造園工事業とは?
建設業法の別表で、建設工事は2種の一式工事と27の専門工事の計29種が定められていますが、造園工事業はこの中の1つです。
また建設業許可事務ガイドラインには、造園工事業の内容として「整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造し、道路、建築物の屋上等を緑化し、または植生を復元する工事」と明記されています。
出典: 建設業許可事務ガイドライン
https://www.mlit.go.jp/
一般的に造園業の仕事としてイメージされやすい、せん定や草刈りなどの手入れや、枝打ち、伐採などは、この定義における造園工事には該当しません。
造園工事業として建設業許可を受ける際に提出する「工事経歴書」には、建設業法と建設業許可事務ガイドラインに基づき、該当する工事を正しく記載する必要があります。
申請の際は、各工事の内容が他の工事内容と類似、または重複する場合があるため、建設業許可事務ガイドラインに記載された「区分」を、よく確認すると良いでしょう。
建設業許可とは?
建設業法には、「建設工事の完成を請け負うことを営業するには、その工事が公共工事であるか民間工事であるかを問わず、建設業の許可を受けなければならない」と定められています。
出典:建設業法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324AC0000000100
前述したように、造園工事業もこの建設業法に定められた建設工事の一種のため、造園業を営むためには、建設業許可を受けなければなりません。
ただし、請負代金の額が500万円未満の軽微な工事のみを請け負う場合、この許可は不要です。
建設業許可は許可権者によって、国土交通大臣許可と都道府県知事許可に分けられます。
2つ以上の都道府県にまたがって営業所を設ける場合は国土交通大臣許可、1つの都道府県でのみ営業所を設ける場合は都道府県知事許可を受けましょう。
また下請け契約の規模により、一般建設業と特定建設業に分けられています。
発注者から直接請け負った1件の工事代金について、4500万円以上の下請け契約を締結する場合は、特定建設業許可が必要です。
さらに造園工事業は、他の業種に比べて社会的な責任の重さや、総合的な施工技術を必要とすることなどから、「指定建設業」に認定されています。
特定建設業許可を受ける場合の専任技術者は、1級の国家資格者や技術士の有資格者などに限られる等、条件が厳しく設定されています。
一般、特定に関わらず、建設業許可の有効期間は5年間です。5年ごとに更新を受けなければ許可は失効するので、注意が必要です。
造園工事業の建設業許可の条件
造園工事業で建設業許可を取得するには、経営の安定性、技術力、適格性の3つの条件が問われます。また、該当していると許可を受けられない「欠格要件」もあります。
経営の安定性
建設業の経営は、他業種と比較して異なる点が多く、適切な建設業の経営のためには、建設業の経営業務について一定期間の経験を有した者が必要だと考えられています。
そのため、常勤役員や個人事業主が、建設業を営む会社において、経営業務の管理責任者としての5年以上の経験があるか、6年以上経営業務を補佐する業務に従事していた経験があるかなどが問われます。
さらに、請負契約を履行できるだけの財産的基礎があるか、もしくは金銭的信用を有していることも条件です。
造園工事の請負契約を締結し、実際に着工・完工するには、資材の購入や労働者の確保、建設機械の購入など、一定の準備資金が必要です。営業活動を行う場合でも、ある程度の資金は必要でしょう。
またこれらに加えて、適正な社会保険に加入していることも条件です。
技術力
造園工事に関する適正な見積もりを作成したり、請負契約を締結・履行したりするためには、造園工事についての専門知識が欠かせません。
これらの業務は営業所ごとに行われるため、その営業所ごとに、造園工事に関する一定の資格または経験を有する専任技術者を配置する必要があります。
この専任技術者は、一般建設業と特定建設業、どちらで許可を受けるかによって、要件が異なります。
一般建設業では、1級もしくは2級の造園施工管理技士や建設・総合技術監理の技術士、1級の造園技能検定などの有資格者であるか、もしくは規定の実務経験があるかどうかなどが問われます。
特定建設業では、1級造園施工管理技士もしくは、建設・総合技術監理の技術士など、国家資格保有者であることが条件です。
適格性
請負契約の締結や履行などに際し、何らかの不正行為や不誠実な対応をするおそれがある場合は、造園業を営むことができません。
これは法人としてだけではなく、営業取引において重要な地位にある役員も同様です。
具体的には、宅地建物取引業法や建築士法などで不正行為や不誠実な行為をして、免許の取り消し処分を受けていたり、その処分の日から5年を経過していなかったりする場合などが該当します。
欠格要件
許可申請書や添付書類に重要な事実に関する記載が抜けていたり、虚偽の記載があったりすると、許可を受けられません。
また、許可申請者や役員などが、破産者で復権を得ない場合や、一般建設業の許可または特定建設業の許可を取り消され、その取り消しの日から5年を経過していない場合なども、欠格要件に該当します。
禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行終了後から5年を経過しない場合も、許可は受けられないので注意が必要です。
まとめ
建設業許可申請などの際に必要な工事経歴書に正確に記載できるように、造園工事業の内容は、建設業法において明確に定められています。
一般的にイメージされる造園工事とは内容が異なる場合もあるので、注意が必要です。
造園工事業の建設業許可を取得するためには、経営業務の管理責任者としての実務経験や専任技術者の配置、誠実性などさまざまな条件が必要ですが、許可を取得すれば大規模な工事を請け負えるなど、メリットもたくさんあります。
造園工事業の内容を正しく把握し、建設業許可取得を目指していきましょう。