樹木医の資格はキャリアアップにつながる?年収や受験資格を解説

樹木医とはどんな職業?

造園業でのキャリアアップで資格取得を考えいてる場合、樹木医はおすすめの資格です。

樹木医とは、弱った樹木を診断して治療したり、保護、育成管理をしたりする樹木の”スペシャリスト”。

造園業でも役立つ資格なので、キャリアアップのための資格取得にうってつけだといえるでしょう。

今回は、そんな樹木医の詳しい仕事内容や年収、試験内容などついてご紹介します。

仕事内容
樹木医の仕事は大きく分けて3つあります。

1つ目は、樹木の保護や育成、管理を行うこと。

状態が悪い樹木を調べ診断したり治療したりします。治療後も定期的に診断し、育成や管理方法のアドバイスをすることもあります。

2つ目は後継樹の育成です。

後継樹の育成とは、残したい木から採取した種やさし木、つぎ木を使って、後継となる樹木を増やすこと。

天然記念物に指定されている樹木や思い入れの強い樹木の子孫を残せるため、とても大切な活動です。

3つ目は樹木の育成保護に関する知識を広める普及活動です。

病虫害に関する研修や樹木観察会を開催したり、小中学生向けの環境教育プログラムを実施したりしています。

樹木医の仕事は、診断、治療、保護、育成管理、普及活動を通じて、樹木を主体とした「緑を守る」仕事だと言えるでしょう。

平均年収
樹木医は造園業・林業の会社や大学、農林関係の研究所に所属していることが多く、資格を活かしながら働いている方が多い資格です。そのため勤務先や働き方で平均年収は異なります。

樹木医単体での年収は明らかにされていませんが、厚生労働省が算出した造園業の平均年収は360.7万円でした。

また樹木医は造園業だけではなく、林業でも活躍しており、各省庁、地方自治体、木材会社などで活躍する林業技術者の平均年収は557.5万円でした。

職業情報提供サイトJobtag 造園工
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/222
職業情報提供サイトJobtag 林業技術者
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/229
職業情報提供サイトJobtag 林業作業者
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/230

樹木医になるには?

樹木医になるためには、一般財団法人日本緑化センターが実施する選抜試験、研修を受講し資格審査に合格しなければなりません。

試験の内容や受験資格は次の通りです。

受験内容
受験内容はいくつかの審査に別れています。
1次審査では、筆記試験と業務実績審査が行われ、90から100名の研修受講者が選抜されます。

筆記試験は選択式と記述式問題があり、樹木医としての専門知識に加え、生物学や一般教養、倫理など、幅広い範囲から出題されています。

論述問題は、樹木医としてバランスのとれた知識、技術、文章能力求められるため、幅広く対策をしておく必要があるでしょう。

業務実績審査では、受験資格の確認が行われます。応募の際に提出する業務経歴書、業務経験事例、業務経歴証明書から受験資格をクリアしているか判断されるので、事前に応募基準を把握しておきましょう。

第1次審査に合格すると、次は樹木医研修である第2次審査です。

第2次審査は、Web配信による講習(2週間程度)と6日間の実習の2つを受講し、そのうえで資格審査が行われます。

講習と実習は年に2回ずつ開催されていて選択可能なので、自分の都合に合わせて選ぶと良いでしょう。

実習では講義のほか、樹木の分類、病害の診断と防除、樹木の移植法など、16ある研修科目から出題される筆記試験と、実際に樹種を判別する試験があります。

実習最終日には、面接試験が行われ、樹木医としての資質や素養、人格、技術力などが試されます。

受験資格
樹木医の受験資格は次のように規定されています。

「樹木の調査・研究、診断・治療、保護・育成・管理、公園緑地の計画・設計・設計監理などに関する業務経歴が5年以上の者」

この要件に該当するのが、造園業や植木生産業に従事している方です。

正社員に限らず、アルバイトや契約社員として週3日以上働いていれば業務経験として認められるので安心してくださいね。

「ビルメンテナンスの会社でビル内の緑地管理を行っていた」「花屋で植木に肥料を与えたり剪定したりする育成管理を主な業務にしていた」なども適応になるので、造園業や植木生産業以外でも対象になるか、確認を行いましょう。

また造園業・植木生産業以外の仕事をしていた方は、以下の条件に当てはまれば受験可能です。

【農林業】
間伐や枝打ちなどの維持管理、森林計画の立案、現場での技術指導の経験がある林業従事者は受験できます。伐採や搬出作業のみは認められません。

米や野菜の生産・栽培農家は対象外ですが、果樹の保護、育成管理は業務実績として認められます。

【公務員】
森林、公園緑地などを管理する部署の公務員、農林試験場の職員、樹木の保護・育成管理をする文化財担当者など、農林業や緑化関係の国・地方公共団体の職員も受験できます。

【学校関係】
林学、農学、造園学、園芸学などの大学・研究所の教職員や研究員、大学院生も応募可能です。

農林高等学校など教職員で、樹木の育成管理や公園緑地の設計監理、緑化樹木や果樹の生産などの科目を指導している方や、職業訓練校で造園技術を教える方も、受験できます。

他業種から造園業へ転職した場合でも、前職の業務内容によっては経歴として認められる可能性があります。受験の際には募集要項をよく確認してみましょう。

実務経験年数が1年でOKの樹木医補とは?

樹木医補とは、認定されると樹木医の選抜試験応募時に優遇措置を受けられる制度です。

樹木医補養成機関として登録されている大学や専門学校で申請に必要な科目を履修して卒業すると、選抜試験時に必要な実務経験年数が1年になります。

樹木医補は樹木医になるための近道と言えるでしょう。

過去の卒業生でも必要科目を履修していればこの制度を利用できます。

ただし対象となるのはその学校が養成機関として登録された後に卒業した人に限られますので、注意してください。

まとめ

樹木に関するさまざまな知識と技術で診断・治療を行い、保護や後継樹の育成を行う樹木医は、樹木を守り育てる専門家です。

環境教育プログラムや観察会を開催し、一般への普及活動も行う指導者でもあります。

樹木医の資格を取得することは、造園業での専門性を高め、仕事の幅を広げることにつながります。キャリアアップにもなる樹木医の資格にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。