の発注者による指示があれば、受注する造園企業は植樹保険に加入します。
受注者である造園企業は、都市緑化機構より植栽保険加入依頼書を取り寄せ、依頼書の必要事項を記入します。造園企業は、依頼書の記入を終え、発注担当者より確認印をもらった後、最寄りの指定銀行で振り込みを済ませ、受領証のコピーと依頼書を指定封筒に入れて投函することで手続きは完了です。
造園企業のもとには、植樹保険付保証明証の原本と写しが届くので、造園企業は発注者に植樹保険付保証明証を提出し、写しは控えとして会社で保管します。
まとめ
植栽工事を依頼する一般人の間で、枯れ保証や植樹保険の知名度は高くないかもしれませんが、造園業や公共機関にとってはよく知られており、必要なものです。
枯れ保証は、一般の人が庭に植える樹木などにもついていることはありますが、植樹保険は公共植栽工事が対象です。
植栽した樹木が適切な管理をしていたにもかかわらず、何かしらの原因によって枯れてしまうことはあります。
枯損が多発したとしても、植樹保険があることで、発注者の公共機関は植替請求権が担保され、植替工事が円滑に行われることを期待でき、受注者も費用負担を軽減できるため、両者にとって安心できるでしょう。