造園業界に転職してキャリアアップをする方法
造園業界に転職してキャリアアップをするには、経験を積んで知識や技術を身につけることと、資格を取ることが大切です。
造園業の仕事は、専門的な知識や技術を必要とするため、専門学校や大学などで学んでから、造園業の会社に就職するのが一般的ですが、異業種から転職する人も多く、未経験者や中途採用を積極的に受け入れている会社も少なくありません。
未経験で転職をして造園業の仕事に就いた場合は特に、しっかりとした実力を身につけることが大切です。そのためにも、造園業に関わるさまざまな資格を取得するのが良いでしょう。
業務の中で身につけた知識や技術を確固たるものにするためにも、資格取得にもチャレンジしていきましょう。
造園業界でキャリアアップするために必要な資格
国土交通省では2019年から「建設キャリアアップシステム(CCUS)」への登録を推奨しています。
CCUSは、造園業を含めた建設技能者の資格や、現場での就業履歴などを登録・蓄積することで、能力評価やキャリアアップにつなげる仕組みです。
登録されたキャリアデータは、業界全体で通用するものなので、転職するときにも適切な評価を受けられます。
CCUSで造園技能者の能力評価基準に認定されている、車両系建設機械運転技能講習や、造園施工管理技士や造園技能士の資格は、造園業界でキャリアアップするために必須の資格と言えるでしょう。
車両系建設機械運転技能講習
造園工事でもよく使われる、パワーショベルなどの建設機械は、普通免許や大型特殊免許などだけでは、運転できません。指定の教習所で「車両系建設機械運転技能講習」を受けなければならないのです。
これは労働安全衛生法に定められているもので、車両系建設機械は、使用目的に応じて6種類に分類されています。
造園工事で役立つのは、ブルドーザーやパワーショベル、バゲット掘削機が含まれている「整地・運搬・積み込み用機械」です。
講習を受けるのに必要な条件や資格はありませんが、大型特殊免許を所有していたり、ほかの運転技能講習を修了したりしていると、講習時間が優遇されます。
また、機体質量が3t未満の機械の操作であれば、小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育でも可能です。
高所作業車運転技能講習
10m以上の作業床高さで、高所作業車の運転をする場合は、労働安全衛生法に基づき、高所作業車運転技能講習を修了しなければなりません。
講習では、高所作業に関する装置の構造や取り扱いの方法、運転に必要な一般的事項などについて学びます。
大木の枝下ろしや街路樹のせん定など、造園業の仕事で高所作業車が活躍する場面はたくさんあるため、持っていて損はない資格と言えるでしょう。
移動式クレーン運転技能講習
移動式クレーンとは、トラックにクレーンが装備されているなど、任意の場所に移動させ、荷の吊り上げと水平に運搬することを目的とした機械装置のことで、いわゆるユニック車やクレーン機能つきドラグショベルなどを指します。
人力では持ち上げられない、樹木や庭石を吊り上げ、移動させるなど、造園業では必須のアイテムと言えるでしょう。
吊り上げ重荷5t未満だと小型移動式クレーン運転技能講習、5t以上だと移動式クレーン運転技能講習が対象です。
ただし、移動式クレーン運転技能講習修了後にできるのは、移動式クレーンの操縦のみで、公道を走るためには、積載量、車両総重量に応じて大型もしくは中型免許が、荷をフックに掛けたり外したりするためには、次に紹介する玉掛け技能講習の修了などが必要です。
玉掛け技能講習
玉掛けとは、クレーンなどで荷を吊るときに、吊り上げ用具の準備をしたり、フックに用具を掛けたり取り外したりする一連の作業を指します。
玉掛け技能講習を修了していなければ、クレーンの能力が1t以上の場合、玉掛け作業はできません。
荷の落下による重大事故を発生させないためにも、必ず受講しておきたい講習です。
造園施工管理技士
造園施工管理技士は、建設業法に基づき、国土交通大臣指定機関が実施・認定する国家資格です。
1級と2級があり、試験はそれぞれ、第1次検定と第2次検定の2段階に分かれています。
2級の第1次検定は、受検年度中に17歳以上に達すれば、実務経験や学歴、所有資格に関係なく受検できます。1級の1次検定も、令和6年度の検定からは受検年度中に19歳以上に達すれば受検可能です。
造園施工管理技士は、建設業許可の許可基準の1つである、専任技術者として認められています。造園業でキャリアアップするためには、欠かせない資格の1つと言えるでしょう。
造園技能士
厚生労働省が職業能力開発促進法に基づいて実施する「造園技能検定」によって認定されるのが、造園技能士です。働く人々の技能を1級から3級までの3段階の基準により検定し、それを国が証明する国家検定制度です。
試験は学科試験と実技試験に分けられていて、実技試験では実際に課題を作成する試験や、樹木名を判定する試験があります。
同じ国家資格の施工管理技士が「管理」に重点を置いているのに対し、造園技能士は造園業としての実務に特化しているのが特徴です。
官庁営繕工事では、技能士の現場常駐が義務づけられていますが、1級造園技能士は植栽工事における常駐制度の対象です。
また、1級の造園技能士や、2級造園技能士で合格後3年以上の実務経験があれば、一般建設業許可基準の1つである、専任技術者として認められるため、大規模な工事を請けやすくなります。
技能士の資格があれば、専門知識と技術の証明にもなるので、キャリアアップのためには取得しておきたい資格です。
まとめ
造園業界でキャリアアップするためには、専門的な知識と技術を身につけるためにも、資格を取ることが有効です。
資格を取得することは、仕事の幅が広がるだけではなく、自身の持つ知識や技術を再確認することも可能です。
建設キャリアアップシステムなどを参考にして、造園業で役立つ資格を取得して、キャリアアップを目指していきましょう。