造園の現場で必ず使う道具10選!使い方や特徴などを解説

造園の現場で必ず使う道具10選

造園業で使われる道具にはさまざまな種類がありますが、たとえば「剪定」一つとっても、樹木の大きさや枝の太さ、仕上げたい形によって道具を使い分けています。

また同じ道具でも、大きさや形状など、自分に合った使いやすいものを選ぶ必要があります。

ここでは、造園の仕事で使われる基本的な道具の種類や使い方を紹介します。

木バサミ
剪定作業で頻繁に使われる道具で、「植木バサミ」とも呼ばれています。木バサミは、直径1cmくらいまでの太さの枝を切ることが可能です。

指を入れる部分は「わらび手」と呼ばれ、楕円形の一部を潰したような独特の形をしています。

刃先が細長いので、細い枝が混みあっていてもほかの枝を傷つけることなく作業できます。またこの刃先を自由に動かせるので、長時間の作業でも手が疲れにくいのが特徴です。

剪定バサミ
もともとはヨーロッパで果樹剪定に使われていたハサミです。切れ味がよく、太い枝を簡単に切れるため、庭木の剪定用としても普及しました。

剪定バサミは、2つの柄の間に仕込まれたバネの力を利用して切るハサミです。切れ味が良く、スピーディーに剪定できますが、刃先が太いので、針葉樹の手入れのような細かい作業には向きません。

枝の硬さにもよりますが、直径2cmほどの枝まで剪定可能で、切り方によってはもっと太い枝も切ることができます。

刈り込みバサミ
生け垣の上部や側面を面状に整えたり、ヒバやツゲなどを球状に仕上げたりするときなどに使う大型のハサミで、「両手バサミ」とも呼ばれています。

木バサミや剪定バサミとは違い、細かい枝葉を切るために作られたハサミなので、太い枝を切るのには適していません。

使用するときには、両手を動かさずに片方の手を固定して、もう一方の手だけを動かすと美しく刈り込むことができます。

剪定ノコギリ
剪定バサミでは切れない、太い枝を切るときに使います。

ノコギリには両刃と片刃のものがありますが、造園業では片刃のものを選ぶのが一般的です。これは作業時にほかの枝を傷つけないためです。

繊維が詰まった竹を切るときに使う専用のノコギリや、持ち運びに便利な折りたたみ式のものなどの種類があり、用途に応じて使い分けられています。

高枝剪定バサミ
脚立やはしごを使わずに、高いところの枝を剪定するときに使います。長く伸びた柄の先にハサミがついていて、手元にある紐を引いてハサミを動かすものと、グリップを握って操作するもの、モーターの力で切断する電動タイプなどがあります。

一般的には直径2cmくらいまでの枝を落とすのに使いますが、切りたい場所を正確にとらえるのが難しいため、細かな作業には向いていません。

伸縮できるものやアタッチメントを交換してノコギリとしても使用できるもの、切った枝をそのままつかんでおけるものなどがあります。

脚立
高いところで剪定するときや、背の高い生け垣の手入れをするときなどに使います。

造園業では一般的に、片側にはしごがついた三脚タイプのものが使われています。

これは、三脚は両側にはしごがついた四脚よりも上部の幅が狭く、込み入った枝の中でも設置しやすいからです。またデコボコとした地面では、三脚の方が安定して設置できることも選ばれている要因の1つでしょう。

脚立でも届かないときは、はしごを使用します。現在では、アルミ製の2段に伸縮するものがよく使われています。

スコップ
シャベルやショベルとも呼ばれているもので、地面を掘ったり、土砂をすくったりする道具です。造園業で使われるスコップは、先がとがっている「剣スコップ」や、先端が平らな「角スコップ」などがあります。

剣スコップは鋭い先端で固い地面を突き刺したり、根を切断したりしながら掘ることができるので、木を植えるために穴を掘るときや、移植のための掘り上げ作業のときなどに使います。

角スコップは面の部分が四角く広い形状をしているが特徴です。土や砂利をすくい、運搬するのに適しているので、舗装工事で砂利を敷き均すといった作業で用いられます。

また「練りスコップ」と呼ばれる小型のスコップは、コンクリートやモルタルを練るときに使われる、角スコップの一種です。

このほかにも、粘土質の土がへばりつきにくい穴が開いたスコップや、深く小さい穴を掘るときに便利な「エンピ」という細長いスコップもあります。

ブロックゴテ・レンガゴテ
ブロックやレンガを積むときに、モルタルを練ったりすくったりするのに使われるコテです。

ブロックゴテは細長い三角形をしていて、ブロックの穴にモルタルを流し込んだり、ブロックの上を均したりするのに適しています。

レンガゴテは先がとがった丸い桃のような形をしていて、モルタルをすくう、かき混ぜる、平らにする、などに向いています。

レンガゴテは面が広いので、コテ板にモルタルを移すといった簡易的な運搬作業にも使われています。

目地ゴテ
目地とは、レンガやブロック、石などを積んだり張ったりしたときにできる細いすき間や継ぎ目のことです。

目地ゴテはこの目地にモルタルを詰めたり、モルタルを押さえて仕上げたりするときに使う、細い棒状のコテです。はみ出したモルタルを除去したり、表面に付着してしまったモルタルをかき落としたりするときにも使います。

たたきゴテ
芝を貼るときに地面を押さえたり、土間をたたいて締め固めたりするときに使うコテです。とくに土間をたたくときには強い力で行うため、左官用のコテに比べて重く、頑丈に作られています。

地面を均すのに使うことから「地ゴテ」、造園業でよく使われるものなので「造園ゴテ」とも呼ばれています。

造園技能士の実技試験では、このたたきゴテを使って地面を均すことがあります。造園業においてまさに必須の道具と言えるでしょう。

まとめ

江戸時代に刊行された「築山庭造伝・後編」には、木バサミや剪定バサミ、コテなどの道具類が、現在と変わらない姿で描かれています。

造園業で使われている道具には、長年の知恵と技術が詰まっているのです。自分に合った道具を選び、用途や施工状況に応じて上手く使い分けていきましょう。