建設業で雨の日などの悪天候で中止になる工事にはどんなものがある?

工事ができない悪天候ってどんな天気?

建設現場では、悪天候の場合に作業が中止されます。悪天候といっても、人によって受け取り方が異なるため、労働安全衛生法では悪天候の基準に関する条文が定められています。

現場を統括する現場監督は、労働安全衛生法にある悪天候の基準について知り、必要であれば工事を中止する判断をしなければなりません。労働安全衛生法で挙げられる悪天候は強風、大雨、大雪、中震以上の地震、暴風で、それぞれ基準が設けられています。

強風と暴風
強風は、10分間の平均風速が毎秒10m以上の風を指します。風速が毎秒10m以上は、人が歩きづらくなる程度です。暴風は瞬間風速が毎秒30mを超える風で、トラックが横転するくらい強い風が吹きつけるため、屋外での活動は困難です。

大雨
労働安全衛生法が定める大雨の基準は、1回の降雨量が50mm以上です。50mm以上の降雨量になると、歩行や自転車での走行が難しい状況になります。土地の状態によっては、河川の氾濫や土砂崩れなどの災害も起こり得るでしょう。

大雪
1回の降雪量が25cm以上になると、大雪に該当します。豪雪地帯でも、降雪量が25cm以上になれば生活に支障がでますが、雪に不慣れな地域では少しの積雪でも交通が麻痺することがあります。

中震以上の地震
中震以上の地震とは、具体的に震度4以上の地震を指します。震度4以上の地震は、物が落下する程度の揺れです。地震は予想できないので、普段から安全対策をしておくべきでしょう。

どうして悪天候では工事ができないの?

悪天候で工事が中止される理由は、労働者の安全を守るためです。

労働安全衛生法に定められた悪天候の基準は、日常生活に支障がでることが想定されるレベルであり、そんな悪天候の中で工事を進行すれば、労働者の命に関わる大事故が発生する可能性が高まります。

悪天候で工事が中止されることで工期に遅れが生じますが、施工管理職は、雨の日を利用し、事務室で施工計画や予算などの修正をはじめとした事務作業をしています。

また、悪天候の日に工事をしない理由は、資材を悪天候から守る目的もあります。悪天候の中でも、頻度が多く、一番作業に支障がでるのは雨ですが、資材によっては、雨に晒されることによって品質に影響がでることもあるので注意が必要です。

悪天候で中止する工事の種類は

悪天候で中止になる工事の種類は幾つかあり、特に雨による影響を受ける作業が多いです。また、クレーンやデリックなどの作業車も、天候によっては使用できなくなるため、作業に影響がでることを知っておきましょう。

塗装工事
雨天時、塗装工事は高確率で中止になります。雨の中、塗装工事をしたとしても、乾く前に塗料が流れてしまいます。また、塗料に雨が混ざることで品質が落ち、ひび割れや剥離など塗装工事後の不具合につながるので、雨の日に塗装工事はできません。

足場解体
作業用に組まれた足場の解体作業は、雨天時に必ず作業が中止されるわけではありませんが、元請企業の指示によって作業が中止されることもあります。また、高所での足場解体作業をする場合、風が作業中止の要因になる場合が多いです。

掘削工事
掘削工事は穴を掘る作業で、基礎工事の一つです。雨が降ると地盤がゆるくなり、土砂災害が起こりやすくなるので、雨天日に掘削作業はできません。また、掘削した土を運ぶダンプが通った後の道が汚れてしまうことも雨の日に掘削工事をしない理由の一つです。

型枠加工
鉄筋コンクリートの建物を手掛ける現場では、壁や柱の部分にコンクリートを流し込むための木製の枠を加工しなければなりません。

加工場で加工した型枠を現場に持ち込む場合、雨の日でも作業は可能です。しかし、屋根のない加工場などでは、雨天時、電気工具の使用による感電の恐れがあるため、作業が中止されることもあります。

タイル張り
タイル張りは、屋内や屋外の外壁、外構にタイルを張る作業です。悪天候でも、屋内なら作業できますが、屋外では作業ができません。屋外であっても屋根がある場合は、雨天時でも作業する場合があります。

まとめ

大雨や台風など、悪天候が予想できる場合、現場監督は労働者の安全確保や資材を守るために賢明な判断を下すことが求められます。

また、天気の急変や地震など予測不可能な自然災害に備えて、現場での非常時の対応についても考えておく必要があるでしょう。

天候が回復し、作業を開始する際には、現場の安全を確保するためにも、作業員は作業前に現場の状況確認から始めなければなりません。

作業員は、足場や作業構台に異常がないか点検したり、作業車に故障がないかを入念に確認したりして、必要であれば補修します。

建設現場では、天候によって作業の進行が左右され、労働者の作業の危険性も変わってきます。現場監督は、悪天候で工期が遅れることに焦って作業を急ぐのではなく、作業員の安全を第一に考えることが大切です。